アイコン乾燥肌
についてDry Skin

乾燥肌ってどんな症状?

乾燥肌は皮脂も水分も不足してカサカサになった状態

冬の肌の代表的なトラブルとして、圧倒的に多いのは乾燥肌とそれに伴うかゆみです。冬になると気温が下がり、空気も乾燥してくるので、乾燥肌が起こりやすくなります。特に60歳以上の方では、75%の方、つまり、4人に3人の方が、乾燥肌とそれに伴うかゆみといったトラブルに悩まされていると言われています。

乾燥肌の特徴
乾燥肌とは、医学的には乾皮症といわれ、肌は粉をふいたようにカサカサになり、かゆみを伴います。健康な肌は、皮膚の細胞と細胞の間に隙間がなく、ぎっしりとくっついているのが特徴です。一方、乾燥肌は、細胞と細胞の間に隙間ができているのが特徴で、見ただけで肌が荒れているのがわかります。
乾燥肌とは
皮膚は外側から、表皮、真皮、皮下組織という3 層から成っています。肌の潤いは、表皮の一番外側にある角質層の働きによって保たれているのですが、健康な肌は、角質層の細胞に天然保湿成分が豊富に含まれていて、細胞間脂質が水分をしっかりとキープしています。さらに汗と皮脂が混ざり合ってできた皮脂膜が角質層にフタをして、水分が蒸発するのを防いでいます。この皮脂膜と細胞間脂質と天然保湿因子の保湿機能によって、皮膚は外からの物理的・化学的な刺激から守られています。
一方、乾燥肌とは、外気の乾燥などにより、皮脂や細胞間脂質が減少して、角質層の水分が少なくなった状態です。皮脂膜が破壊され、水分が蒸発してカサカサ肌になります。さらに、角質層のキメが粗くなることで、アレルギー物質や細菌の侵入を防ぐ、肌のバリア機能が弱くなり、ちょっとした刺激でも、過敏に反応するようになります。乾燥肌でかゆみなどの症状がみられるのはこのためです。

皮膚のうるおいのしくみは?

皮脂と汗が混ざった皮脂膜は皮膚を守る「天然のクリーム」

肌を乾燥から守り、保湿の役割をしているものは、
①皮膚の表面を覆っている皮脂膜、
②角質層の細胞の間を埋めている細胞間脂質、
③角質層の細胞の中にある天然保湿因子です。
皮膚は外側から、表皮、真皮、皮下組織という3層から成っていますが、この中で肌の乾燥と関係しているのは表皮の部分であり、特に一番外側に存在する角質層が、乾燥肌に直接関与しています。
表皮の一番下には基底層という細胞があり、ここで肌細胞の分裂が起こります。肌細胞は形を変えながらどんどん表面にあがっていき、2週間経つと、ちょうど角質層との境目に達します。するとここでその細胞は突然死んでしまい、細胞核や細胞内の顆粒を失って、角質細胞になります。
この角質細胞、つまり死んだ細胞が煉瓦の塀の構造のようにきちんと並んで、約10~20層ほど積み重なった状態がいわゆる角質層です。
従来は何の役にも立たないと思われていたこの角質層ですが、実は重要な役割を担っていることがわかってきました。一つは外から体内への異物の侵入を防いだり、体内の水分が外へ逃げるのを防ぐ機能、いわゆるバリア機能で、もう一つは、肌に水分を蓄える機能です。この機能は、角質層の表面を覆う皮脂膜、角質細胞間脂質、角質細胞内の天然保湿因子によって保たれています。
皮脂膜とは、皮脂腺で合成されて毛穴を通って皮膚の表面に出てきた脂と、汗腺で作られた汗が、皮膚の表面で混じり合って、クリームの膜を作ったものです。この膜は、外からの異物の侵入を防ぎ、体の中からの水分の蒸発を防ぐ働きをしており、まさに「天然のクリーム」であるといえます。
皮脂膜は、石鹸や洗顔料などで皮膚を洗うと流れてしまいますが、汗や皮脂は常に分泌されているので、数時間後には元の状態に戻ります。そのため、皮膚は常にある程度のうるおいを保つことができるのです。
角質細胞間脂質とは、セラミドを中心とした脂であり、水を強く吸着する性質があります。
天然保湿因子とは、主にアミノ酸からできており、これも水を吸着する作用があります。
健康な肌では、これら皮脂膜と細胞間脂質と天然保湿因子によって、皮膚の水分が保たれています。

乾燥肌はどうして起こるの?

