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生きもの歳時記 万葉の生きものたち


鮒(ふな)

 フナと言えば、コイやドジョウ等と並んで私たちにとって最も身近な淡水魚の一つです。幼い頃に近所の川や池でフナを釣ったり、網で掬った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 フナは、北は北海道から南は沖縄と非常に広い分布域を持っており、様々な水域に生息していますが、このことが私たちにフナを身近に感じさせる理由の一つなのかもしれません。

  このフナという名前の由来については、「フ」は浮、あふみ(近江)の上下略、あるいは水田や養魚池を指すもので、「ナ」は魚を意味する等、いくつか説があるようです。また、「フナ」にはギンブナ、ゲンゴロウブナ、ニゴロブナ等、それぞれ互いに外観がよく似たいつかの種、亜種が含まれており、私たちはそれらを総称して「フナ」と呼んでいます。


ギンブナ

 古く万葉集の中にも、次のように鮒を詠んだ歌があります。

沖辺(おきへ)行き ()を行き今や (いも)がため わが(すなど)れる 藻臥(もふし)束鮒(つかふな)

(高安王 万葉集 巻四 六二五)

沖辺へ行ったり、浜辺を歩いたりして、やっとあなたのために私が捕って来た、藻の中に潜んでいる小さな鮒ですよ。

 高安王のような身分の高い人物が、恋人のためにあれこれ必死になって手のひらほどの小さなフナを捕る。時代や場面は変わっても、大事な人を一所懸命に想う様は今も昔も変わらないようです。

  万葉集にフナを詠った歌があるように、フナを初めとする川魚は、古来より身近な食材として人々に利用されてきました。特に現在のように海洋漁業や畜産業が発達する以前は、動物性蛋白質の供給源として重要な食材であったに違いありません。


藻の中を泳ぐフナ

 フナの調理法としては、あらい、雀焼き、甘露煮等が一般的ですが、「鮒寿司」にして食されることもあります。鮒寿司とは、穀物の発酵を利用して作られる「なれ寿司」の一種で、琵琶湖の固有種であるニゴロブナの鱗、鰓、卵を除く内臓を取り除いて数ヶ月塩漬けにした後、米を詰めてさらに数ヶ月かけて発酵させてようやく完成します。

 この鮒寿司の歴史は古く、奈良時代には近江(現在の滋賀県周辺)から朝廷に特産物として献上されていたと言われます。しかし、現在では、残念ながらニゴロブナの産卵場となるヨシ原の衰退等、生息環境の変化に伴って原材料となるニゴロブナの漁獲量も減少し、鮒寿司もなかなか手の出ない高級食材となってしまいました。

  フナは、食材として利用される他、釣りの対象としても古くから人々に親しまれてきました。「釣りはフナに始まりフナに終わる。」と諺に言われるように、フナ釣りは、釣り堀で簡単な仕掛けを使っても楽しめますが、いざ本格的にやり込むと非常に奥の深いもののようです。特にゲンゴロウブナの改良品種である「ヘラブナ」釣りは、全国各地の池や湖で大会が開催されるほど多くの釣り人を魅了しています。


フナ釣りの様子

 ところで、魚には普通雄と雌がいて、両性生殖をすることで繁殖します。ゲンゴロウブナやニゴロブナにも雄と雌がいて、両性生殖で繁殖するのですが、ギンブナには何と雌しかいないことが知られています。では、彼らは雌だけでどうやって繁殖しているでしょうか?実は、このギンブナの卵は他の魚、例えば他魚種(コイ、ウグイ、ドジョウ等)の精子で受精させても正常に発生します。このような繁殖様式を雌性発生といい、生まれた子は、親の卵のみから発生するので、親と全く同じ遺伝子を持っています。言い換えれば、ギンブナは自分自身のクローンを作ることで増えているのです。

 何故にギンブナはこのような一風変わった繁殖様式を選択したのかは分かりませんが、この地味な魚が日本中の様々な水域に適応している事実と何か関係があるのでしょうか。

■参考文献
川那部浩哉・水野信彦編 (1995) 山渓カラー名鑑 日本の淡水魚 山と渓谷社.
佐竹ら校注 (1999) 新日本古典文学大系1 萬葉集一 岩波書店.

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