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連載エッセイ [5]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
2012年1―2月の日本の低温と豪雪
 
記録的な低温と豪雪

 この連続エッセイ[2]では、隣国、中国において、一般的には温暖化の傾向がはっきりしていて暖冬傾向である。しかし、年によっては極端な低温が発生しており、その発生頻度は小氷期と呼ばれる18世紀と最近も同じであるという、中国における最近の研究結果を紹介した。
 また、前回の連続エッセイ[4]では2012年1−2月のヨーロッパの異常低温と豪雪について述べた。多数の死者があった。そして、停電による家庭生活の不便、流氷による河川や運河の航行不可能、道路の自動車交通や歩行困難、ストーブなど不慣れな暖房設備の使用による住家火災や一酸化炭素中毒などの影響が人々の暮らしを脅かしたことを紹介した。
 今回は続いて、日本における異常低温・豪雪とそれにかかわる暮らしへの被害・課題を調べてみたい。

暮らしへの被害

  気象学的な原因の解説は後に回すことにして、低温や積雪の状況をまず紹介しておく。2011年12月から2012年2月まで、3ヶ月間の気温はほとんどの地域で連続して平年以下であった。そして、一般的には2006年以来の大雪であった。地点によっては、過去の最深記録を更新した。鳥取県の大山では302cm、山形県の尾花沢では238cm(過去の1位とタイ)、北海道の新篠津では213cmを記録した。日本国内の最深積雪の記録は青森県の酸ヶ湯における496cmであった。
 被害を、日を追って上げてみた。個人や地方自治体が対策を立てるためには単なる統計表よりこの方が役に立つと思う。

(表1)2011年12月から2012年2月までの低温・豪雪とそれによる被害

日付 気象または被害の内容

12月中旬以降 ラニーニャ。 シベリア高気圧の影響が西日本まで及ぶ。
12月 1961年以来の少雨。平年の15%以下の地域あり。乾燥。
12月末 大雪・猛吹雪・低温の傾向強し。
1月7−8日 多積雪で列車の運休多し。
1月2−8日 インフルエンザ猛威。火災発生件数の増加。
1月中旬 キャベツ・レタスの葉がしおれ、出荷量少。
1月27日 記録的な低温が各地で発生。
1月27日 積雪深が平年の2-3倍になる。
2月1日 秋田県仙北市の玉川温泉で表層雪崩。
2月1−2日 青森県大雪、積雪深4m以上。山形・新潟県で3m以上。強風を伴う。JR運休、航空欠航多し。除雪作業・屋根雪下ろし中の死者数増加。
2月上旬 風力発電施設、送電線への影響大。
2月上旬 落雪・屋根の雪下ろし中の事故による死者数増加。
2月上旬 インフルエンザ患者数が過去10年間で最高。
2月17−18日 西日本・中央日本の日本海側で大雪。
2月下旬 農業用パイプハウスが積雪で壊れる被害増加。
2月下旬 屋根の雪下ろし、道路除雪回数増加。


 この表を見ると、この冬の低温と豪雪の影響は1月になってすぐに現われ、2月下旬はまだピークの状態にあった。現在3月に入って、やっとピークを脱し、やや春を感じさせた。すなわち、低温期間が極めて長かった。これが、この冬の第一の大きな特徴である。
 第2番目の特徴は、低温の極値、積雪深の値、いずれも観測開始以来の記録値であるとか、1960年代初期、すなわち50年ぶりの低温、あるいは、26年ぶりの低温であったという。豪雪も2006年ぶりであった点である。
 第3番目の特徴は、この低温と豪雪の原因は次に述べるように、冬の季節風が強かったためだから、当然、九州から本州・北海道の日本海側の地域で顕著であった。山陰・北陸・東北地方の日本海側の山地で、特に記録的な値を観測した。

プラスの影響?

