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インフルエンザってどんな病気?

知ってるようで知らないインフルエンザ

インフルエンザウイルスによる急性気道感染症をインフルエンザといっています。インフルエンザは何種類かあるインフルエンザウイルスによって引き起こされます。このインフルエンザウイルスは咳やくしゃみなどの飛沫によって散布され、それを吸入することによって感染します。インフルエンザウイルスは伝染性が高く、流行が始まると短期間に小児から高齢者まで著しい人数が罹患することになります。
平成11年4月1日より施行された「感染症法」では、インフルエンザは四類感染症(注1)に分類され、年齢や性別の届出が義務づけされています。
インフルエンザウイルスは、直径1万分の1ミリ(100nm)の大きさの多形性のウイルスです。ヒトインフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3種類があり、大きな流行を起こすウイルスはA型とB型であり、C型は大きな流行を引き起こさないとされています。A型ウイルスによる1918~1919年のスペインかぜ(A/Hsw1N1)、1957年のアジアかぜ(A/H2N2)、1968~1969年の香港かぜ(A/H3N2)は、世界的に大流行し、多くの死者を出しました。

(注1)四類感染症
1999年4月1日より施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」によって、これまで伝染病とされていた疾患が感染症と呼ばれるようになりました。またこの法律により、感染力・感染した場合の重篤性等から危険性が極めて高い感染症から順に一類から四類に区分されています。
四類感染症は、「国民の健康に影響を与えるおそれのあるものとして厚生労働省令で定めるもの」と定義されており、インフルエンザを含む60の病気がこれに該当します。

インフルエンザってどうして毎年起こる?

インフルエンザって1回かかってもどうしてまたかかる?

A型ウイルスは、ヒト以外にもブタやトリなどに広く存在しています。A型ウイルスの特徴は、数年から数十年単位で抗原構造の異なった亜型が突然出現することです。これを不連続変異といいます。不連続変異が起こると、ほとんどの人がウイルスに対する免疫を持たないため、インフルエンザが大流行することになります。
また、同一の亜型内でわずかに抗原構造が変化します。これを連続変異といっています。A型ウイルスは連続変異が絶えず起こっているため、大流行とはならないまでもインフルエンザが毎年のように流行することになります。
ここ数十年間、日本全体ではA/H3N2(香港)型、A/H1N1(ソ連)型ウイルスなどの複数のインフルエンザA型ウイルス株が検出されており、地域によっては同時に複数の株が検出されています。しかし、いつ新しい亜型が出現してもおかしくない状況にあるといわれています。
B型ウイルスは不連続変異を起こしませんが連続変異を起こし、A型と同様に流行を起こします。C型ウイルスはヒトに感染しますが、大きな流行は起こさないとされています。

インフルエンザの症状は?

こんな症状が出たら要注意!できるだけ早く医師の診察を!

24~72時間の潜伏期の後、突然の発熱(39℃以上になります)、悪寒、頭痛、筋肉痛など全身の症状が強く現れます。さらに、のどの痛みや鼻汁などの症状もみられます。気管支炎や肺炎などを併発し、死に至ることもあります。
インフルエンザにかかると発熱のために体力を消耗し、脱水症状を引き起こしやすいので安静と栄養、水分を十分にとる必要があります。罹患したらできるだけ早く医師の診察を受けてください。
乳幼児や高齢者では、成人に比べて免疫抵抗力が低いために、肺炎などを併発する危険性が高くなりますので注意が必要です。また、近年においては、小児でのインフルエンザ脳炎・脳症の報告がみられ、原因不明であることから病態の解明が急がれています。

インフルエンザ(流行性感冒)と
かぜ(普通感冒)の違い

インフルエンザとかぜは区別して考えなければなりません

「かぜ症候群」とは上気道(鼻、副鼻腔、アデノイド、へんとう、咽頭等)に起こった急性炎症の総称です。インフルエンザ(流行性感冒)もかぜ症候群に含まれますが、私たちが一般的に、微熱がある、鼻汁や咳が出るなどの症状によって「かぜをひいた」と感じる「かぜ」の多くは、かぜ症候群の中の普通感冒にあたります。このように、インフルエンザ(流行性感冒)も普通感冒もかぜ症候群とひとくくりにすることができますが、その症状には差がみられ、影響の重要性からこれら2つを区別して考える必要があります。
以下に、インフルエンザ(流行性感冒)の疑いがある際の目安として、インフルエンザ(流行性感冒)とかぜ(普通感冒)における症状と特徴を示します。インフルエンザ(流行性感冒)と疑われる場合には、すみやかに医師の診療を受けることが望ましいでしょう。

