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連載エッセイ [22]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
アメリカの熱波
 
世界の中で

 2012年の日本の熱波については、3回に渡って述べた。インド、ヨーロッパについては以前の連続エッセイで何回か取り上げてきた。それほど、近年の熱波あるいは異常高温は深刻で、過去にわれわれが経験したことがないような状態だと言えよう。アメリカ合衆国における熱波もひどい状況である。穀物輸出国として、熱波による作柄の不良は世界の市場にも影響を及ぼす。
 今回はアメリカの熱波の状況を紹介したい。

アメリカにおける熱波による死亡率

 最近、アメリカ合衆国のカウンティ・レベルで種々の自然災害の分布や回数の割合についての研究が発表された。アメリカで刊行されている国際雑誌(International Journal of Health Geogaphics)の7巻(2008)にボールデン(K.A.Borden)とカッター(S.L.Cutter)が発表した。論文は新しい観点に立っている。すなわち、これまでの研究は、自然災害、例えば熱波と死亡率との関係を、自然災害の中の一つである熱波だけを取り上げてそれと死亡率との関係を調べている。そして、熱波がどのように近年変化してきたか、どのような条件と関連性が高いかなどを研究してきた。しかし、ある地域は多数の種類の災害に見舞われる。そこで彼らは熱波による被害(ここでは死亡率)は多種の被害と比較してどのような、どのくらいの影響を受けているか、という視点が重要と考えた。これをカウンティ・レベル(日本でいえば市町村レベル)でアメリカ合衆国全土のデータを収集し、統計的解析を行なった。アメリカは州政府が強く、統計は全アメリカで統一された基準でとられていないから、まず、データ・セットを完璧にするのに苦労した。とにかく、得られた結果は(表1)で示すように、かなり、ショッキングなものであった。

(表1)アメリカにおける死亡率に及ぼす自然災害の諸要素の割合(ボールデン・カッター、2008による)

自然災害の要素 全被害に対する割合

熱波と干ばつ 19.6 %
悪天(厳しい天気) 18.8
寒波(厳しい冬) 18.1
洪水 14.0
トルネ−ド 11.6
落雷 11.3
海岸 2.3
ハリケーンと熱帯低気圧 1.5
地球物理 1.5
地すべりなど 0.9
林野火災 0.4

合計 100.0

 このように、熱波が死亡率にもっとも大きく貢献している。寒波よりも大きいということは注目すべき事実である。
 なお、この(表1)に示した「死亡率に及ぼす自然災害の諸要素の割合」はデータベースによって異なる。(表2)には、上記の例と、他の2例をまとめた。単純な比較は難しいがデータベースによる差はかなり大きい。

(表2)自然災害による死亡率のデータベースによる差

データベース 死亡率の割合
(熱波/干ばつ)
死亡率の割合
最大割合
その原因

ボールデン・カッター(2008) 19.6 % 19.6 % 熱波/干ばつ
タッカー(Thacker, MIFその他、2008)のデータ 24.6 50.4 寒波
SHELDUS のデータ 27.6 36.6 低気圧・洪水

注:表中の値はボールデン・カッター(2008)による

死亡率による地域区分

 (図1)はアメリカ合衆国における2000年の人口に「基準化した死亡率」による地域区分と、それぞれの地域における「自然災害による死亡率の割合」を示す。合衆国の北東部地域I, IIと、西部の地域IXが標準偏差−0.50以下で、小さい値をとる。言いかえれば、死亡率から見れば条件は好い地域であることを意味する。

(図1)アメリカ合衆国における「熱波による基準化した死亡率」による地域区分とそれぞれの地域における「自然災害による死亡率の割合」(円形表示)(ボールデン・カッター、2008による)

 一方、合衆国中央部の北部の地域 VIIIは標準偏差+1.50以上で、死亡率の割合は大である。その他の地域の南半分(地域IV, VI)では標準偏差+0.50〜+1.50でやや大きい。北半分(地域III, V, VII, X)では標準偏差は小さく、−0.50〜+0.50 の範囲である。

各地域における死亡率割合

 次いで、(図1)の各地域の死亡率の割合(円形表現)を見て、以下のことがわかる。今問題にしている熱波(+干ばつ)の割合が大きいのは地域III, V, VI, VIIで、やや少ないが地域IIでも出現している。つまり、合衆国の(最北東部を除く)北東部から、中央部にかけた地域である。
 以上をまとめると、熱波による死亡率が比較的高い地域は極めて傾向性が強く、最北東部・南東部・西部を除く諸地域である。この例外的な最北東部の地域Iは寒波や悪天の比率が大きく、南東部の地域IVはハリケーン・熱帯低気圧の比率が高いので、相対的に熱波の比率は小さい。これらの例外をのぞけば、結局、中央部から東半分の諸地域が大きい。
 シカゴでは記録的な熱波がたびたび記録される。最近では1995年にひどい熱波に襲われた。以上の統計的な解析結果から、どうしてシカゴだったのか、理解することができよう。そして今年2012年、過去の記録に無いような熱波にまた襲われた。全米で高温だったとはいえ、やはり死亡率には地域性があった。詳しいことは次回に紹介したい。


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