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連載エッセイ [28]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
厳冬のバイオクリマ
 
年末・年始の大雪と厳しい寒さ

 昨年の年末から今年の年始、厳冬を日本列島は体験した。いま、1月中旬だが、まだまだ続きそうである。地球が温暖化して暖冬に慣れたわれわれにとって、この低温と大雪は身にこたえる。個人ばかりでなく、暖冬に対応してきた社会全体も、このようにエピソードとして入る寒冷な冬は、各方面に大きな課題をもたらす。
 このことを、連続エッセイでは何度も取り上げて来たが、今回はどのくらいの程度であったか、東アジアでの実態はどうか、など紹介し、そして、可能な限りのバイオクリマへの影響の総括を述べたい。

2012年クリスマス寒波から2013年正月寒波へ

 12月25日、クリスマス寒波がやって来た。東北地方の日本海側、北陸で積雪は40僉∨務て擦30cm、近畿地方で20cmであった。12月27日頃、いったん寒さは和らいだ。ヨーロッパでは昔からクリスマス洪水と言って、クリスマス直後に寒さが和らいで、上流山間部の雪や氷が解け、河川は増水し、洪水によく見舞われたので、こう呼ばれた。気温推移から見ると年末の日本の状態はこれと似ていた。言い換えれば、温暖化する前の昔の気温推移(気温日日変化とも言う)と似ていた。
 12月31日から元旦にかけて、冬型の気圧配置が強まった。31日には北陸で50cm、東北地方の日本海側で40cm、北海道で30cmの大雪となった。
 1月9日のある新聞に、福島県猪苗代湖の天神浜周辺で見られる冬の風物詩『しぶき氷』の美しい写真が載った。湖面を吹きすさぶ冬の西寄りの季節風が湖岸の木々の枝に凍り付いて出来た氷の造形は、事のほか見事であった。東日本大震災の被災地の風景を“忘れるほどの美しさ”と言ったら叱られるだろう。しかし、このような日本の自然の美しさに日本人は、育まれ、元気付けられて、復興への力が湧いて来るのだと私は思う
 1月上旬の北日本の平均気温は平年より3.3℃低く、統計を取り始めてから4番目の低温であった。幾つかの地点の例を(表1)に示す。

(表1)2013年1月11日の日最低気温観測値

観測地点 観測値 備考

旭川市 −17.2 ℃
釧路市 −19.0
枝幸(えさし)町 −31.5 28年ぶりに4日連続して−30℃以下
陸別町 −29.0


 札幌市水道管の凍結は1,989件(1月10日現在)で、前年の同期の件数の約11倍であった。
 1月14日朝、東京都心部で積雪11cm、各方面に影響が出て混乱した。この雪は、13日正午に沖縄の西方海上にあった中心示度1008ヘクトパスカルの低気圧が急速に発達して14日正午には984ヘクトパスカルになり、本州の南海上を東進したために降ったものである。北海道から関東・中部地方にかけて、大雪となった。平年の2倍以上の積雪を見た。暖冬に慣れた人々は雪道に不慣れで転倒などし、極めて多数の負傷者が出た。
 航空路線では日本航空が282便、全日空が250便欠航し、約10万人に影響が出た。高速道路、東名の横浜−町田間で約19劼僚詑擇出た。首都高速の入り口閉鎖・通行止めは深刻であった。14日午前から始まった通行止めは、15日午前8時で16路線、午後8時で8路線に及び、最後の2路線が解除されるまで68時間かかった。詳しい推移はいずれまた述べたい。首都高速は除雪車など雪対策車両180台を持つがうまく活用できなかった、これはやはり暖冬に慣れてしまっていたところに遠因があろう。

大雪の影響

 大雪・豪雪の人間生活・人間社会への影響は大きい。短時間に現れる交通機能の麻痺や道路の除雪作業などから始まって、数週間・何ヶ月にも渡る、例えば、野菜出荷量・価格への影響など、長期間に及ぶ影響もある。(表2)に現在の知見をまとめておく。

(表2)大雪・豪雪の人間社会・人間生活への影響

時間スケール 内容

短時間(1時間−1日) 交通(自動車・鉄道)麻痺
除雪作業困難(道路・家屋の屋根など)
歩行困難・転倒
高速道路閉鎖
一般道路渋滞
空港閉鎖(運休)
停電(送電網の不具合)
登山者遭難
積雪関連スポーツの中止

1日 〜 2・3日 除雪作業困難(道路・家屋の屋根など)
イベント・競技会などの中止・延期
鉄道・航空路のダイヤの乱れ
路面凍結・歩行困難
屋根からの落雪
水道管の凍結・破裂
生鮮食料品の市場への入荷量減少
積雪関連スポーツ見合わせ
登山中止
インフルエンザ患者増加

長期間(数日−月) 道路・鉄道・住家周辺の除雪作業
野菜などの市場への入荷量減少・価格高騰
高齢者の自宅引きこもり助長
過疎地域の生活・医療困難


 この表はまだ未完成だが、一応、未定稿として示しておきたい。

雪がない厳冬

 日本は世界の中で第1級の豪雪地帯に属する。アメリカ合衆国の北西部にある海岸山脈の太平洋側は、本州の日本海側と、山と海、偏西風との配置が似ているので、豪雪地帯である。しかし、人口密度が日本は比較にならないほど多い。つまり、これほどの大雪・豪雪と付き合ってたくさんの人が暮らしているのは、世界中で日本人だけと言ってもよい。“雪に埋もれて何ヶ月”の生活はわれわれにとって日常的とも言える。しかし、この雪がもし無かったらどうなるだろうか。
 東アジアでは中国の華北などはその好例である。寒さは厳しいが積雪は多くない。(写真1)は北京郊外のブドー栽培地域で、厳しい冬の寒さからブドーの樹を守るため、枝をワイヤーからはずし地中に埋めて土を被せているところである。積雪があれば厳しい寒さから守ってくれるが、積雪が無ければ土を被せねばならない。
(写真1)冬の寒さから守るために、ブドーの枝をワイヤーから外し、地上に寝かし、土を被せる。
(1984年11月4日、北京郊外にて、吉野撮影)
 この写真は約30年前に撮影したもので、都市化が激しい北京近郊ではもう見られなくなったが、地方ではまだ見られるであろう。この撮影当時でも地方からの出稼ぎの人たちが働いて居たが、大変な労力だと思う。日本の積雪は度を過ぎれば災害になるが、適当な量であればプラスの環境要因となる。今回は触れないが“利雪”という面がある。雪のない北京郊外の写真が、日本の大雪のインパクトを再考するきっかけになれば幸いである。


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