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連載エッセイ [2013年11月]


福岡義隆

 

 

 雪の結晶を人工的に作り出したことで有名な雪氷物理学者の中谷宇吉郎は寺田寅彦の門下生でもあった。空気の温度と水分量の組み合わせで色んな美しい雪の結晶ができることを実験で示し、その経験をもとに上空から降ってくる雪の結晶をみれば、結晶が形成された高度あたりの気象条件が想像できるということである。大陸から運ばれる雪を調べればPM2.5も硫黄酸化物や窒素酸化物も把握できる。大気汚染の源も辿れるし、それらがもたらす気管支などの疾患の予防にも役立つ情報ともなる。十一月も中ごろになると初雪の便りは、日本全国八十もの気象官署の半数で見られ、冬はすぐ傍まで到来している。

 十一月上旬は暦の上で立冬ですから、寒さの厳しい山国にいては身を引き締めたくなり、冒頭の句を詠んだのではないかという。秋が深まりいく紅葉のころの晴天日には放射冷却が盛んとなる夜から早朝にかけてはことさらに寒い。そんなときは牛乳(句では「ちち」と読ませる)をぐいと飲むと、いつになく元気が与えられるように思われる。夏バテを回復させて寒い冬に備える秋には、身体を暖めてくれる効果のある根菜類入りの鍋物がよく、東北各地にみられる「芋煮会」はバイオエコの風物詩であろう。ごぼう、じゃがいもなどのほか、だいこん、にんじん、れんこん などの「ん」のつく食材が鍋料理の主役となろう。

 なぜこの句をバイオクリマ俳句とみなしたかというと、天気エッセーイストの倉嶋厚氏が、小春日和に近づく冬を思って気持ちが沈み勝ちになった時に出会ったこの句への思いを綴っていたからである(『季節の三六六日話題事典』東京堂)。倉嶋さんがある古老から聞いた興味ある話を紹介している。小春日和という陽気のころ、かつては漬物の野菜洗いや薪の用意など、冬への準備に忙しかったという。生活が便利になった今では、気持ちのうえだけで迫ってくる冬を思い寂しいのだという。人生の小春日和には、自分のできることを整理した上で、ナナカマドの実が輝く空を心静かに楽しもうと結んでいる。

 この句は俳人櫂未知子さんの著書『食の一句』(ふらんす堂)十一月十二日に紹介されているのであるが、櫂さんの解説にもあるように一読して思わずふきだしたくなる川柳と言ってもいい好きな句である。外見的にも白髪や皺の増えた仲間を喜ばすように「まだ若いよ」と互いに褒め合っている微笑ましい情景が目に浮かぶ。久し振りの旧交へこつこつ貯めた年金で牡蠣鍋を突きながら若い頃を懐かしむ。美味で栄養価も高いので、百薬の長たる酒とともに口へ運ぶ。孫自慢から薬自慢へ話題が変わる頃になって、ようやく向かい席の名前を思い出すほどに、名前がすぐ出ないボケの初期症状を軽減する知恵を出し合って帰途につく。



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