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うつ
についてDepression
Contents
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- うつ病って何?
- 現在では機能性の精神障害とされ、気分障害の総称として用いられています
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- その原因は?
- 遺伝、中枢神経系の機能障害、心理・社会的要因などが考えられます
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- その症状は?
- 抑うつ気分、意欲の低下、思考力の低減などの症状が出たら注意信号!
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- 気分障害の性年齢別にみた
患者数はどれくらい? - 総患者数は約44万人(平成11年)、患者数は男性よりも女性、特に高齢者で多い!
- 気分障害の性年齢別にみた
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- 気分障害と季節
- どの季節に患者数は多い?また季節性気分障害って?
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- 自殺の発生と季節
- 自殺の発生にも季節変動があり、自殺者数は3~6月に多い!
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- うつ気分の予防対策
- こんな性格の人がなりやすい。ストレス解消法は?
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- うつ気分予報について
- 毎日チェック!予報と対策を正しく理解!
うつ病って何?
現在では機能性の精神障害とされ、気分障害の総称として用いられています
まず、躁うつ病についてお話しますと、躁うつ病はかつて内因性の精神病に位置づけられていましたが、現在ではその大部分が機能性の精神障害として位置づけられており、気分障害(感情障害)の総称として躁うつ病といわれています。
一般的に躁うつといわれていますが、同じ人が躁病期とうつ病期が交代して現れるのは双極性気分障害ともいわれ、その頻度は全体の30%程度であるといわれています。うつ病相だけを示すものは単極性うつ病であり、発生頻度が最も高く、単極性気分障害ともいわれます。
うつ病の症状としては、精神面では抑うつ気分(落ち込む、無感動、不安、つまらないなど)、意欲の低下(やる気がない、興味がないなど)、思考力の低減(考えがまとまらない、集中力・決断力の低下など)や罪悪感を感じるなどがあり、身体的症状としては不眠、疲労感、食欲減退、頭痛、動悸などがあります。
うつ病は精神病で直らないというイメージを持つ人が多いですが、心のかぜともいわれており、誰でも罹患する可能性があり、薬による対症療法によって治癒する病気だということをよく理解してください。
その原因は?
遺伝、中枢神経系の機能障害、心理・社会的要因などが考えられます
躁うつ病の原因は一つの因子だけでなく、多くの因子が絡み合って発病すると考えられています。その要因として、遺伝、中枢神経系の機能障害、心理・社会的要因などが考えられています。
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- 1. 遺伝
- 双極性障害(躁病期とうつ病期が交代して現れる障害)は遺伝の要因が大きいといわれています。しかし、老年になって発病するケースは遺伝的要因が少ないことが知られています。
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- 2. 中枢神経系の機能障害
- 抗うつ薬の薬物療法や電気ショック療法などの知見から、視床下部や下垂体などの中枢神経系の調節機能の障害が考えられています。
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- 3. 心理・社会的要因
- 男性では職務上の異動、昇進、退職、転職など。女性では家庭内不和、離婚、転居、子女の結婚や妊娠、出産など。男女共通の要因として、近親者の死、財産の喪失、経済的困窮、身体の病気などが考えられます。
その症状は?
抑うつ気分、意欲の低下、思考力の低減などの症状が出たら注意信号!
