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連載エッセイ [25]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
豪雪は温暖化の影響か―ロシアの大雪
 
日本人の豪雪感覚

 今年の12月になって、モスクワ・サンクトペテルブルグを含むヨーロッパロシアから、ウクライナ南部の黒海沿岸地方に至る地域の低温・強風・大雪のニュースが飛び込んできた。日本では、近年ときどき大雪に見舞われている。特に今年、2012年1月には大雪があったばかりであり、びっくりした人はあまり多くなかったらしい。しかし、12月になってまた、まだ上旬だというのに、北海道から東北の日本海側・上越・北陸地方では1m以上、それに接する地方でも40−60cmの雪が積もるという状況である。
 ロシアの豪雪のニュースは、日本国内でも少しは報道されたが、あまり大きくはなかった。今回のロシアの大雪は後で述べるように最深でも数十cmで、日本と比較すれば、浅い。しかし、問題は平年あまり積雪の深さは大でない地域に例え数十cmでも雪が積れば大混乱を引き起こす。この連続エッセイでも、何度も触れたように、暖冬になれた社会・人間生活へ寒冬がくれば、大混乱となる。そのインパクトは大きい。その意味でもロシアの例を学ぶことは重要であろう。
 よく考えてみると、地球温暖化だというのに、どうして寒冬・大雪になるのであろうか。“日本は世界の中でも大雪の国であり、山の中では3〜4mの積雪も珍しくない”ということは小学校・中学校でも教えられる。日本人の豪雪感覚は鈍いのだとは思いたくない。

ロシアの2012年11月末から12月初めの豪雪

 2012年11月末、28日にヨーロッパロシア部で多量の雪が降った。11月30日になってまとまった降雪と強風があり、ところにより60cm以上の積雪となった。その後、一時寒さが緩み、雪が解けた。これが凍結してその直後に起きた大雪の除雪作業を困難にさせた。
 最悪の場所はモスクワとその北西、直線距離で約650kmにあるサンクトペテルブルグ(旧レニングラード)間の高速道路(延長約700km)で発生した。特にモスクワから約170kmの中央ロシアのトゥヴェール(Tver)の近くでトラックを主として約1万台の自動車が雪の中に閉じ込められた。空港は滑走路の表面が凍結し閉鎖された。
 175人の救助隊員と100台の除雪車を用意してあったが、12月1日(土)に除雪を始めた時には、渋滞は40kmになっており、手遅れの感があった。
 ここで、日本人は思う。夏のお盆の頃、年末・年始の頃、いわゆる帰省ラッシュで20〜30kmの渋滞は珍しくない。ときには数十kmの渋滞もある。どうしようもないほどの事態ではないのではないか。以下、そうではない事情を列挙し、日本でも発生しうる状態を紹介したい。まず、今回の豪雪が道路交通に及ぼした情況を知るためには以下のデータが必要である。すなわち、

 (1) 渋滞の内容、すなわちノロノロ運転か完全なストップか。
 (2) 数十kmの渋滞は総合計か、何ヵ所かの合計か。
 (3) 渋滞箇所は時間とともに変化しているか、いないか。
 (4) 渋滞付近に停車・放置された自動車はあるかないか。

 今のところ、上記に関するデータは存在しないようである。日本でも同様ではなかろうか。積雪・風雪を伴う道路では、国道ばかりでなく地方道でも対応が必要である。

ロシアにおける豪雪が道路交通に及ぼす被害と対策

 次いで、道路交通における今回の豪雪災害の情況をまとめておく。

 (1) 今回、高速道路の渋滞・通行不能の影響が周辺の道路網に広く影響した。う回路を知らせる表示板の速やかな設置・誘導・対応が必要であるが今回全く無かった。(これには、除雪・放置自動車排除とは異なるチームが必要であり、後で述べるように、政府に抗議が集まった)。
 (2) 高速道路・国道・地方道に運転不能で止まっている自動車の運転手に暖かい食料、医療品、寒さを防ぐ衣類・毛布など、ガソリンを国・地方行政機関が配布した。しかし、十分ではなかった。
 (3) トゥヴェール(人口約1万)の市では、住民の生活を守るため、道路脇に止めて不法駐車(放置車両)しているトラック・乗用車を、除雪作業のために全部移動させねばならなかった。市はボランティアと軍隊の出動を要請した。
 (4) 救援活動が無く、寒さに耐えきれず、自動車を路上に放置して避難した運転者が多数出た。この車両が除雪作業を遅らせた。しかし、責任は運転者個人にあるか、国・地方・地域のどの行政機関にあるか、後で、大きな議論になった。
 (5) モスクワ(首都)とサンクトペテルブルグ(ロシア第2の都市で文化・産業を支える最大の都市)の間の道路は、ロシアの名実ともに顔であり全体像である。輸出入の要をこのМ10が担っている。豪雪災害に対する政府の不手際への不満が政府によせられ、運動に発展し、首相は対応を迫られた。
 (6) 11月28日に今回の豪雪の第1波が来たが、運転者・運輸業者・行政などでは、準備不足であった。3日間は大雪になると予報が出ていたにもかかわらず準備を怠っていた点も指摘されている。
 (7) ウクライナの情報は少ないが、12月5日現在で302の市・町で停電が起きているという。これはウクライナの27地域の中の14である。言い換えれば、約半分の地域で停電が発生している。

ヨーロッパロシアと日本の大雪

 この度のロシアの大雪はヨーロッパロシアからウクライナ南部に至る地域を最も激しい中心地域として発生した。冬にユーラシア大陸上に形成されるいわゆるシベリア高気圧の西縁部で起こった現象である。一方、日本はシベリア高気圧の東縁部に位置する。こう考えると、シベリア高気圧の活動・多少の位置のずれ・発達する形状の微妙な差などを通じて、西縁と東縁は何らかの関係があるのではないか。
 アドリア海岸に冬発達する北東の冷たいおろし風である“ボラ”と、関東平野に発達する“おろし”とは発生回数の長期変動で並行性が認められる。このことは、かつて田宮兵衛博士が明らかにした。2012年12月初め、黒海の北東岸のノボロシースクで北東の冷たい強風が吹いた。古くから“ボラ”が強く吹く所として知られている地点で、この時、シベリア高気圧の西縁が強化された一つの証拠である。
 今、話題にしているヨーロッパロシアを中心とする地域の低温・大雪は、バルト海からフィンランド湾付近で発達する低気圧をシベリア高気圧からの寒気がさらに活発化させるために生じる。この点では日本海北部で発達する低気圧をシベリア高気圧からの寒気がさらに活発化させるのと同じとみられよう。
 ベルリンの郊外、ポツダムにあるアルフレッド・ウェーゲナー研究所の気候学者たちはこのような温帯北部〜寒帯南部の緯度帯、亜寒帯とも言うが、この緯度帯における気圧の状態が最近変化して来ていると言っている。西方の温暖な大西洋からの西風とユーラシア大陸(シベリア)からの冬の高気圧がぶつかる緯度で現象が明瞭であり、地球温暖化との関係、すなわち、夏に氷が無くなった北極海の後に来る冬のシベリア大陸上の高気圧の形成状態(形状・位置・程度・時間的ずれなど)との関係があるのではないかと指摘している。


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