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雪の結晶、雪の華
 
 子どもの頃は雪が降ると積もった雪で好きな形の物ができるし、すべてを白で覆い隠すしと、なんとなく楽しくなりました。でも実際の雪の結晶を見たことはありませんでした。降る雪を手に取ればすぐ解けるし、それはいくつかの雪の結晶が絡み合った塊でした。初めて雪の単結晶を見たのは学生のときで、冬に友人たちと箱根の強羅に行ったときのことです。夜街の中を歩いていると、チラチラと雪が降っていて、友人の一人が手袋をした手で受けると、(図1)の雑誌の表紙に載っているような樹枝状の結晶でした。肉眼ではっきりと枝が識別できるほどの大きさで、すべての枝が白く輝いていたのを覚えています。
 (図1)の表紙の雑誌の雪の結晶は顕微鏡写真です。この雑誌には雪の結晶の実験室内での発生や、数値計算による雪の結晶の発生についての科学的な解説が載っています。雪の結晶の顕微鏡写真の撮影に成功したのはベルリンの医師ノイハウス(R.Neuhauss)で、その写真を1893年に世に出しています。同じ頃、北アメリカの農村に住んでいた農夫のベントレイ(W.A.Bentley、1865〜1931)が数多くの雪の結晶の写真を撮っていました。それが「雪の結晶(Snow Crystals)」という写真集(1931)になっています。この写真集には窓の霜やクモの巣に着いた露の写真も載っています。
(図1)雪の単結晶
(図1)雪の単結晶
(図2)雪の結晶の写真集
(図2)雪の結晶の写真集
 (図2)は1962年に再出版されたものですが、私がこの写真集を初めて見たのは学生の頃、日本橋の丸善書店でした。7千数百円の価格は学生の身分では高価で、そのときに買うことはできませんでした。この写真集に載っている写真は、個々の雪の結晶の写真がベントレーの手によって切り取られたものなので、科学的写真ではないという意見があったことも事実ですが、多くの人々や研究者が言っているように、雪の結晶の美しさを充分に伝えています。
 雪の結晶の研究で世界的に有名な日本人がいます。世界で初めて雪の結晶を実験室で作った北海道大学の中谷宇吉郎博士です。(図1)の雑誌の記事もそうですが、海外の雪の結晶について書かれた本を見ると、必ずといっていいほど中谷宇吉郎博士の名前が出ています。中谷博士はベントレーの写真集を見て雪の結晶の美しさに魅せられ自ら写真を撮り、ついに実験室で雪の結晶を作ることに成功しました。実験室の中では温度や湿度を変化させることができるので、その違いにより雪の結晶の形が違うことがわかりました。その結果により、温度と湿度から雪の結晶の形がわかる「中谷ダイヤグラム」を作りました。
 中谷博士は随筆家としても有名です。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を聴いたこと、読んだことがあると思いますが、中谷博士が書いた随筆に由来するものです。
・・・、天然に見られる雪の全種類を作ることが出来れば、その実験室内の測定値から、今度は逆にその形の雪が降ったときの上層の気象の状態を類推することが出来るはずである。 このように見れば雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。
この文章は、昭和13年に岩波新書の創刊時の一冊として刊行された「雪」に載っています。
 日本人には雪の結晶でもう一人有名な人がいます。話は江戸時代に遡ります。「雪花圖説(せっかずせつ)」(天保3年:1833)と「續雪華圖説」(天保11年:1840)を世に送り出した、関東下総国古河(現在の茨城県古河市)の城主、土居利位(どい・としかつ、1789〜1848)です。土井利位は天保8年(1837)に大塩平八郎の乱を治めました。
(図3)古河市歴史博物館図録
(図3)古河市歴史博物館図録

「雪華圖説」は利位が古河で顕微鏡(今よりは簡単な物)を使って観察した雪の結晶を書き写したもので、「續雪華圖説」は大阪や京都で観察した時のものです。(図3)にその一部が載っていて、顕微鏡写真と比べると、雪華模様ともいえますが、雪の結晶が六角形であるという特徴を捉えています。利位は蘭学を学んでいたので、同書には自然現象に対する科学的な解説もあり、上昇気流により雲が発生することも書かれています。
当時の書物は木版ですから両書はたくさん出版されませんでした。また、それに載っている雪の結晶は細密画ではありませんが模様として美しいもので、利位自身も印籠や硯箱などの身の回りの物(図3)に使用していました。雪華の図柄は当時の人々にもてはやされ着物の柄にもなり、浮世絵にも描かれました。
雪の結晶の図柄は今でもいろいろと使われていますね。古河市では6・3制により昭和22年に開校した古河中学校(現古河市立古河第一中学校)の校章が土井利位の図説から取ったものです。今でも旧古河市の小中学校では多くの学校が雪華の模様を校章としています。
古河市を訪れると雪華は町のシンボル的存在で、あちこちで雪華を眼にします。(写真1)は町の繁華街の街路灯です。古河市歴史博物館の隣にある古河文学館の2Fのレストランの看板(?)の装飾にも雪華が描かれていました(写真2)。古河第一小学校を取り巻く歩道の敷石(写真3)もそうですし、その学校の生垣にも雪華の模様(写真4)が使われていました。ちなみに、古河市歴史博物館には土居利位に関係したものが所蔵されています。土井家の墓所がある正定寺にも利位の描いた雪華の図集があり、(写真5)のように本堂の窓ガラスも雪華のような模様がありました。本堂内部にも雪華模様があしらった物がありました。

(写真1)街路灯の上にある雪華模様
(写真1)街路灯の上にある雪華模様
(写真2)レストラン看板
(写真2)レストランの看板
(写真3)古河第一小学校周辺の敷石の雪華模様
(写真3)古河第一小学校周辺の敷石の雪華模様
(写真4)古河第一小学校生垣の雪華模様
(写真4)古河第一小学校生垣の雪華模様
(写真5)正定寺の本堂
(写真5)正定寺の本堂


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