「天然のクリーム」が減ると、皮膚のバリア機能が低下して肌荒れに

皮膚の角質層を覆っている皮脂膜は、うるおいやなめらかさを与える「天然のクリーム」です。この皮脂膜が不安定になると、乾燥や外的刺激から皮膚を護るという皮脂膜本来の働きができなくなります。つまり皮膚のバリア機能が低下して、さまざまな皮膚トラブルを招いてしまいます。
一般的に、気温の低い冬場は、皮膚の代謝が低下するため、皮脂腺の機能や汗腺の機能が低下し、皮脂膜の形成が悪くなります。それと同時に、細胞間脂質(セラミドなど)の合成や、天然保湿因子(アミノ酸など)の生成が低下し、保湿作用が弱くなります。すると、本来なら角質細胞間脂質に蓄えたれているはずの水分が減少して細胞間に隙間ができてしまい、水分が皮膚の中からどんどん出て行ってしまいます。
このように冬の寒さで皮膚の保湿機能が低下し、空気の乾燥が加わって乾燥肌が悪化するのです。
また、生活環境で暖房器具などを過度に使用することにより、ますます乾燥が進みます。さらに、石鹸などを頻繁に使うことにより、皮脂膜や角質細胞間脂質まで取り除かれて、乾燥が増長されてしまいます。
さらに、乾燥肌の生成には、年齢も非常に大きな因子になります。男女とも加齢とともに細胞間脂質や皮脂量は減少し、特に女性は20歳をピークに減少を続け、男性も、30代後半から徐々に減少することがわかっています。特に60歳以上の方では、75%の方、つまり、4人に3人の方が、乾燥肌とそれに伴うかゆみといったトラブルに悩まされていると言われています。
そのほか、生活習慣の乱れも乾燥肌を引き起こします。ダイエットや偏食などの食生活の乱れ、寝不足、ストレスなども乾燥肌の原因になります。いくら肌の表面だけをケアして、一時的に乾燥肌が治ったように見えても、生活習慣が悪ければまた乾燥肌に戻ってしまいます。逆に言えば、日常生活の心がけ次第で乾燥肌の悪化はある程度防止できるのです。

乾燥するとかゆみが起こるのはなぜ?

皮膚表面まで伸びた神経が外界の刺激に過敏に反応

かゆみは神経線維が刺激されることによって起こります。神経線維が刺激されると、神経が興奮して、その刺激が大脳に行って、かゆみが発生します。
健康な肌は、表皮と真皮の境界のところで神経線維が終わるのですが、乾燥肌になると、神経線維が通常よりも皮膚表面の近くまで伸びてきているため、外からの刺激に反応しやすく、その刺激はじかに脳にかゆみとして伝わってしまいます。
つまり、乾燥肌の皮膚では、角質層は隙間だらけになっており、異物が次々侵入してくるので、表皮の角質層の直下まで伸びてきた神経が、衣類や石鹸、温熱などの外からの刺激で容易に興奮し、それが大脳皮質に伝わって、かゆみが発生するのです。
その興奮は枝分かれしている神経の先端にも伝わり、神経先端からサブスタンスPという物質が出され、それが肥満細胞を刺激して、かゆみを引き起こすヒスタミンという物質を放出させます。このヒスタミンは神経線維に結合して、神経を興奮させてまたかゆみを起こします。
このように、乾燥肌になると、外からの刺激を非常に受けやすい状態になるのです。

乾燥肌と季節・気象との関係

空気の乾燥と肌機能の低下が重なる冬は要注意!

