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連載エッセイ [01]
異常気象時代のサバイバル
吉野正敏

 
厳寒の冬
2013年〜2014年の低温

 この連続エッセイを企画した2013年の晩秋、来るべき冬がこれほど低温になると、正直に言って、私は予想してはいなかった。天候俚諺では「暑い夏の後の冬は寒くなる」とか、「昆虫が卵を草の葉の高い位置に産み付けると、来る冬には雪が深い」とか言われていて、酷暑の2013年の後の冬の低温・多雪を何となく予感はしていた。異常気象時代の実態・予測に人一倍気を使っているつもりではあったが、2013年末から2014年1月の低温、そして大雪には驚いている。

前世紀の低温

 いわゆる「小氷期」は19世紀後半から20世紀前半にかけて最も顕著であった。この低温な時代は北半球ばかりでなく、南半球でも起こった。最近、世界の研究者が集まって、議論を活発に行っている。(写真1)は中国東北地方の松花江の河岸都市、牡丹江付近で見られた春の解氷の状況である。冬に結氷した河川氷の厚さ、そのせり上がり状況の凄さが推察できよう。日本では諏訪湖のお神渡り(おみわたり)が結氷の状況を示し、その祭りの日の遅速(祭りの有無)が、冬の寒暖変動の指標となる。しかし、結氷した氷の板が割れてせり上がり、氷の堤が出来たもので、河川の結氷・解氷とはメカニズムが異なる。河川にせよ湖にせよ、結氷・解氷の長年の記録は冬の気候変動の記録として価値が高い。

(写真1)中国の東北地方、松花江の解氷。1941年春。ムータンチャン(牡丹江)にて根本準 撮影)

 冬の寒暖の歴史はかなり昔から研究されていた。冬だけに限って歴史時代の資料の記録を田口龍雄は1930年代にまとめている(表1)。

(表1)田口龍雄が編纂した「日本気象資料」による18世紀と19世紀の冬の寒暖

  甚寒 寒多 甚暖 暖多

18世紀 21 19 40 11 7 18
19世紀 19 34 53 8 9 17

(オリジナルは神戸海洋気象台彙報9、10、表は、天気と気候、16(11)、7−11による)

 20世紀の前半は低温であったが、主に夏の低温が注目された。1902年、1905年の凶作は当時の日本の食料問題に関わり、国家的な課題になった。もちろん江戸時代の天明・天保の大飢饉以来、明治時代の18〜19世紀から何度も深刻な凶作があった。作物の生育が関わるのだから生育期間である夏を中心とした季節の気候状態が主として研究されたのはやむをえない。今日のように、食料の国家間の輸出入がありえなかった時代だったから、正に、サバイバルに関わることであった。

世界の異常気温・異常降水量

 異常気象と言っても、気温の高低の異常と、降水量・降雪量の異常とでは気象学的な原因が違う。もちろん、その影響の結果、言いかえれば、人間や動植物のサバイバルには違った影響・効果となる。
 原因が異なると言っても高気圧・低気圧の発達する位置・強弱・移動速度などを仲立ちとして、同じ原因に求めることができる場合もある。それは、いわゆるシノプティックスケールの現象の場合である。シノプティックスケールとは数100kmから2,000kmくらいの地域スケールの現象で、移動性高気圧や温帯低気圧がその典型的なものである。よくテレビ等で耳にするのは、この他、梅雨前線(停滞前線)、小笠原高気圧、北太平洋高気圧の西縁の形状などがある。したがって、半球規模、あるいは、局地規模(関東平野、北陸沿岸など)の地域スケールの話ではない。
 重要なことは、シノプティックスケールの現象は、またさらに大きなスケールの現象に支配されていることである。例えば、東アジアの移動性高気圧や温帯低気圧の位置・強弱・移動速度などは対流圏上層の偏西風の挙動に支配されている。これだけのことをよく理解して、2013年の世界の異常気温・異常降水量について考えてみよう。“異常”と言う言葉では共通していても、気温の高低と降水量(降雪量)の多寡に分類してみると、その地域・季節などに違った特徴がある。(表2)は、2013年の世界の異常気象のまとめである。

(表2)2013年の世界の異常気温・異常降水(降雨・降雪)の特徴

異常気温 異常降水

1 オーストラリア、異常高温 ヨーロッパ、異常多雨
アメリカ合衆国東部、異常多雨
2 ヨーロッパ、異常多雨
3 ヨーロッパ、異常多雨
4 アメリカ合衆国東部、多雨
5 ヨーロッパ、異常多雨
6 インド北部、異常多雨
7 東アジア(日本・中国)、異常高温
8 東アジア(日本・中国)、異常高温
9 オーストラリア、異常高温 アメリカ合衆国中西部、豪雨
10
11 フィリピン、台風災害
12 トルコ・エジプト北東部、異常低温


 以上の表から読み取れることは、(1)異常気温・異常降水ともに北半球に多い。(2)異常多雨はアメリカ合衆国東〜北東部で多い。(3)ヨーロッパで異常多雨が多い。(4)オーストラリアの夏の異常高温などであろう。

偏西風の蛇行(曲流)

  ここで気が付くのは、アメリカ合衆国東〜北東部、ヨーロッパ、東アジアは対流圏の偏西風が蛇行(曲流)して低緯度まで南下するところ、気圧の谷が発達するところである。気候学的には、西経80°、東経10〜20°、東経120°が谷の位置である。
 では、どうして3本の谷が北極地方から低緯度に向かって延びるのか。その理由は、偏西風が北アメリカではロッキー山脈、アジアではチベット高原、ヨーロッパではアルプス山脈の風下で大きく蛇行(曲流)し、谷を形成するからである。この谷の西側では高緯度から寒気が南下し、谷の東側では低緯度から暖気が北上する。したがって、これらが強化されれば異常な気温低下、上昇となる。冬ならば谷の西側で異常低温が観測され、夏ならば谷の東側で異常高温が観測される。
 合衆国東〜北東部、ヨーロッパ、東アジアはいずれも世界的にみて経済・文化が栄えている。したがって、異常気象がサバイバルにとって重要な関心事であることを、2013年の例だけでもよく示している。(表2)と同じように近年の他の年についてもまとめてみれば、さらに確固とした詳しいことが言えるであろう。


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