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連載エッセイ [23]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
風下波動(2) ― 特性の分類 ―
風下波動(山岳波)のさまざま

 風下波動は正しくは山岳風下波動(mountain lee wave)と言うべきだろうが、風下波動または山岳波と言うことが多い。 北岩手における2008年10月12日の例は連続エッセイ『暮らしの中のバイオクリマ』[43]で、また、2010年11月11日の例については筆者の『極端化する気候と生活』(古今書院、2013年)に紹介した。
 比較的近年になって指摘されたが、北岩手風下波動は日本における見事な例である。グライダーなどの競技で長距離滑空の条件として知っていなければならないばかりでなく、波動が地面に降りてくるところは強風でガストも大、乾燥している。農作物・肉類の乾燥条件としてよい。この風が吹くと夜間の接地逆転層は発達しないので、霜害も比較的少ない。しかし、日中は気温が上がらず、体感気温が低く寒い。バイオクリマの種々の条件に関係する現象の指標として、風下波動には注目しなければならない。
 今回は、風下波動の波長、すなわち、よく発生する位置について述べたい。吹き出しサイクル、波頭下の渦など、種々の特性を明らかにしなければならないが別の機会に述べたいと思う。以下、北岩手風下波動について現在わかっていることを述べ、今後の詳しい研究への足がかりとなることを期待したい。

2014年10月10日の例

 今年の秋は見事な“北岩手風下波動”がよく発生した。(写真1)は2014年10月10日の早朝7時20分に撮影した。画面の最下部に白い雲の堤が見えるが、ここが奥羽山脈の山頂部分を覆うフェーン壁である。この堤の向こう側(風上側)は雪か雨が降っており手前に吹き越してきた風はフェーン現象により乾いている。空は下降気流域のため青空である。
 その下降気流は地面にぶつかって上昇気流となる。ハイドロウリック・ジャンプ(はね水現象)とよばれる。そして、画面では白い雲を生じる。これが風下波動の第1波である。雲の分類では片積雲かも知れないが、好天(移動性高気圧の中の晴れた日中)の積雲とは異なり、お椀を逆さにしたような形をしており、上面はへらでなでたように滑らかである。

(写真1)上空の西風がやや強い時の風下波動。
フェーン壁(遠方の山脈、画面下部)と、風下波動による第1波の波頭の白い雲(画面の右半分の上部)。
2014年10月10日7時20分、雫石にて吉野撮影。

 次に、(写真2)に風下波動による雲列が2本見られる場合を示す。

(写真2)上空の西風がやや弱い時の風下波動。
フェーン壁(画面最奥の山脈上にかかる)と、風下波動による第1波(画面中央部を左右に延びる)と、第2波(画面の左上)。
2014年11月19日6時24分、雫石にて吉野撮影。

 フェーン壁が奥羽山脈にかかることは、(写真1)の場合と同じだが、この11月19日の例だと画面の中央部を左右に雲の堤が走っている。これがこの日の風下波動の第1波である。そして画面の左上には第2波の1部が見えている。推定では奥羽山脈の尾根線から第1波まで7〜8km、第2波まで16〜18kmである。衛星写真などでより詳しい測定が必要である。あるいは地上を走り回り地図上にプロットするなり、観測地点を多数対象地域に設けて同時観測をするなりしなければならない。いずれにせよ大掛かりな研究となる。

風下波動の波数と波長

 特徴の第1番目に重要なのは波数と波長である。すでに連続エッセイ『暮らしの中のバイオクリマ』[43]で述べたように、その南北に走る風下波動の1本の波頭の位置は2008年10月12日の例では、奥羽山脈の東側約16kmを南北に連ねていた。
 そこで、いま写真撮影をしている雫石地域を基準として、山脈と雫石地域の間に風下波動による波頭が1本の場合と2本の場合の風の状態を(表1)にまとめた。

(表1)風下波動出現日*の雫石の風速と風向

日付 雫石で観測
した**波動
日平均風速 最大風速
風速その風向
最大瞬間風速
風速その風向
最多風向

2008年
 10月12日
1 3.1m/s 7.6 m/s W 12.7 m/s W WSW
2010年
 11月11日
1 2.7 7.3 W 12.8 W WSW
2014年
 10月10日
 11月15日
 11月19日
 11月20日
1
1
2
2
3.2
2.3
2.3
0.8
8.4 WSW
7.1 W
5.8 WSW
3.3 WSW
16.8 W
12.8 W
9.8 W
5.5 SW
W
WSW
W
NW

*:定時観測しておらず写真がある場合に限る。
**:雫石長山地域から東方向(盛岡方向)については波数を観測してない。すなわち、奥羽山脈と雫石地域との間の地域。

 この表で明らかなように、風が強い時ほど波長(奥羽山脈から第1波頭までの間隔)が大となる。波が1波の場合は風下側約15km、2波の場合は第1波が7〜8kmで第2波が16〜18kmである。
 このような風の強い時は最大風速は7m/s以上でその風向はW、最大瞬間風速は12m/s以上でその風向はやはりWである。風が比較的弱い場合、最大風速は6m/s以下で風向はSWになる。極めて細かい差である。今後さらに例数を増やしてこの限界条件を検討しなければならない。
 この地域に住む人びとにとっては、波が降りてきたところ(乾燥した風の強いところ)に位置するか、波頭の下の風が弱いところに位置するかによって影響はプラスにもマイナスにもなるので、大きな関心事である。


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