乾燥肌と季節
一般的に、気温の低い冬場は、皮膚の代謝が低下するため、皮脂腺の機能や汗腺の機能が低下し、皮脂膜の形成が悪くなります。それと同時に、細胞間脂質の合成や、天然保湿因子の生成が低下し、保湿作用が弱くなります。
また、冬場では、湿度が低下するため、皮膚からの水分蒸発が増加し、外界からの肌への水分補給が低下します。このように、体内の水分が蒸発しやすい状態で湿度が低い冬場を過ごすと、乾燥肌になりやすくなります。
乾燥肌と気象
一般的に、気温が低く、湿度が低いほど肌水分は減少し、乾燥肌の症状が現れやすくなる傾向があります。同じ気温であれば湿度が低いほど、また、同じ湿度であれば気温が低いほど症状は悪化しやすくなります。また、一般的に、風が強いほど、肌水分量は減少する傾向があります。
*夏のかくれ乾燥(インナードライ)*
夏は汗や皮脂の分泌が盛んになります。また、日本の夏はとても湿度が高いため、肌の乾燥には気がつきにくいものです。しかし、室内ではエアコンの乾いた空気が肌からどんどん水分を奪っています。屋外で降り注ぐ紫外線も、シミの原因になるだけでなく、肌を乾燥させてしまいます。表面上は脂浮きが気になるために乾燥とは無縁のように思いますが、肌の内側はカラカラに乾いている可能性があり、この状態を「かくれ乾燥(インナードライ)」といいます。
ここ数年、美容情報誌などでよく取り上げられるようになったインナードライ。水分と皮脂のバランスが大きくくずれ、水分が極端に少なく、皮脂が非常に多いのが特徴です。肌表面の脂浮きにより水分不足に気がつきにくく、「かくれ乾燥」とも呼ばれる所以です。脂性肌と勘違いしてしまうことが多く、べたつきを解消しようと皮脂を取り除くケアばかりしているとますます症状が悪化し、肌のバリア機能まで低下してしまうといわれています。

乾燥肌の予防対策

うるおい肌は生活習慣の見直しから

冬の乾燥した環境は、誰にでも乾燥肌とそれに伴うかゆみを引き起こします。それに拍車をかけているのが、入浴や暖房、食事などの生活習慣です。したがって生活習慣を改善することによってある程度乾燥肌は予防できるのです。まずは自分の生活環境、食生活などを見直すことから始めてみましょう。

