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連載エッセイ [19]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
異常猛暑を振り返る(I)
 
暑かった2012年の夏

 今年の夏は5月に始まった。6・7・8月が過ぎて、いま9月の中旬だが、まだ夏が過ぎ去ったとは思えない。“朝晩は秋めいて来ましたね”という挨拶が、北海道から沖縄までの全国の日本人の実感である。これは異常猛暑の夏としか言いようがない。
 これまで、この連続エッセイで何回もこの暑さについて書いた。しかし、全体を通して見たことはなかったので、今回はこの5ヶ月を一つの季節として、暑さの繰り返し、すなわち熱波の状態、熱中症の発生、それに挟まる大雨・豪雨・洪水、台風の襲来、それに対照的な干ばつの発生の状況をまとめておきたい。
 今年のような夏は、地球温暖化した将来、また発生するかも知れない。その時に供えるためにも、5ヶ月間の状況の推移をまとめておくことは必要であろう。紙面の都合で、今回は(I)として、5月・6月と、ほとんどの学校が夏休みに入る前の7月中旬までをまとめ、次回(II)には7月下旬から8月・9月をまとめたい。

5月の豪雨・夏日

 ゴールデンウィーク後半の5月3日、関東地方・東北地方の広い範囲で大雨が降った。土砂崩れ、落石が各地で発生した。宮城県では約7,200人に避難指示・勧告した。5月2−3日の24時間雨量は静岡県の天城山で649mmを観測した。東京都内、東北地方の太平洋側でも150ないし200mmにも達するという予想が発表されるほどであった。
 この原因は、東シナ海から日本の本州南岸にかけて前線が停滞し、この上を温帯低気圧が東北東〜北東方向に進んだためである。このような気圧配置は珍しいものではないが、雨量が異常に多かった。今回の場合、特に湿った空気が、前線の南側の発達した北太平洋高気圧の西縁を廻って入り込んだためで、やはり北太平洋高気圧の異常発達が原因である。
 連休中であったため、山岳遭難が多かった。上記の低気圧が本州の東方海上に去り、西からユーラシア大陸の高気圧が張り出し、西高東低の気圧配置に一時なったため、低温・強風雪に見舞われたのが原因である。長野県内で7人(うち白馬岳で6人)、岐阜県内で3人、いずれも低体温症(疲労凍死ともいう)が死因であった。10人の内の8人が60〜70歳代であった。温暖化に伴う低地の気温上昇傾向の中で、山地の天気の急変・低温・風雪が温帯低気圧の急激な発達のために強化された。それに加えて、高齢者の登山人口の増加が関わっていた。今後、この状況はさらに深刻化するであろう。
 5月16日、その前日より気温は7〜8℃上昇し、夏日が出現した。(表1)は関東地方における例である。

(表1)2012年5月16日、夏日の観測値の例

地点 都・県 日最高気温(℃)

東京都心 東京都 25.9
練馬 東京都 26.6
千葉 千葉県 25.2
横浜 神奈川県 25.9
さいたま市 埼玉県 25.8


 この5月における記録は、あとに来る7、8月の暑さを思い知らされ、電力不足を招くのではないかという心配に繋がった。

6月の台風・猛暑

 台風4号が6月19日17時、和歌山県南部に上陸し、20日には東北地方の東側に抜けた。6月に台風が本州に上陸するのは2004年以来、8年ぶりのことであった。宮城県石巻市、気仙沼市では沿岸集落に住む合計約15,700人に避難勧告を出した。この中には東日本大震災で避難していた住民も含まれていた。
 さらに台風5号が接近し、21日18時までの24時間雨量は四国で約250mm、近畿で約150mmに達した。
 6月20日、台風通過後、その後面に南からの暖気が流れ込み、日本全国では51地点で30℃を越える真夏日になった。(表2)にその1部を示す。

(表2)2012年6月20日、真夏日の観測値の例

地点 都・県 日最高気温(℃)

八王子 東京都 34.0
甲府 山梨県 33.5
高崎 群馬県 33.0


(表3)2012年6月25日、真夏日の観測値の例

地点 日最高気温(℃) 備考

熊谷 埼玉県 39.8 6月として過去最高記録
松山 愛媛県 35.6
大分 大分県 35.3


(表3)は6月25日の場合で、全国で21の都府県における合計65地点で最高気温を観測した。ここではその1例を示すにとどめる。この他、群馬県・静岡県でも6月としては過去の最高気温記録を更新した。
 東京電力管内における24日の電力需要は4,389万KW(14−15時)に達し、4日連続して、東日本大震災以来の最高を更新した。
 梅雨前線は東北地方にまで北上して大雨を降らせた。その南側では北太平洋高気圧が張り出し、異常な高温を中央日本以西の各地にもたらした。

