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連載エッセイ [46]
健康天気ことわざ
福岡義隆

 

 

小寒の氷大寒に解く

 

 

 

 二十四節気七十二候における1月のうちの節気は小寒と大寒であるが、気温のうえでは大寒の頃が年間で最も低くなるのが平年の季節推移である(付図参照)。ところが、大寒の方が小寒よりも寒さが厳しい筈のところ、たとえばエルニーニョ年などで暖冬異変ともなると、逆に小寒時より大寒時が暖かいことがある。自然現象ですら暦どおりにならないことに喩えて、物事が必ずしも順序通りにいかないことのたとえとして冒頭のことわざが使われる

 寒の入りから寒の明けまでの間、その寒さが病気などをもたらす菌類を死滅させる自然殺菌作用を発揮するのが正常な冬であるが、暖冬異変や都市気候の顕著な大都市の地下鉄などでは冬にも蚊が飛び交うことが珍しくない昨今である。

 「叩かれて冬の蚊を吐く木魚かな」は筆者流のパロディ的な笑いの俳句というか川柳となる。もともとは夏目漱石の俳句「叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉」の「昼」を「冬」に入れ替えただけでエコ川柳になるのである。漱石の句は蚊という季語からして夏の句なのであるが、冬に越冬する蚊の存在はまさに温暖化という環境問題を詠ったことになるのである。

 

 さて、大寒の1月15日ころは旧暦の小正月で、小豆粥(あずきがゆ)を食べて邪気を払う風習があった。すでに6世紀ころからあったということが「荊楚歳時記」に記録があるようである。明治初期にもあったことが清末の外交官黄遵憲さんが『日本国志』のなかで「十五日、赤豆粥(せきとうしゅく)を食す。この日、門松及び司命索(しめなわ)を取り・・・」と記されていることは興味深い。

 

 小寒から大寒に限らず、寒さに弱い人にとっては晩秋から初春の間中が「冷え性」に悩む。もちろん、西洋医学には「冷え性」という病名はないが、東洋医学では「冷え」状態が諸病気の発生に大きく関わっているという。事実、後漢時代に書かれたとされる『傷寒論』という本は東洋医学の原点とされる。傷寒論というのは「寒さに傷(やぶ)られた体(病気)を論ずる」ことであり、この本の初めの方に掲載されている「桂枝湯(けいしとう)」というのは生姜なども含むカゼ薬(体を温める生薬)である。この桂枝湯には葛根湯(かっこんとう)も含んでいるようである。日本でも葛根湯は江戸時代からどんな症状にも効くとされ、葛根湯処方する葛根湯医者がいたという。下痢でも腹痛でも、あるいは吹き出物やかゆみ止めにも効くとしていろんな患者に出していたようだ。

 実際、体が冷えると、体内にコレストロールや中性脂肪、糖などの余剰物、尿酸、乳酸など種々の物質が燃え残り、血液を汚すことから種々の病気が発生していくと考えられている。風邪は万病の元というのは、けっして言い過ぎではない。葛根湯の効能書には「カゼ、気管支炎、結膜炎、中耳炎、頭痛、肩こり、発疹、化膿疹、下痢、赤痢、高血圧、夜尿症などに効く」とされている。(石原結實、2007)

 

[付図] 同じ冬至〜立春、あるいは小寒〜大寒でも地域によっては温度に大きな差がある。次図の倉嶋による気温の季節は温暖化以前のデータに基づくものであるが、全般的なパターンの上ではほぼ同じと言っても差し支えないであろう。東京や大阪の冬(小寒・大寒)は北海道の晩春とか初冬にしか該当しないし、東京や大阪の初夏や晩秋が沖縄における冬季にあたる。

 

図  気温の季節 (倉嶋 厚:『日本の気候』より)

 

文献:

中川 勝:『楽水』 (東京図書出版、2008)
樋口清之:『日本人の言い伝え、ものしり辞典』 (大和出版、1978)
興膳 宏:『漢語日暦』 (岩波新書、2010)
石原結實:『東西医学』 (講談社α新書、2007)
倉嶋 厚:『日本の気候』 (古今書院、1966、2002)



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