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連載エッセイ [45]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
アルデンヌ高原の風と住居
 
北西ヨーロッパと東アジアで酷似する現象

 「ところ変われば品変わる」といわれる。地方によって文物さまざまで、いわゆる地方色があり、独自性があるという意味であろう。これは確かではある。しかし、他方では、類似した現象・文物・人間の生活習慣・様式などが遠く離れた地方で見られることがある。その一つが風に対する宅地防風林・防風垣である。今回は、所が変わっても品が変わらない例を紹介したい。

アルデンヌ高原

 アルデンヌ高原は、ドイツ西部のライン山地から西に続くアイフェル高原を経て、さらに西に続き、ベルギー南部に至る。いわば、北西ヨーロッパにおいて大西洋に面する最前線の山地である。従って、海抜高度は最高でも数百m 、200‐300mで決して高くはないが、大西洋からの偏西風がまともにぶつかる 。
 アルデンヌ高原上は牧場になっているところが広い。牧場の境界で樹高20mにも達する木々は(写真1)に見るように、見事な偏形樹になっている。

(写真1)アルデンヌ高原における牧場の境界にそってみられる編形樹。(吉野撮影)

 この写真を撮った時も霧であったが、大西洋からの気流は湿っているので、霧が多い。

アルデンヌ高原の住居

 風が強いので、住居の屋根型はきわめて特徴がある。現在でも残る草葺き屋根の農家の屋根の軒先は地上1m位まで延びる。強い風に対処するためである。スレート葺きの屋根を持つ木骨の美しい家は防風垣に守られ、風下側の平入りである。

(写真2)アルデンヌ高原の農家の住宅と防風垣(吉野撮影)

 (写真2)に典型的な家の配置を示す。屋根の軒は風上側(写真では画面奥)が地上低くまで下がり、風上側(画面手前)と非対称である。風上(画面奥、画面左)には防風林がある。その樹高はほぼ屋根の高さである。
 その後方(画面上では奥、左)にも、同じような住宅と防風林の配置が見られるが、やや新しい建造なので、風上・風下の非対称が無く、風上側(画面上では左)の防風林の高さは約4mで古い時代からのものよりやや低い。しかし防風林の幅は厚い。時代による卓越風に対する考え方の差、対処の差がわかって面白い。建築物として強固になったので、風上と風下の屋根型の非対称性で対応する必要が無くなった。 暴風垣の形態(高さ、厚さ)も変わってきた。

防風垣・防風林

 防風垣を風上側から見ると(写真3)のとおりである。一見、森のようにみえる。中の家屋が全く見えない。入り口の部分だけ開いていて、中の家屋が見える。

(写真3)アルデンヌ高原の農家の防風垣を外側からみたもの。樹種はロートブーヘン(ブナの1種)(吉野撮影)

 垣根に使われているのはロートブーヘン(直訳すれば、アカブナ、葉の色が赤みを帯びたブナの一種)である。関東地方ではシラカシが多いが、こんもりとした農家の防風林景観は酷似している。茨城県・千葉県・埼玉県・群馬県などの関東平野部で冬、空っ風が卓越するところにはこのような景観が多い。「ところが変わっても品が変わらない」好例だと思う。

モンシャウ景観

 ドイツではこのような防風林景観を“モンシャウ景観”と呼ぶ。 モンシャウとはアルデンヌ高原をきって流れる小さい川、モンシャウ川に沿う谷底に立地する美しい町である。(写真4)にその1部を見ることができる。

(写真4)アルデンヌ高原の中の小さい川にそって立地するモンシャウの町(吉野撮影)

 高原上に比べて、谷底は風が弱いので、ここに居住地ができ、現在は観光の中心地になっている。モンシャウ景観とは強風地域の農家住宅・防風林・防風垣の事だが、モンシャウの町自体は風が弱い谷底にある。


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