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連載エッセイ [18]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
ススキの開花
 
猛暑とススキの開花

 ススキの穂が出てくると秋を感じる。“お月見の団子とススキ”は“十五夜お月さん”の歌の背景として欠くことができない。“中秋の名月”とは新暦なら9月なのだろうか。人びとにより地方により異なるだろうが、ススキは真夏の感覚とは合わないような気がする。
 今年のお盆の頃、猛暑の東北地方を自動車で走っていたら、道路中央分離帯に雑草のように伸びたススキが穂を出して、風になびいていた。この風景に私はいささか驚いた。夏の真っ盛りというのに、何で秋の花が? しかし、気が付いてみるとイネの穂も出かかっている。収穫の秋がすぐそこまで来ているのである。
 中央日本・東日本・北日本のほとんどのところでは、ススキは8月中に開花する。れっきとした夏の花である。連続エッセイ“異常気象を追う”[39]で詳しく述べた。ススキの開花は低温な東北地方で早く、温い西日本で遅い。これは、北国ほど秋が早く来ることを考えれば納得がゆく。年ごとにみれば、涼しい夏の年には早く開花する。
 正直に言うとこのような図式が私の頭の中にはインプットされていたのである。だから猛暑で熱中症の多数出るような炎天下で、ススキの穂がもう出てきたのを見たときには、私は驚いたのである。以下に、少し調べた結果を紹介したい。

ススキの開花と温暖化

 最近40年間のススキの開花日の経年変化は(図1)のとおりである。年による変動はかなり大きいが1980年以降、大まかにみれば右肩上がりである。すなわち開花日は遅くなっている。1982年、1998年などのように異常にマイナス、すなわち早かった年があるが、この全国平均で見て、30年間に約5日遅くなっている。
(図1)ススキの開花日(全国平均)の経年変化(中山博義,気象庁による)
 別の九州・山口について統計学的に研究した結果では7〜8月の月平均気温と開花日との相関係数は+0.52で、高温ならば遅いという関係である。近年の地球温暖化によりススキの開花は遅くなっているとしてもよいであろう。

ススキにとって8月は夏か秋か

 以上述べてきた事実は、ススキが秋の花ならば当然理解できる。最初に述べたように、“中秋の名月”に欠かせないススキだし、花札では“ススキは八月”、これは旧暦の8月だから新暦では9月になろう。秋の七草まで考えれば、ススキは秋の立役者である。
 もしそうならば、近年の約10年の夏によく現われる猛暑・酷暑はどのような影響を与えているのだろうか。今年、2012年の夏のような猛暑・酷暑の年には早くなるのだろうか、遅くなるのであろうか。
 この連続エッセイ「暮らしの中のバイオクリマ」[17]に真夏の花の開花季節に及ぼす高温の影響をアジサイ・ヤマハギ・サルスベリなど例にして述べた。すなわち、これらの花の開花日は夏の高温の程度がそれほどひどくないときには早く咲く。しかし、酷い高温の・厳しい猛暑の場合、2012年の夏の例では、早くなる場合と遅くなる場合とほぼ同数(地点数)であった。そして、開花現象が7月中の場合は早くなり、7月末から8月にかけた期間に開花する場合は遅くなることがわかった。そこで、ススキについても同じような解析を試みた。

2012年8月のススキの開花日

 この原稿を書いている9月1日に集まっているデータをまとめてみる。(図2−左)は2012年8月のススキの開花日の分布図である。太平洋側の沿岸地域で8月上旬、中央日本の本州内陸部で8月中旬以降、特に中部山地では8月下旬であった。

(図2−左)2012年8月のススキ開花日。図中10は8月10日,20は8月20日を意味する。
(図2−右)2012年のススキ開花日の平年(1971〜2000年の平均)値からの偏差(早かった日数)。マイナスは遅いことを意味する。
 (図2−左)は2012年のススキ開花日で、10は8月10日、20は8月20日を意味する。(図2−右)は2012年の開花日の平年からの偏差の分布である。この図で、10とは、2012年の開花が平年より10日早かったことを意味する。中部地方・近畿地方では10〜20日早かった。地点数でいうと、10日以上早かったのが6地点、1〜9日が3地点、平年と同じ(数字では0)が3地点、遅かった地点(図中でマイナス)は2地点であった。合計で言うと半数以上が早かった。

まとめ

 以上述べたことをまとめると、以下のとおりになろう。
(1) 日本全体としては、一般的には、最近の30〜40年間のススキの開花日は遅くなりつつある。
(2) 21世紀になって、夏に異常な高温、猛暑、酷暑が現れるようになり、この一般的状況が崩れる年や地域があるようである。
(3) 中央日本以北では7月末〜8月に開花する。この地方では半数以上の地点で、異常高温の夏には早く開花する。
(4) 東北地方の内陸部では平年と同じかやや遅い。夏の異常高温の影響が認められない。
 以上が現在得られている解析結果である。ススキが秋の花として9〜10月に開花する西日本の傾向については、11月になってデータが出揃った段階でまた報告したい。


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