入浴のポイント
熱い湯・長湯、せっけんの使い過ぎ・こすり洗いなどは皮脂膜・角質細胞間脂質を取ってしまい、バリア機能を破壊し、皮膚の乾燥を助長するという結果になりますので避けましょう。冬場は脂の量も汗の量も少ないので毎日ゴシゴシ洗う必要はありません。汚れは皮膚の一番表面の皮脂膜にたまりますので、お湯に入るだけでも十分落ちるのです。入浴後は抑えるようにやさしく拭き、水分がまだ残っているうちに保湿剤を塗るようにしましょう。尿素やワセリンなどが含まれているものがおすすめです。
硫黄入りの石鹸や入浴剤は、皮脂膜を乾燥させ、角質層を破壊する作用があるので乾燥肌の場合は避けたほうがいいでしょう。また、薬用石鹸は抗生物質が入っているものが多く、アレルギーを起こすことが多いといわれています。
暖房のポイント
冬になると暖房を使いますが、部屋の空気が乾燥すると皮膚の水分も奪われ、皮膚が乾燥してきます。したがって、加湿器を使ったり、濡れた洗濯物を干すなど、部屋の湿度を上げる工夫が必要です。
また、電気毛布もよく使われますが、こちらもからだの水分を奪ってしまいますので、一晩中つけるのは避け、寝る前に温めておいて、寝るときに消すなどの工夫が必要です。
食生活のポイント
食生活はうるおい肌の基本です。まずは、1日3食規則正しくきちんと食べること、これを実践するだけでも、たんぱく質、ビタミン、ミネラルのバランスが良くなり、皮膚に変化があらわれます。そのうえで、皮膚のトラブル別に、不足しがちな栄養素を補えるように食事をとるとよいでしょう。
具体的には、肌のうるおいを高めるヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンをとりましょう。これらは鶏の手羽先などに多く含まれています。また、野菜やくだものからビタミンCやβカロテンをとりましょう。皮膚は細胞からできていますので、肉・魚・卵などのたんぱく質も重要です。
食事を抜いたり偏食をしていれば、栄養が偏り、皮膚の元気もなくなってしまいます。いくらスキンケアをして外から補っても、内側からの栄養が十分でないと健康な肌は生まれないのです。
一方、乾燥肌に伴うかゆみを増長する食品がありますので、それらを避けることも大事です。キムチなどの辛い物は皮膚を刺激するほか、アルコールは血管を拡張させてかゆみを増長するので、ほどほどにしましょう。また、かゆみを増長するヒスタミンやその類似物質が含まれる食材もあります。具体的には、ほうれんそう・なす・さといも・たけのこ・トマト・チョコレート・いちごなどで、これらは栄養的に優れた食品ですので、必要以上に除去する必要はありませんが、食べ過ぎるとかゆみがでることもありますので注意が必要です。
その他の生活習慣のポイント
乾燥肌を改善するには、生活習慣全体を見直すことも必要です。いくら肌の表面だけをケアして、一時的に乾燥肌が治ったように見えても、生活習慣が悪ければまた乾燥肌に戻ってしまいます。
肌は眠っている間に生まれ変わりますので、十分な睡眠が乾燥肌を改善するには欠かせません。また、ストレスが溜まると、血中にヒスタミンが放出されることが知られており、乾燥肌の原因になります。適度な運動は、ストレス解消にもなるほか、血行が良くなって栄養が体の隅々に行き渡り、うるおい肌を保つのに効果的です。

乾燥肌予報について

毎日チェック!予報と対策を正しく理解!

乾燥肌の症状が悪化する原因には、冬場の乾燥などの気象条件をはじめ、加齢による発汗や皮脂量の低下、冷暖房による湿度の低下、肌の洗いすぎによるバリア機能の破壊のほか、偏った食生活、寝不足、ストレスなど、様々なものが考えられます。
本予報では、症状の悪化に大きな影響を与える気象に着目し、気温と湿度の条件を変えられる人工気候室という部屋を用いて、被験者の肌水分量を測定した実験結果を基にしています。気温や湿度に応じて変化する肌水分の増減から、予報日における乾燥肌の注意度合いを4つのランクに分けて予報しています。予測に用いる気象要素は、気温と湿度です。
具体的な気象条件としては、気温が低く、湿度が低いほど肌水分は減少し、乾燥肌の症状が現れやすくなる傾向があります。同じ気温であれば湿度が低いほど、また、同じ湿度であれば気温が低いほど症状は悪化しやすくなります。また、一般に風が強いほど、肌水分量は減少する傾向があります。

乾燥肌予報凡例

アイコン
スーパー警戒
肌水分が非常に減少する気象条件ですので、乾燥肌に十分警戒してください。強風下など、外気に長時間肌をさらしたりすることのないよう気をつけましょう。
アイコン
警戒
肌水分が減少する気象条件ですので、乾燥肌に警戒してください。乾燥しやすい方は、保湿クリームや化粧水等を用いたスキンケアが効果的です。
アイコン
注意
肌水分がやや減少する気象条件ですので、乾燥肌に注意してください。洗いすぎなどによる皮脂成分の過剰な流出にも気を付けましょう。
アイコン
ほぼ安全
肌水分は減少しにくい気象条件ですので、肌の乾燥は少ないでしょう。
一方、お肌の状態は、体調やストレス、不規則な生活、お肌を取り巻く環境など、さまざまな条件によって変わってきます。日頃から適切な睡眠時間をとり、毎日3食きちんと食べ、お酒の飲みすぎやタバコを控えるなど、生活習慣を見直してみましょう。