 小売業では業績がアップしたものがある。厳冬のため、冬物衣料・防寒グッズ・手袋・コート・ふとんなどの家庭用品のほか、雪かきなどの除雪用器具・家庭用や中小企業・事業所用の除雪車などが売れた。ただし、これらは、売る立場からはプラスだが、買う立場からは出費で、限界がある。しかも、これが毎年発生するわけではない、すなわち、予算計画を立てにくいところに問題がある。当然、売る立場からは仕入れ計画、製品を作る立場からは製造・生産計画を立てなければならないだろうが、低温・豪雪の長期予報は極めて難しい。
 また、この冬、明らかになったのは、配達サービス業への影響である。最近急速に成長しているネットスーパーの売上は悪天候では良くなる。低温・多雪などで売上は伸びる。しかし、あまりの豪雪になると、配達そのものが不可能になる、時間がかかる、などの問題点が出る。宅配便も同じである。このリスクの算定が課題である。
 電力(暖房需要)は2012年2月3日過去の最大値を更新した。2011年夏のような限界に近い需要量ではなかったが、時あたかも東日本大震災後の原子力発電依存問題にも関わり、電力会社は必ずしも、喜んでばかりはいられなかったであろう。
 観光業では、いくつかのニュースが報道された。茨城県の“袋田の滝”は全面結氷し、2月5日からはライトアップされ、観光客を楽しませた。
 各地の湖が結氷し、ワカサギ釣りが例年より約2週間早く、1月上旬に解禁になった所が多かった。猪苗代湖の“しぶき氷”も1月13日には見事になった。各地の雪祭りや、スケート・スキー・スノーボードなどに関わるレジャー産業は低温と豪雪の期間の長さに支えられた。

シベリア高気圧の周辺地域・冬の季節風の限界地域

 日本はユーラシア大陸の東に位置する。前回の連続エッセイ[4]で述べたヨーロッパの場合はシベリア高気圧の西端で、日本を含む東アジアの場合はシベリア高気圧の東端の現象で、両者の発達の原因は、地表付近の天気図で明らかだが、この冬シベリア高気圧が異常に発達し、東西がそれぞれ張り出したからである。
 上空5000mくらいの偏西風域のジェット気流は南北に蛇行し、通称3波型と呼ぶ型になる。東アジア(東経140度付近)、ヨーロッパ(東経10-20度)、東部北アメリカ大陸(西経80度付近)に気圧の谷がある。その東側は尾根になる。蛇行が大きくなり、根本がくっついてしまうような流れの状態になった場合をブロッキングと呼び、こうなると、西風ジェットのパターンは持続する。これが、今年の冬には非常に発達し、特に、上記の東アジアとヨーロッパの谷の位置で顕著であった。このような上空の流れの時には地上の寒気はユーラシア大陸上に形成された高気圧(シベリア高気圧)からちぎれた寒気の塊になって、東アジアでは南東方向に流れ出し、停滞する。ヨーロッパでは南西方向に流れ出し、停滞する。それが長期間の異常低温をもたらす結果となる。


(写真1)日本海側(画面右奥)からの西風による雪雲の吹き出し(画面で右から左方向に吹く)。
(2012年2月26日14時 岩手県網張にて南向きに撮影。吉野撮影)

 (写真1)は奥羽山脈の東側における冬の季節風による雪雲の限界付近の状況を示す。上記のようにこの冬は日本海側で豪雪であった。数百〜数千kmのスケールで見れば、東北地方では奥羽山脈がその境界である。しかし、数十kmのスケールで見ると、日本海側の強い西〜北西の風は奥羽山脈の鞍部を越して太平洋側に強く吹き越して来る。(写真1)の画面右奥から画面左手前にこの風は吹いており、雲は層雲状に見えるが、これは画面右奥の日本海側でできた地形性の雲が山脈を越して手前の太平洋側に吹き出てきたものである。この下では雪片か雨粒の小さいものが風と共に飛んで来る。その雲の上が青空になっているのは、フェーン現象を伴った山越え気流になっている証拠である。さらにその上の積雲は風下の山岳波によってできたものである。
 写真中央部は雫石盆地で、西(画面右)半分は、雪が舞っているが、東(画面左)半分は晴れている。冬の季節風下の典型的な状態である。

除雪対策

 すでに、何度も述べたが、除雪はこの冬の課題であった。屋根の雪下ろし、その時の転落死、道路での転倒、自動車交通渋滞、スリップ事故、さらに、都市内で除雪した雪の捨て場など、さまざまの課題がある。
 その一つに、個人商店はもちろん、スーパーやコンビニの駐車場の除雪がある。スーパーなどの立地には広い駐車場が大きく関わっている。集客には駐車場の除雪は欠くことができない。


(写真2)盛岡市郊外の大型市場の駐車場の除雪車と雪棄て用のトラック。
(2012年2月25日 吉野撮影)

 (写真2)は盛岡郊外の大型マーケットの除雪車と、雪を棄てに行くトラックである。写真に見られるのはまだ中型で、大型店舗ではさらに大きな除雪車やトラックを必要とする。経営の基本に関わる問題であろう。
 しかも、この状態が年によって大きく変動する。その変動は局地的(盆地のスケール)にも、地域的(東北地方、日本海側・太平洋側)にも、強い季節風雪の限界地域付近では年による差が大きく、その変動が人々の生活や経済活動に及ぼす影響が大きい。これが問題をさらに深刻にする。


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