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連載エッセイ [04]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
異常積雪
異常積雪とサバイバル

 短時間のうちに異常に多量の積雪に見舞われると、自宅の中や、働き場所や、その間の往復の道路上や、交通機関の中に閉じ込められる。場合によっては、凍死、空腹・脱水症状や落雪による事故死など、サバイバルの限界を超える。
 この連続エッセイ[02]でも今年の2月8日と14日の大雪について書いた。まれにみる記録的な大雪で、その被害も多方面に深刻な影響を及ぼしたことを紹介した。その後、2月14日15日、日本各地からさらに大雪による被害の情報があり、まれにみる大災害の様相が明らかになってきた。積雪量が多く、従来型の被害が多額に及んだばかりでなく、新しい分野、新しい形態の災害を生み出したところに問題点がある。当然、対策も十分でなかった。まず、14日、15日、16日の積雪速度、量をみよう。

2014年2月14日頃の天気変化

 連続エッセイ[02]で書いたように、2月14〜15日の1週間前、2月8日に日本列島には南岸低気圧による大雪が降っていた。その積雪量も記録的であった。いわば、2月14日の積雪災害は複合災害の様相を持ったものであった。(図1)は14日6時から16日18時までの天気図である。14日朝6時には九州では雨、四国では雨または雪、本州の南岸、関東地方の南部でも雪が降っている。南岸低気圧はまだ九州のはるか南にあって1016ヘクトパスカル、発達していない。

(図1)2014年2月14日〜16日の天気図 (気象庁による)
(左上)2月14日6時,(右上)2月14日18時
(左下)2月15日9時,(右上)2月16日18時

 ところが2月14日18時の天気図(図1・右上)で見るように低気圧の中心は1004ヘクトパスカルに深まり、雪が関東地方から中部地方の日本海側まで降っている。低気圧が急速に発達した状況がわかる。2月15日9時の天気図(図1・左下)で見ると、この南岸低気圧はさらに発達して中心気圧は996ヘクトパスカルにまで低下した。天気図内の地点では雨が多いが、新潟は雨または雪で、気温の低い山間部では雪になっていたことはうかがえる。その後、1日半経った16日18時(図1・右下)では低気圧は三陸東方に去り、北海道・北日本を除いて天気は晴れまたは快晴に回復した。
 今回の大雪は日本全国に及び、特に低気圧が接近した中部地方・関東地方の山間部でひどかったことが理解できよう。

集落孤立

 今回の大雪の被害で最も特色があったものの一つが山間地の集落孤立であろう。(表1)にその主な状況をまとめた。宮城県の丸森町、埼玉県の秩父市、東京都西部の檜原町で特に多数の孤立被害者が出た。(表1)の市町村名を見れば、関東地方西部の山地、山梨県との境界を越して山梨県内において被害が大であった。

(表1)2014年2月14〜15日の降雪・積雪による人的被害

都県 市町村 世帯数 人数 備考

宮城県 丸森町 800 2,400
群馬県 南牧村
万座温泉
200

400
高齢化率57%
足止め客
埼玉県 秩父市 2,600
東京都 奥多摩町
檜原村
266
1,194
494
2,460
 
山梨県 早川村
小菅村・丹沢村
甲府市
河口湖



1,200
1,300
1,600
150


 
ホテル宿泊客

(データ:種々のソースによる。未確認のものもあり、精度は一定でない)

(図1)の天気図からわかるように、
(1) 南岸低気圧の中心、すなわち、太平洋岸側に近く、
(2) 山間地で、海抜高度は数百m、±約300m、
(3) 上空の北〜北西からの気流も入って来やすい、
などの条件が重なった地域である。
 (表2)に県別の死者数を示す。群馬県で最も多く7人であった。

(表2)県別死者数

死者数

群馬県 7人
埼玉県 2
山梨県 2

日本全国合計15

 今回の集落孤立被害で特に重視しなければならないのは、高齢者の一人暮らし住宅が近年多くなった点である。高齢者は除雪作業ができず、買い物外出・近隣者との日常会話などが不可能になり、孤立状態の深刻化を進める。また、人工透析・酸素吸入などの健康維持治療が困難になった。これなどは最近、新しく課題に上がった在宅看護の問題で、孤立集落の被害対策として至急検討を要する。

農業被害

 これまでも、大雪による被害はあった。畑の野菜が雪を被って傷んでしまい、枯れないまでも品質が落ちて市場価格が落ち込む。農家にとって手痛い被害であった。一方では、「大雪の年は豊作」という俚諺もあり、水田農業を中心とした日本の昔からの農業では、山に雪が貯えられ、春になって溶け出す水は、貴重な水源であった。
 ところが昨今の農業は施設園芸が大きな比重を占める。施設という建築物だから、積雪の重量が被害をもたらす。ハウス内の温度管理・肥培管理は非常に高度に設計されていても、ハウス自体の強風や積雪対策は費用の点から完全ではないのが実情である。では、何をもって完全というか。ある程度以上の災害は何年に1度なのだから保険で支払うか。これは今回の大雪の農業被害ばかりでなく、我々がいつも突き当たる自然災害対策の課題である。
 ハウスの災害について現在報道されている大きな被害は(表3)に示すとおりである。

(表3)2014年2月14〜15日の大雪による農作物・農業用ハウスの被害

市町村 被害内容

福島県 郡山市 ブロッコリー全滅
群馬県 沼田市・高崎市 85棟倒壊。キュウリ、トマト被害。被害額147億円
県全体で約247億円。ハウスなど施設被害は約92億円
栃木県 (南部) 出荷最盛期のイチゴ直撃。8億4000万円
埼玉県 熊谷市 春カブ、ニンニク全滅
  深谷市 1627棟(全ハウスの約70%)が倒壊
県全体で約229億円
山梨県 約173ヘクタール。約71億円。ブドウ・モモのハウス被害
長野県 3,634棟損傷。上田市は最多で366棟

1都5県 農業被害額は621億円。(農林水産省2月24日発表)

 以上のように大雪によるハウス被害は莫大であった。ブドウ・モモのような果樹の被害は多年に及ぶことも特徴である。ハウスそのものが建造物として多年に渡る影響を受け、栽培されているものが1年生の野菜ばかりでなく果樹である点が新しい問題を提起する。


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