躁とうつでは対照的な症状を示します。躁では爽快感、気力と活動性の亢進、著しい健康観と心身両面の好調感、妄想と幻覚などの症状を示します。
うつでは、抑うつ気分、興味と喜びの喪失、将来に対する希望のない悲観的な見方、自傷や自殺の観念や行為などの症状を示し、食欲不振や体重減少などさまざまな身体的症状を示します。うつ症状は自殺と最も関連するといわれています。さまざまなストレスでも発症しますので、身近にいる人が十分に注意をはらう必要があります。
症状は午前中に悪化し、午後から夜にかけて軽快する日内変動を示す特徴があります。また、常に症状が続くわけではなく、症状の現れる病相と症状の軽快する間欠期を繰り返す経過をたどるのが一般的です。
分類や診断には幾つかの方法がありますが、以下の表に国際疾病傷害死因分類(ICD-10)による躁うつ病相の分類と診断評価を示しました。
躁病相 | うつ病相 | |
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病相の分類 |
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症状の評価 |
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<大項目>
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躁病相においては、症状の程度や期間によって、以下のように診断されます。
- ・軽症躁病:症状の評価項目の1~8までの症状が軽く、その症状が数日間続くもの
- ・精神病症状を伴わない躁病:その症状が少なくとも1週間以上続くもの
- ・精神病症状を伴う躁病:妄想や幻覚のみられるもの
うつ病相においては、症状の程度や期間によって、以下のように診断されます。
- ・軽症うつ病:大項目、小項目の症状のそれぞれ2つが2週間以上続くもの
- ・中等度うつ病:大項目の2 症状、小項目の3~4症状が2週間以上続くもの
- ・精神症状を伴わない重症うつ病:大項目のすべて、小項目の4症状が2週間以上続くもの
- ・精神症状を伴う重症うつ病:大項目のすべて、小項目の4症状が2週間以上続き、さらに、妄想、幻覚、昏迷の症状を示すもの
これらの症状に心当たりがある人は、医師の診断を受けるようにしてください。
気分障害の性年齢別にみた
患者数はどれくらい?
総患者数は約44万人(平成11年)、患者数は男性よりも女性、特に高齢者で多い!
我が国における気分障害の年間の有病率は1~8%程度といわれています。平成11年における気分障害の総患者数は約44万人でした。右上図に気分障害の性年齢別にみた患者数を示しました。男女ともに加齢と共に患者数は増加し、60歳代にピークに達し、以後減少しています。患者数は男性よりも女性、特に高齢者で多いことがわかります。
女性が男性よりも多い要因として、女性では病相の持続期間が長く、再発しやすいといわれています。しかし、男性ではアルコール依存や自殺などによって気分障害の診断から除外される例が多いことも考えられています。
気分障害と季節
どの季節に患者数は多い?
また季節性気分障害って?
気分障害と季節との関係を模式図に示しました。気分障害による患者数は春から夏にかけ増加し、秋になると減少することが報告されています。これはわが国だけの現象ではなく、世界的に同様の傾向が認められています。
このような季節変動をもたらす要因として、春になると気温が急激に上昇し、日最高気温と日最低気温の温度差(日較差)が激しく不規則になることや、日射量が急激に増大することが情動中枢に影響を及ぼしているのではないかと考えられています。
また、各種生体機能は約25時間単位で変動する日内リズムを有していますが、双極性気分障害の患者さんにおいては、この日内リズムが変調をきたしていることが認められています。
気分障害の中には、秋から冬にかけて大うつ病相を示し、春から夏にかけて症状が軽減する季節性気分障害が報告されるようになってきました。このことから、冬季うつ病ともいわれています。季節性気分障害の特徴は、冬の日照の少ない緯度の高い地域に発症率が高いことが認められており、症状の軽減には高照度光療法が有用なことから、発症は生体リズムと関連すると考えられています。また、男性よりも女性での発症が多いのも特徴です。
アメリカニューヨーク市の人口の約25%が秋から冬にかけて気分が悪化し、この内3~10%が季節性感情障害と診断されたことが報告されています。わが国においては、年間数十名が季節性感情障害と診断されています。
自殺の発生と季節
自殺の発生にも季節変動があり、
自殺者数は3~6月に多い!
年間の自殺者数は平成10~23年にかけては年間30,000人を超えていましたが、近年はやや減少傾向にあり約25,000人となっています。自殺においても季節変動のあることが知られ、右上図における自殺者の月別の発生割合のとおり、自殺者数は3~6月に高値を示し、10月にわずかに増える傾向にあることが認められます。
自殺は内因性うつ病との関連性が高いことが報告されており、自殺者の約60~90%はうつ病やうつ状態にあるといわれています。内因性うつ病発症の季節変動は「5: 気分障害と季節」の中でも述べたように、春から夏にかけて増加し、秋にも軽度増加することが認められており、自殺の発生と内因性うつ病発症の季節変動は同様なパターンを示します。
したがって、自殺の原因としては、内因性うつ病発症と同様に春になると気温が急激に上昇し、日最高気温と日最低気温の温度差が激しく不規則になること、日照時間や日射量が急激に増大することが関与している可能性が考えられています。
うつ気分の予防対策
こんな性格の人がなりやすい。ストレス解消法は?
