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連載エッセイ [16]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
盛夏の雨季 ―異常多雨―
現象と名称

 梅雨が明けて、少し経過した7月下旬か8月初め頃、気圧配置は梅雨型になり前線に沿って陰鬱な梅雨空が戻り、局地的には大雨・雷雨・竜巻などの異常気象が起こることがよくある。最近このような“梅雨の戻り”の現象が頻々と起こり、回数ばかりでなく、強さが極端になってきた。
 前の連続エッセイ『温暖化と生きる』〔41〕で、このような“梅雨の戻り”について述べた。同じ文章は『極端化する気候と生活』(吉野2013、古今書院)に収録されている。そこには、“梅雨のもどり”とか、“もどり梅雨”という語は筆者の造語だと書いたが、その後、二〜三の辞典に“戻り梅雨”、“返り梅雨”の語が載っていることを知った。“学のない”ことを披露してしまったことを恥じている。そして、このような現象が一般の人たちに経験的に知られていたことに驚いた。日本人の季節感覚の鋭さに、今さらながら感心した次第である。一方、長雨は9月になれば“霖雨の走り”・“走り霖雨”とも言えようが、盛夏のような高温な季節の感覚ではない。また、盛夏の雨季の雨は、秋の長雨のような弱い雨のイメージとは程遠い強さ・多量の雨である。8月を中心にした日本の盛夏の雨季はまた別としたほうがよかろう。
 それはとにかく、盛夏に東アジアに“雨季”と呼んでよいほどの気象状態が現れることは確実となってきた。複合異常気象災害の捉え方については、この連続エッセイ〔14〕〔15〕に扱った。例えば、“異常高温”と“火山噴火・地震・津波”の複合の他に、“異常高温”と“台風”・“洪水”・“山崩れ”・“地すべり”などの複合があることを指摘した。今回は、21世紀になってしばしば発生する“異常高温”と“異常多雨”をともなう複合異常気象である『盛夏の雨季』について述べたい。

日本列島付近の停滞前線

 最近の地上天気図を見ると、日本列島付近に停滞前線がある場合が、昔より多くなってきているような気がする。詳しい統計結果が出るのを待ちたい。
 その停滞前線に沿う降水活動はどのように変化してきたか。いま、一つの統計結果として(表1)を 示す。

(表1)日降水量100mm以上の月別日数。日本全国51地点の合計。(気象庁による)

30年間の期間 5月 6月 7月 8月 9月 10月 合計

1901−1930年 2.6 6.9 6.8 9.2 8.9 4.3 38.7
1977−2006年 3.2 8.4 8.8 8.7 11.7 5.5 46.3


 この(表1)からわかることは以下のようである。
(1) 20世紀末から21世紀初頃の30年間と、約70年前の30年前とを比較すると、暖候期には日降水量100mm以上の日数は増加している。
(2) 8月のみ、わずかに減少している。しかし7月・9月は2〜2.8日増加している。
(3) この現象は梅雨前線・秋雨前線の活発化を意味しよう。
(4) 8月(盛夏の雨季)の日数が減少しているにもかかわらず、停滞前線の特徴や影響が最近明瞭になってきていると思われる理由は、a)この統計をとった20世紀末〜21世紀初(2006年まで)以降、最近傾向が変わってきているのか、b)日数(回数)は少なくても1日あたりの値が大きくなってきているのか、c)(表1)は全国51地点の合計だから、盛夏の雨季の強雨・豪雨・多雨はかなり局地的で、日本全地域を覆うような地域規模ではないのか、などがあろう。2014年8月に四国の太平洋側県(高知県と徳島県の1部)で発生した例は後述する。

盛夏の停滞前線帯

 2014年7月29日12時にマリアナ諸島で台風11号が発生した。8日、9日とフィリピンの東海上を発達しながら遅い速度で北上し、10日6時過ぎに高知県安芸市付近に上陸した。この台風による直接の高温多湿な気流や周辺の南からのやはり高温多湿な気流がもたらした雨は、高知県安芸郡馬路村魚梁瀬で8月7日12時から10日24時までに1081.0mmに達した。(図1-a)は、7日と8日の地上天気図と気象衛星赤外画像、(図1-b)は、同じく9日と10日である。
(図1-a)2014年8月7日と8日の地上天気図(左側)と気象衛星赤外画像(右側)(気象庁による)
(図1-b)2014年8月9日と10日の地上天気図(左側)と気象衛星赤外画像(右側)(気象庁による)

 この図からわかることを列記すると、
(1) 台風の他に停滞前線が長く延びている。特に、7日は中国の東経120度から170度まで延びている。
(2) 北日本、すなわち、日本の東北地方北部には、この4日間ほとんど動かずに停滞した。雲の画像からもわかるように、厚い雨雲の下にあった。
(3) 台風による多雨・豪雨・強雨地域の他に停滞前線付近の多雨・豪雨・強雨地域を注目しなければならない。
 このような、停滞前線が8月に3日以上停滞するのはめずらしい。2003年、2011年などに例がある。2014年はさらにこのあと発生し、(図2)に見るように8月15日・16日にも発生した。
(図2)2014年8月15日と16日の地上天気図(気象庁による)
 北太平洋高気圧とオホーツク海高気圧が発達していて気圧配置は典型的な梅雨型気圧配置である。停滞前線の近くは大雨・豪雨・強雨である。しかし、少し離れた高気圧圏内では猛暑であった。日本列島としては深刻な複合異常気象災害に見舞われた。
 なお、8月〜10月の4ヶ月間の停滞前線の出現頻度はラニーニャ年に大となる傾向が強い(田中ほか、2009、日大文理学部自然科学研究所研究紀要、44、237−243)。長期変動の他、このような大気循環の変動も考慮に入れた研究が必要である。


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