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生きもの歳時記 万葉の生きものたち


蛍(ほたる)

♪ほう、ほう、ほたる来い、あっちの水はにがいぞ、
 こっちの水は甘いぞ、 ほう、ほう、ほたる来い♪


 みなさんは、この歌を知っていますか?
この歌は、「ほたるこい」という江戸時代から親しまれている童謡で、ホタル狩りのときに歌われていたそうです。

 初夏の夕暮れ、川辺や水田で仄かに点灯を始めるホタルと、それを捕まえようとする子供たちの姿が思い起こされ、私たちに郷愁の念を呼び起こしてくれる歌の一つに挙げられるでしょう。


ゲンジボタル

 このようなホタルに関する歌は、現在までに俳句や短歌としても数多く知られており、古くは日本最古の歌集『万葉集』にも詠まれていました。

この月は 君来まさむと 大船の 思ひ頼みて いつしかと ()が待ち()れば 黄葉(もみちば)の 過ぎて()にきと 玉梓(たまずさ)の 使ひの言へば 蛍なす ほのかに聞きて 大地(おおつち)を 炎と踏みて 立ちて居て 行くへも知らず 朝霧の 思ひ(まと)ひて 杖足らず 八尺(やさか)の嘆き 嘆けども (しるし)をなみと いづくにか 君がまさむと 天雲(あまくも)の 行きのまにまに 射ゆししの 行きも死なむと 思へども 道の知らねば ひとり居て 君に恋ふるに  ()のみし泣かゆ

(作者不詳 万葉集 巻十三 三三四四)

今月は君が帰ってこられると、頼みに思って、いつかいつかと私が待っていると、はかなく死んでしまったと使いの者がきて言うので、ほのかにその言葉を聞いて、大地をまるで炎の上を踏むように飛び上がり踏んで、立ったり座ったり、どこへ行けばいいのかわからず途方に暮れ、思い迷って、八尺にも及ぶ長いため息をついて、嘆いても何の甲斐もないので、いったい何処に君はおいでになるのだろうと、幾後に従って、行って死のうと思うけれども、道がわからないので、ひとり居て君を恋い慕っていると、声が出て泣けてしまう。


ヘイケボタル
 この歌は、防人の妻が夫の死を伝えられて嘆き苦しむ悲恋歌で、この中で使われている「ほのか」の枕詞として「ホタル」が用いられています。古くから、暗夜に点灯するホタルの不思議な光は人の心をつかみ、時には霊を彷彿させ、私たちに様々な感慨の念を持たせていたことは間違いなさそうです。

 さて、このホタルについて、みなさんはどの程度ご存じでしょうか?日本で「ホタル」というと、ゲンジボタルやヘイケボタルのことを指しますが、日本には40種類以上、世界には約2,000種類ものホタルが知られています。ほとんどの種類は、卵、幼虫、蛹、成虫と一生を陸地で生活しており、ゲンジボタルやヘイケボタルのように幼虫期を水中で生活する種類は、世界でたったの5種類しか知られていません。実は、私たちが最も見慣れているホタルは世界的に非常に変わった種類でもあるのです。

ヘイケボタルの卵

 ゲンジボタル、ヘイケボタルはどのような一生を送っているのでしょうか?
 この2種類のホタルは、水辺のコケや草の根元に卵を産み付けます。その後、卵は2週間から3週間で孵化し、出てきた幼虫は水の中へ入ります。幼虫は水の中でカワニナなどの巻き貝を捕食し、4回の脱皮を経て終令幼虫になり、十分成熟すると上陸して蛹室を作ります。この中で蛹になり、初夏になると成虫になって飛び立ち、交尾相手を求めて光り始めるのです。

ヘイケボタルの蛹


ホタルの保全活動
 このように、古来から私たちの心に浸透し、また世界的に珍しい生活環を持つゲンジボタルとヘイケボタルですが、見掛ける機会はずいぶんと減ってしまいました。高度成長期以降、私達の生活はますます豊かになりましたが、その一方で身近な存在であったこれらホタルの生息場所は環境の悪化などにより狭められていきました。

 しかし近年、この事実に気づいた人たちが、ホタルを守るために様々な活動を始めています。生息地の保全や再生、創出の他、餌となるカワニナの養殖や飼育した幼虫の放流などを行い、初夏の夕暮れ時には観察会などを催して、私たちの目を楽しませ、同時に自然の大切さを学ばせてくれます。このような動きは全国に広まっており、国や県、自治体など様々なレベルで行われています。ホタルを守ることは、自然環境を守ることにつながることから、ホタルは自然保護の象徴になってきているようです。


 日本人の心に浸透した昆虫、ホタル。みなさんの家の近くには棲んでいませんか?

 今年の初夏、暑い日には夕涼みにホタル狩りなんていかがでしょうか?

「ほう、ほう、ほたる来い。」


ホタルの発光

 


■ 参考文献
三石暉弥 (1996) ヘイケボタル-可憐な人里の昆虫- ほおずき書籍.
大場信義 (1998) ホタルの生物学 昆虫と自然  33(7).
櫻井善雄 (1999) 水の風景140 ホタルの条件 月刊「水」1999年9月号 月刊「水」発行所.
佐竹ら校注 (2002) 新日本古典文学大系3 萬葉集三 岩波書店.

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