まず、その実態をよく理解することが大切です。日頃から以下の項目に注意する必要があります。
- 早めに診断をうける
- 気分障害は多彩な症状を訴えるため、見逃されやすい病気の一つです。疑わしい症状があったら早めに心療内科に受診しておくことが大切です。
- 自分の性格を知る
- 「人付き合いがよい、気だてがよい、親切、気さく」な人、「秩序への執着、几帳面、熱中しやすい」な人は気分障害になりやすいといわれています。性格を変えることは非常に困難なことです。日頃から自分の性格をよく知り、十分に気をつける必要があります。
- 心理・社会的要因
- 「2: その原因は?」の項で前述したように、多くの心理・社会的要因があり、日頃からストレスを上手に解消し、心身のリラクゼーションをはかることが重要です。
精神疾患が気象に影響されていることは明らかにされつつあります。しかし、その要因については未だ不明な点が多く、予防法について述べるのは難しい問題です。しかしながら、近年、森林浴や温泉療法などはリラクゼーション効果を有することから、気分転換や自律神経を安定させるための行動として、注目されています。
- 森林浴
- 自然と親しみながら健康の維持・増進を図る行動として、森林の中を散策する森林浴があります。元々はヨーロッパの保養地などで広く行われている行動であり、森林の中を散策することで爽快感を味わうことができるといわれています。
- 森林の中は樹木から出る香りに包まれていますが、この香りの中にフィトンチッドと呼ばれる物質が含まれています。「フィトン」とは植物、「チッド」とは殺すという意味のロシア語に由来しています。さらに、森林の中にはマイナスイオンも多く含まれています。フィトンチッドやマイナスイオンが多く含まれる大気には自律神経を安定させ、快適な睡眠をもたらす効果があるといわれています。
- 温泉療法
- 我が国においては古くより温泉療法が用いられてきました。温泉療法は、慢性疾患の療養やリハビリテーションだけでなく、心身のストレス解消にも有効です。また、家庭で手軽にできるハーブ湯などの入浴剤を用いた入浴はリラクゼーション効果のあることが報告されています。
うつ病などの精神障害の要因の一つに、生体諸機能が約25時間のサイクルで変動する日内リズムの変調が挙げられています。このような日内リズムは自律神経機能と大きく関連しています。したがって、日常生活に積極的に森林浴を取り入れたり、温泉や入浴剤を入れたゆぶねに長時間ゆったりと入浴することは、ストレスを発散させ、心身のリラクゼーションをはかることから、自律神経機能を安定させるのに有用であると考えられます。
食事による予防対策としては、まず、3食規則正しく摂ることが挙げられます。栄養素としてはビタミンB群やカルシウム、ビタミンC、ビタミンEなどが含まれる食品を摂取しましょう。ビタミンB群は豚肉、レバー、卵、牛乳など、カルシウムは牛乳やヨーグルトなどの乳製品、ビタミンCはオレンジや柿、ブロッコリー、赤ピーマン、ビタミンEはモロヘイヤ、ウナギ、カボチャなどに多く含まれています。また、ユリ根は精神安定効果があるといわれています。
うつ気分予報について
毎日チェック!予報と対策を正しく理解!
うつ病になると、なんとなく憂うつであり、気分がはれない状態になります。何を見ても無感動な状態になったり、イライラする場合もあります。専門用語では「抑うつ気分」といいます。本予報では、抑うつ気分とはいえないまでも、軽い憂うつな気分をうつ気分としています。うつ気分予報は、みなさんの快適な生活に寄与するため、気温、風速、気圧、湿度、雲量、降水量などを使って行っています。
うつ気分予報凡例
- とってもブルーな気分になりやすい
- とってもブルーな気分になりやすい気象状況です。あせらずなるべくおだやかに過ごしましょう。また、悩みはためず、周りの人に気軽に相談してみましょう。
- ブルーな気分になるかもしれません
- 趣味やリラクゼーションなどで気分転換しながら過ごしましょう。
- ブルーな気分になりにくい
- ブルーな気分にはなりにくいですが、日頃からストレスを発散し、心身のリラクゼーションを心がけましょう。
- 爽やかな1日でしょう
- 今日はさわやかな1日でしょう。散歩したり、お買い物をしたり、外に出てリフレッシュしてみましょう。