表 インフルエンザ(流行性感冒)とかぜ(普通感冒)の症状と特徴
かぜ症候群
インフルエンザ(流行性感冒) かぜ(普通感冒)
症状
  • ・突然の高熱(38℃を超える発熱)
  • ・上気道炎症状(咳、鼻汁など)
  • ・全身倦怠感等の全身症状(頭痛、関節痛、筋肉痛を伴うこともある)
  • 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」による
  • ・のどの痛み
  • ・鼻がむずむずする
  • ・水のような鼻汁が出る
  • ・くしゃみ、咳が出る
  • ・インフルエンザほどの発熱はない
  • ・全身症状はほとんどない
症状
  • ・気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することもある
  • ・流行すると、65歳以上の死亡率が普段より高くなる
  • ・合併症はまれである
  • ・発生は散発性

インフルエンザと間違えやすい病気

間違えやすい病気には、普通感冒、咽頭炎、気管支炎、肺炎などがあります

インフルエンザと間違えやすい病気として、普通感冒、咽頭炎、気管支炎、肺炎などがあります。特に普通感冒はインフルエンザと間違えやすいので注意が必要です。
普通感冒は一般的に「かぜ」と呼んでいるもので、ライノウイルスやコロナウイルス等の感染によって起こります。症状としてはのどが痛む、鼻がむずむずする、水のような鼻汁が出る、くしゃみや咳が出るなどの症状が中心であり、全身症状が現れることはあまりありません。発熱もインフルエンザほど高熱になることはほとんどありません。

インフルエンザの発生数はどれぐらい?
- 経年変化 -

近年の発生数をみると、年平均で約55万人発生しています

インフルエンザの発生数インフルエンザの流行は、学童が集団生活する学校等が増幅の場となり、地域社会に拡大していきます。このことから、全国の保育所、幼稚園、小学校、中学校等における休校数、年・学級閉鎖施設数の状況を把握するために、「インフルエンザ様疾患発生報告」(厚生労働省)があります。
近年におけるインフルエンザ様疾患発生状況を図に示しましたが、近年の発生数をみると、年平均で約55万人発生しています。しかし、各シーズンによって発生数が大きく異なり、1993年~1994年シーズンには約8万人であったのに対して、1997年~1998年シーズンには約128万人発生しました。数年ごとに流行を繰り返していることがうかがえます。

インフルエンザの年齢別にみた発生数は?

インフルエンザは学童期における罹患率が最も高い値を示します

インフルエンザの年齢別にみた発生数インフルエンザの年齢別にみた罹患率と死亡数を図に示しました。インフルエンザの流行は、学童が集団生活する学校が増幅の場となり、家庭を通して地域社会に広がっていきます。したがって、学童期における罹患率が最も高い値を示します。学童期においては、免疫能の発達が十分でないこと、学校などで集団生活をしていることが影響しています。
年齢が高くなるにしたがって、インフルエンザへの自然感染やワクチン接種により免疫能が亢進するため、インフルエンザへの罹患率は低くなります。しかし高齢者では、インフルエンザの罹患率は低いのですが、死亡率がほかの年齢層に比べて著しく高い値を示します。
この要因として、加齢による免疫抵抗力の低下が考えられます。さらに、インフルエンザの危険因子として慢性の心疾患やぜん息などの呼吸器疾患などの基礎疾患が挙げられますが、高齢者ではこれらの疾患を持っている場合が多いことが影響していると考えられています。

インフルエンザと気象との関係

インフルエンザウイルスは気温も湿度も低い方が生存に適しています

インフルエンザと気象との関係月別にみたインフルエンザの患者数を図に示しました。インフルエンザウイルスは気温が低く、湿度も低い方が生存するのに適しています。したがって、冬から春にかけて発生するのが一般的です。特に12月から増え始め、1~2月にピークを迎え、4月には終息することが多い傾向にあります。冬には乾燥した冷たい空気のために、のどや鼻の粘膜の抵抗力が低下することや換気の十分でない場所に多数の人が密集することが多く、飛沫感染しやすくなることも冬のインフルエンザの流行に影響しています。

インフルエンザの予防対策

ワクチン接種が最も効果的!日常生活における対策も忘れずに

インフルエンザの予防、特に流行を予防するためにはワクチン接種が最も効果的ですが、うがいやマスク、栄養の摂取等にも十分に注意し、日ごろから予防を心がけることも大切です。

ワクチンによる予防
インフルエンザを予防するには、流行前にワクチン接種を受けることが最も確実な方法です。特に、高齢者、心臓や肺に慢性の基礎疾患を持つ人などのハイリスク群(注1)の方は、重症化を防ぐためにも医師と相談の上、ワクチンを接種することが望ましいと考えられます。ワクチンは11~12月までに接種することが望ましく、回数は13歳未満は2回、13歳以上65才未満は1~2回、65歳以上は1回が目安といわれています。