7月の猛暑・大雨

 2012年7月は猛暑と大雨の連続・繰り返しで31日間が過ぎた。このような月は珍しい。日本のどこかで異常高温に関連する天気・天候が起こっていた。
 7月3日夜から4日朝にかけて、九州北部は記録的な大雨になった。中津市で1時間に91mmの雨を観測した。(表4)に1時間雨量の観測極値の例を示す。

(表4)2012年7月3〜4日の1時間雨量の観測極値

地点 1時間降雨量(mm) 備考

中津市 大分県 91.0 観測史上最多
添田町 福岡県 86.5 観測史上最多
八女市 福岡県 71.0 観測史上最多
広島市 広島県 60.0 7月では観測史上最多
福崎町 兵庫県 46.5 7月では観測史上最多


 7月としては観測史上最多となった雨量を記録した地点が多かった。レーダー観測結果の解析によると朝倉市(福岡県)・日田市(大分県)では1時間に約110mmの強雨が3日朝降った。河川の氾濫が多く、大分県の日田市で8,006世帯に避難指示が出た。福岡県と合計して47,988人に避難指示または、避難勧告が出た。
 (表5)には7月11−14日の北九州の異常豪雨の観測値をまとめておきたい。

(表5)2012年7月11−14日の雨量観測値(mm)

地点 観測日 合計降水量

乙姫(阿蘇市) 熊本県 7月11−12日 507.5
乙姫(阿蘇市) 熊本県 7月11−14日 816.5
八女市 福岡県 7月11−14日 649
日田市 大分県 7月11−14日 648
竹田市 大分県 7月11−14日 409


 以上のように時間雨量が大きい値の強雨、24時間雨量(日雨量、にちうりょう)が大きい値の豪雨であったばかりでなく、2日〜4日の合計雨量が大きかったのが特徴であった。これは湿った暖気の流入が強く長く継続したために起こった。梅雨前線の停滞する特徴がきわめてはっきりしていたためである。
 7月12日、熊本市で白川が氾濫し、70戸が全半壊、500戸以上が浸水、白川流域と南阿蘇村の計で約26,000世帯に避難指示、竹田市(大分県)で6,598世帯に避難指示、大門市で145世帯に避難指示が出た。熊本・大分の2県の合計で約10,100戸で停電した。また、この2県の合計で18人が死亡・8人が行方不明となった。このうち身元が判明した人の年齢をみると20歳代3、40歳代1、60歳代2、70歳代4、80歳代4人で、60歳代以上が72%をしめる。農村の高齢化、災害弱者の課題を重く受け止めなければならない。
 では、この時の雨はどうであったか。7月13日午後、北九州では特に強く、佐賀では14時30分頃に91mm/hの豪雨が降った。梅雨前線活動によるものだがこのように活発な活動はあまり聞いたことがない。熊本・大分・福岡・佐賀の4県の合計で約48,000世帯(約127,000人)に避難指示・避難勧告が出た。
 この豪雨災害が終わるか終らない時、そして前線から離れた地域、すなわち、北太平洋高気圧の勢力範囲内の地域では猛暑が出現した。この舞台回しの速さが今年の特徴でもあった。(表6)に7月16日の猛暑の程度を示す。

(表6)2012年7月16日、日最高気温の観測値の例

地点 日最高気温(℃)

館林 群馬県 37.6
魚津 富山県 36.7
鳥取 鳥取県 36.8
金沢 石川県 36.8
鳩山町 埼玉県 36.4
日田 大分県 36.1
山形 山形県 35.9


 さらに驚いたことに、翌7月17日にはこれを上回った高温を記録した。全国で927ヶ所にある観測地点の内、75地点で35℃以上の猛暑日となった。その中の代表例を(表7)に掲げる。

(表7)2012年7月17日、日最高気温の観測値

地点 日最高気温(℃)

館林 群馬県 39.2
伊勢崎 群馬県 39.1
前橋 群馬県 38.2


熱波の波高・間隔

 詳しいことは次回にまとめるが、5月から7月中旬までの高温の2−3日ないし数日を一つの熱波とみれば、熱波の波高は次第に高く(高温に)なり、間隔は長くなるようである。その熱波と熱波の間には異常な強雨・豪雨が起こっている。これが2012年夏前半の状況である。


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