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生きもの歳時記 万葉の生きものたち


葦(あし)

 「日本の原風景」という言葉から、あなたは何を想像しますか?
 日本書紀や古事記などの日本神話の中では、日本はこのように呼ばれています。

豊葦原水穂国(とよあしはらの みづほのくに)


一面に広がるヨシ原(渡良瀬遊水地)

 豊かに葦(あし)が生い茂り、稲が穂を実らせる国という意味です。ここで登場する葦(あし)が、今回の主役、「ヨシ(アシ)」です。ヨシ原と水田が一面に広がるという景観が日本を代表する原風景であったことが想像できますね。

 ヨシは様々な古典の中に登場しますが、特に万葉集の中では50首余りもの歌に詠まれています。


()が聞きし 耳によく似る (あし)のうれの 足()()が背 つとめたぶべし

(石川女郎 万葉集 巻二 一二八)

私が聞いた噂の通りです、葦の先のように弱々しい足を病むあなた、お大事になさって下さいね。

(あし)の根の ねもころ(おも)ひて 結びてし 玉の緒といはば 人解かめやも

(作者不明 万葉集 巻七 一三二四)

葦の根が絡み合っているように、私たちの仲も強く結ばれていますと言ったら、他の人がその仲を割くようなことがありましょうか。

 ヨシのスラリと伸びた細い茎を傷ついた足に、地下をはりめぐる太い地下茎を男女の関係に見立てています。歌の中では「ヨシ」ではなく「葦(あし)」と呼ばれていますが、あしは「悪し」に通じるとして嫌われ、万葉集以降「ヨシ」とも呼ばれるようになったようです。現在はどちらの呼び名も使われています。

 ヨシ(アシ)は稲と同じイネ科の草本で、高さ1.5〜3mにもなります。河川敷や湿地に最も普通に見られます。

  天気の良い秋の日に、川の堤防をのんびり歩くとススキの穂が目につきます。しかし、ススキとヨシ、オギの3種類はとても似ています。もしかしたら、今までススキだと思っていた花が、実はヨシかオギかもしれませんよ。

  ヨシの観察のポイントは堤防よりも川に近い、じめじめしているところです。ススキやオギと見分けられるでしょうか?次回堤防を歩くときは図鑑を片手に挑戦してみてください。

  このようにヨシは気付かぬうちに一度は目にしたことのある植物だと思いますが、ヨシ原の面積は全国的に見て急速に失われつつあります。明治・大正時代に全国で2,111km2 あったヨシ原は、現在では821km2 にまで減少しています。なぜヨシ原は減少しているのでしょうか。

  第一にヨシは平坦で水分が多い場所を好んで生育しますが、そのような立地は開発の影響を受けやすいと考えられます。河川沿いでは堤防の建設、河川敷の利用、湿地では干拓、宅地造成等が挙げられます。

  第二に、人々の生活形態の変化に伴ってヨシが利用されなくなってきたことが考えられます。古くから日本人はヨシの茎を様々に利用してきました。屋根葺き、垣根、よしず、あるいは燃料、肥料、新芽を食用にしたという記録もあります。しかし、現在ではほとんど利用されなくなっています。また、丈夫で良質なヨシを育てるために、春先にヨシ原に火をつけることを「ヨシ焼き」と言います。よしず生産が盛んであった昭和30年代から始まりましたが、それも現在では珍しくなっています。

 一方で最近、ヨシ原の生態系やその貴重性が認められつつあり、ヨシ原の再生が日本各地で試みられています。

 古い時代から受け継がれてきたヨシを愛する日本人のこころを大切にしていきたいものですね。


水辺に群生するヨシ

 

■参考文献
木村陽二郎 (1991) 図説植物草木名彙辞典 柏書房.
林弥栄 (1989) 山系ハンディ図鑑1 野に咲く花 山と渓谷社.
亀山章・倉本宣・日置佳之 (2005) 自然再生:生態工学的アプローチ ソフトサイエンス社.
桜井善雄 (2005) 水の風景204、205ヨシと日本人の深い縁 雑誌 月刊「水」2005年2月号、3月号 月刊「水」発行所.
佐竹ら校注 (1999) 新日本古典文学大系1 萬葉集一 岩波書店.
佐竹ら校注 (2000) 新日本古典文学大系2 萬葉集二 岩波書店.

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