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連載エッセイ [14]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
再保険とバイオクリマ
 
自然災害と再保険

 2011年は東日本大震災があり、世界の再保険業界を震い上がらせた。地震・津波は自然災害の中でも高い被害額になるが、2011年の場合は規模から言っても、高い経済水準の地域を含む特徴からみても、注目すべき点が多々あった。
 例え小さな災害であっても、その災害による不時の出費を償うのが、個人では不可能という場合。。。。それを保険で支払う。。。。というのが保険の根本思想であろう。“最良の災害対策は保険に入ることだ”というのは、何も保険会社の広告チラシではない。
 個人・世帯単位で考えれば、生命保険・障害保険その他たくさんの保険商品が今日売り出されている。これはそれぞれバイオクリマが関わる内容である。損害保険でも、一軒の家・一つの品物などに対しては、話は比較的単純である。火災保険にしても、農業保険にしても、バイオクリマが最も関わりのある対象であり、これまで研究もされ、経験・実績もそれなりにたくさん蓄積されている。
 ところが、地域的に広く、都市・集落・工業地域・農業地域・港湾施設・道路鉄道交通網など、多種の、生産性の高い対象について、人口密度が高いかなり広い地域を、強い自然災害が襲った場合どうなるか。単なる個人・世帯の保険の積み重ねではなく、新しい問題が発生する。その最たるものが再保険である。1保険会社では対応できないから、各保険会社は世界的な再保険会社に加入しておいて災害が起きた場合は保険金を受け取り、末端における支払いを可能とする。1地方・1国の境界を越えた問題となる。
 支払対象地域・規模が大きくなるにつれて、バイオクリマの問題から離れてゆくようにも思えるが、その境界ははっきりしない。ここが問題点である。筆者の考えでは、東日本大震災くらいのスケールでは、まだ、バイオクリマの問題が多数複雑に関わっている。だから、この「連続エッセイ」でも、この前の「連続エッセイのシリーズ」でも、東日本大震災のテーマを取り上げてきた。今回は再保険との関連を考えてみたい。

再保険会社のデータ収集

  再保険会社はスイス・イギリス・ドイツに有名なものがあり、世界的に収集したデータや研究結果などを公表してきた。われわれも恩恵を受けてきた。いま、ドイツのミュンヘンにある再保険会社が収集したデータの1部を紹介する。(表1)は東日本大震災が起こった2011年の地震津波の場合がいかに最近の自然災害で大きかったかを示す最も基本的な表である。

(表1)2011年を含む最近10年間の自然災害

2011年 2010年 最近の10年
2001‐2010年
最近の30年
1981‐2010年

件数 820 970 790 630
直接原因による被害総額
(x10億ドル)
380 152 113 75
上記の内、
保険がかけられていた額
(x10億ドル)
105 42 35 19
死者数(x1,000人) 27 296 106 69

データは Munich RE による

 この表によると2011年は件数では2010年に次ぐ2位であったが、被害総額では非常に大きかったことがわかる。また、保険に掛かっていた額が1桁大きかったのも特徴である。その一方で、死者の数が著しく少なかった。これが日本の今回の地震・津波の世界的に見た場合の特徴である。日本の被害地域の人びとの立場(あるいは日本の保険会社、日本国政府の立場)と、ドイツ再保険会社の立場とは異なるにせよ、再保険事業者と、それに頼る各国の政策決定者の今後の検討課題であることは間違いない。

世界の自然災害から見た東日本大震災

  次に東日本大震災が、世界的に見てどの程度の大きさのものであったか、その位置付けを紹介したい。(表2)は2011年における第1位から第5位までを示す。

(表2)2011年の5大自然災害

順位 発生日(2011年) 災害現象 死者数(人) 被害総額
(x10億ドル)
内、保険を
かけている額
(x10億ドル)

1 3月11日 日本 地震・津波 15,840 210 35〜40
2 8月1日〜11月15日 タイ 洪水・地すべり 813 40 10
3 2月22日 ニュージーランド 地震 181 16 13
4 4月22日〜28日 アメリカ合衆国 極端な竜巻 350 15 7.3
5 8月22日〜9月2日 アメリカ合衆国
カリブ諸島
ハリケーン
“イレーネ”
55 15 7

データは Munich RE による

 この(表2)から読み取れることは次のとおりである。(1)1位の東日本大震災は桁はずれに大きな値で、2位に比較して死者数では20倍、被害総額では5倍、保険総額では3.5〜4倍であった。(2)そうして、絶対値が非常に大きかったことは再保険の限界値に関わる問題を提起した。(3)タイの洪水が第2位であったが、現地における日本の企業が多数この災害で被害を被った。日本ではもっと注目すべきである。しかも、3位以下の災害に比較して3か月半に被災期間が及んだ災害であったことにも注目すべきである。

今後の課題

 保険における自然災害の中、地震・津波に関する課題と、豪雨・強風・極端な低温や高温などの気象に起因する課題とを比較して考えたい。
(1) まず、人びとの日常生活や地域経済に及ぼす影響は両者で同じである。
(2) 観測体制・観測システムなどの維持・管理を行う官庁は異なる。地震・津波は地質・地球物理・防災関連の諸官庁が行う。気象関連は言うまでもなく、日本では気象庁、外国ならば気象局、空軍などさまざまである。
(3) 国際機関においても、対応系列がかなり明確に異なる。例えば、気象に起因する災害は世界気象機構(WMO)がまとめるが、地震・津波には対応しない。
(4) 末端の予報・警報などの伝達は同じシステムを使って行われる。例えば、避難勧告などの伝達は地域無線放送で行なわれる。
(5) 以上のように、同じプロセスの部分と、異なるプロセスの部分が混在している。これを整理し、うまく機能させるシステムを構築するのが、特に超大型自然災害においては急務である。
(6) 再保険システムを上記の(5)において構築するにはバイオクリマからの貢献が必要である。ドイツの再保険会社Munich RE の地球リスク研究部長(Head of Geo Risks Research) のヘッペ教授(Professor Peter Hoeppe)は国際生気象学会の前会長である。“生気象学”と“再保険”との関係はこの事実からもうなずけよう。


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