(注1)ハイリスク群
インフルエンザに罹患した場合に、重症化したり致死的な合併症を起こしやすい人はハイリスク群と呼ばれ、インフルエンザ対策上、予防・治療の対象として最も優先順位が高いとされています。下記のような方がハイリスク群に該当します。

  1. 1. 65歳以上の高齢者
  2. 2. 妊娠26週以降の妊婦
  3. 3. 小児
  4. 4. 呼吸器・循環器・腎臓に慢性疾患を持つ患者
    [例] 気管支ぜん息、肺結核
    心疾患(僧帽弁膜症・鬱血性心不全など)
    腎疾患(慢性賢不全・血液透析患者・賢移植患者など)
  5. 5. 代謝疾患・免疫機能が低下している患者
    [例] 糖尿病、アジソン病
過労やストレスを避け、十分な睡眠や栄養をとる
過労やストレスは抵抗力を低下させてしまうために、かぜやインフルエンザに感染しやすくなってしまいます。したがって、過労を避け、十分な睡眠や栄養をとって体力をつけることは抵抗力を高め、かぜやインフルエンザに感染しにくくなります。ビタミンCの補給は、感染症の予防や自然治癒力の亢進に有効だといわれています。また、粘膜を強化するビタミンAも摂取するとよいでしょう。ビタミンCは柿、オレンジ、ブロッコリー、赤ピーマンなどに、ビタミンAは鶏レバーやモロヘイヤ、ウナギ(蒲焼き)、ニンジンなどに多く含まれています。
適度な温度と湿度を保つ
インフルエンザウイルスは気温が低く、湿度も低い方が生存に適していることがわかっています。部屋等を暖房する際は、加湿器などで室内を適度な湿度に保つことが大切です。濡れタオルを干すだけでも湿度の上昇に効果があります。
マスクを着用する
厚手のマスクはせきやくしゃみの飛沫から人に感染するのを防ぐとともに、鼻やのどなどを乾燥から守る効果もありますので、外出の際はマスクを着用するよう心がけてください。
外出後の手洗いとうがいの励行
手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぐので、外出して帰宅した際は、必ず手洗いとうがいを行うよう心がけてください。
抗インフルエンザ薬
多くの人がワクチン接種をしないままインフルエンザのシーズンを迎えています。また、慢性疾患やアレルギーでワクチン接種をできない人もいます。抗インフルエンザ薬は治療薬としてだけでなく、インフルエンザウイルスに感染する前に投薬するとインフルエンザの症状がでることを一時的に予防する効果もあるといわれています。A型に対してはアマンタジンが経口薬として、A,B型両方に対してはザナミビルが吸入薬としていずれも医師の診断により処方されるようになりました。

インフルエンザ予報について

毎日チェック!予報と対策を正しく理解!

インフルエンザは日常的なうがいや手洗いの励行、ちょっとした気づかいでかかるのを防げる場合があります。
本予報では、インフルエンザにかかりやすいかどうかを注意喚起するために、原因となるウイルスの空気中での「生存率」を左右する気象条件を基に、予報を行っています。この気象条件は、気温、湿度などから算出し、それを基にインフルエンザにかかりやすい気象条件かどうかを予報しています。
空気中のウイルスが生存しやすければしやすい(生き残る割合が大きい)ほど、インフルエンザにかかりやすい気象条件となります。

インフルエンザ予報凡例

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スーパー警戒
6時間以内での空気中のウイルス生存率は約50%です。
インフルエンザに非常にかかりやすい気象状況です。外出後の手洗いとうがいの励行、マスクの着用、人混みを避ける、過労を避け睡眠や栄養を十分にとる、部屋等を暖房する際は加湿器などで室内の湿度を適度に保つなど、最大限注意しましょう。
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警戒
6時間以内での空気中のウイルス生存率は約20%です。
インフルエンザにかかりやすい気象状況ですので注意しましょう。外出後の手洗いやうがいはもちろん、人混みをさけるなど注意してください。
アイコン
注意
6時間以内での空気中のウイルス生存率は約5%です。
インフルエンザにかかりにくい気象状況ですが安心は禁物です。外出後の手洗いやうがいは日常的に行いましょう。
アイコン
ほぼ安全
6時間以内に空気中のウイルスはほとんど死滅するでしょう。
インフルエンザに非常にかかりにくい気象状況ですが、近くにかぜ気味の方がいる場合や人混みに入る場合などには注意し、手洗いやうがいを行ってください。