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連載エッセイ [39]
健康天気ことわざ
福岡義隆

 

 

花は半開酒は微酔

 

 

 秋の紅葉は開花現象ではないが、コウヨウも半ばほど良いと思う。緑が適度に残っていて、紅葉や黄葉が混ざっている方がカラフルで見所と言えそうである。酒も大トラよりは小トラ、ほのかに頬が赤くなる微酔がかえって色気を伴い、モミジを愛でながらの美酒も風情がある。そのうえ、微酔は、案外に人によい印象を与え、かつ体に無理がかからず、肝臓も痛めない、よい飲み方と言えようか。

 ところが秋のモミジが昨今の温暖化で遅れ気味だけでなく美しさも半減という傾向がみられる。特に街中の黄葉(イチョウ)や紅葉(イロハカエデ)がヒートアイランドの影響で、都心ほど遅くかつ斑な現れ方を示していることが松本太理博による熊谷市での研究で明らかにされている(松本2002)。

 植物季節への影響は温暖化だけではない。酸性雨などの大気汚染によって樹木の生育障害が年輪幅に現れていることは事実であるが、国内外を問わず最近10数年分の成長幅が徐々に増えている傾向にある。もちろん、最も外側が最近の成長分であり樹齢の大きい木の場合は、老衰で年々の成長量が漸減するのが普通であるが、その分を差し引いても右上がりになって、ホッケースティックのように見える。その形の類似性からホッケースティック現象と呼ばれている。

 その成因は言うまでもなく、一つは地球温暖化であるが、他の成因の一つは酸性雨や光化学スモッグの原因物質の一つである窒素酸化物が、あたかも窒素肥料のごとく作用して成長を促していると考えられ国際会議でも争点の一つともなり、ある程度まで認められている。いわゆる肥料効果(fertilizer effect)という説である。

 実測値(赤線)やシミュレーションで示された地球の気温の変化と年輪成長パターンが類似している。そのパターンがホッケースティックのように見えるのでホッケースティック現象とも言われる。言うまでもないことであるが、温暖化が即成長加速とばかりとは言えない。温暖化が土壌の乾燥化を招き成長を阻害する場合もある。

 

図 秩父のスギ年輪

 

 乾燥年にはその前後の年にくらべ成長が悪い傾向があるし、日本でもかつて江戸中期からの旱魃飢饉の頃はスギの年輪成長量が小さい傾向がはっきり現れている(福岡1982、竹内2006)。

 年輪を見ていると、この木は何歳ころか異常気象で生長が悪かったり、環境汚染で死ぬ目に会ったかもしれないと思うことがある。そして、そういう樹木を蘇生させる樹木医というのは大事な仕事だと思う。なんと、昭和の初期に既に宮澤賢治は「植物の医者」という言葉を使って『三人兄弟の医者と北守将軍』という童話を書いていたことを知って、その先見の明に感動するばかりである。

 樹木医が必要とされるほどに環境が悪化するということは、人間の生活環境悪化が人の健康にも良くないことにもなるわけで、まさに警鐘ともなっているのである。

 

文献:

志賀 貢:『病い知らずの健康ことわざ事典』(雄鶏社、1993)

松本 太・福岡義隆:『熊谷市における都市気候と植物季節の関係(第1報)―イチョウ、イロハカエデの紅(黄)葉を例として』(日本生気象学会誌39(12) 3−16、2002)

竹内琢磨・福岡義隆:『樹木年輪を用いた環境変動の要因解析』(年輪研究会大会要旨、2008)



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