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連載エッセイ [4]
暮らしの中のバイオクリマ
吉野正敏

 
東ヨーロッパの低温・豪雪とバイオクリマ
 
2011年12月―2012年2月の寒波

 このごろ、毎冬のように厳しい寒波が来るような気がする。確かに、この連続エッセイの前のシリーズ「温暖化と生きる」でも、日本・ヨーロッパ諸国・中国・アメリカ合衆国における2009年12月〜2010年2月[2][3][4]、2010年12月〜2011年2月[25][26][27]の寒波を取り上げ、大雪と低温について述べた。それらは、いずれも、何十年ぶりと人々を思わせた酷いものであった。
 ところが、また2011年末から2012年2月初めにかけて、また低温と大雪に襲われた。この寒波で、ヨーロッパでは合計500人以上の死者が出たと、報道されている。ほとんどがいわゆるホームレスの人たちと言うが、それにしても、大きな数字である。そして、東ヨーロッパにとどまらず、北ヨーロッパ・西ヨーロッパ・南ヨーロッパからさらに北アフリカにまで寒波は及んだ。
 “地球温暖化時代だというのに、どうして?”という感じは否めない。そこで、まず今回の低温・大雪の実態とその影響を現在得られるデータによって、まとめておきたい。このような異常な状態とわれわれをとりまく生気象の問題点を探っておきたい。

東欧・北欧・南欧の低温・大雪

  ユーラシア大陸に冬形成される“シベリア高気圧”は地球上で最も大きい高気圧である。その高気圧の東端で、ちぎれて東アジアに出てきたものが、われわれ日本人が西高東低と呼ぶ時の西の“大陸上の高気圧”である。言い換えれば、テレビや新聞でわれわれが毎日見ている天気図上でいう西の高気圧は“シベリア高気圧”の全体ではなく、ちぎれて移動してきた部分である。もちろん、その去来、強弱は本体の“シベリア高気圧”が大きく強く発達した時、周辺に及ぼす影響は強い。日本で低温・豪雪に見舞われるときはこのような場合である。今年の1〜2月の日本の低温・豪雪はその良い例である。これについて、詳しくは別の機会に述べたいが、今年のヨーロッパの低温・大雪もこれに呼応して発生した。
 今年のヨーロッパの場合は、“シベリア高気圧”の西端が大きく発達して来たために起こった。2012年の1月の第3週には東ヨーロッパに達した。ブルガリアでは2月1日には寒波が到来し2〜3日のうちに積雪1mに達した。平年ならば20〜30cmの積雪の地域としては大雪である。フィンランド東部の丘陵地域にあるクウサモ(Kuusamo)では−39.2℃を2月2日に観測した。これは北ヨーロッパにおける最低気温である。また、チェコのクヴィルダ(Kvilda)では−38.1℃を2月3日に、−39.4℃を2月7日に観測したと報道されている。これは中央ヨーロッパにおける最低気温である。ジョウジアでは2月7日最低気温は50年来の低温となり、アゼルバイジャンでは2月8日、−14℃で、42年ぶりの寒さを記録した。
 寒気は次第に西に張り出し、2月14日にはスイス・イタリアからイベリア半島にまで達した。(表1)に各地方の寒気の到来・積雪の状態をまとめた。

(表1)2012年1月末から2月初めにかけたヨーロッパにおける寒波の拡大

国(地方・地点) 日付 最低気温 積雪

ウクライナ 1月30−31日 −30℃以下 30cm
2月3日 100cm
2月4−5日 130cm
バルト海諸国 1月31日以降 −30℃  
モスコウ 1月31日 −25℃  
バルカン・ドナウ地域 1月下旬−2月上旬 低温 豪雪
ルーマニア 2月10日 低温 豪雪310村孤立
ブルガリア 2月9日 [−30℃] 豪雪
イタリア、ボローニア 2月3日   25cm
      ファブリアーノ 2月7日   80cm
南フランス 1月30−31日   豪雪
コルシカ 1月30−31日   40cm
トルコ・スペイン 2月上旬 0℃以下(1956年以来) 積雪(1940年以来)
アルジェリア・南チュニジア      
フィンランド、クウサモ 2月2日 −39.2℃  
イギリス、ロンドン 2月上旬   10cm

資料は多数のメディアから得た概況。

この(表1)から分かるように、約1週間のうちに東ヨーロッパから“シベリア高気圧”の西端はイベリア半島から北アフリカまで達したことが分かる。すでに名称としてはシベリア高気圧とは言わないだろうが、元をただせば発達したユーラシア大陸上に冬形成される高気圧である。

低温・豪雪の被害

 次に今回の寒波による低温・豪雪の被害を、被害項目別に示そう。

(表2)2012年1〜2月のヨーロッパの低温と豪雪による死者数*

死者数(人) 国(地方) 期日

590* ヨーロッパ・北アフリカ 1月27日−2月2日
うち150(30という報道もある) ウクライナ  
135 ウクライナ 2月2日以降
12 ハンガリー 1月末−2月初め
61 ポーランド 同上
39 ルーマニア 同上
5 ブルガリア[洪水を含む] 同上
36 ロシア(モスクワ) 同上
10 セルビア 同上
5 クロアチア(シーベニク) 同上
3 チェコ 同上

*種々のデータソースのため、総数の560の内訳が不明だが、速報値として掲げる。

 死者はホームレスの凍死(ポーランド)、無暖房の部屋で凍死(セルビア)、一酸化炭素による中毒死(ポーランド)、アルコールの飲み過ぎによる死(ウクライナ)、洪水による溺死(ブルガリア)などが主なものである。
 次に被害の原因別に主なものを(表3)に示す。

(表3)2012年1〜2月のヨーロッパにおける低温・豪雪の被害

被害 国(都市・地方) 内容

停電 イタリア 120,000人
  コルシカ 140,000世帯
河川・運河航行不能 ドナウ河 170km 凍結で航行不能。支流合流部付近低地で洪水
ブルガリア,ルセ(Ruse),
シリストラ(Silistra)
10%流氷、2月16日
  北西ヨーロッパ 河川・運河は流氷で航行不能、船は港に避難
道路交通麻痺 イタリア・スイス 2月14日特に深刻
  ローマ 2月4−5日、軍隊出動して道路の除雪
    2月11−12日また積雪、交通麻痺。2,000人が空港で仮泊
  ベニス 運河が凍結
  アペニン 2月6日、降雪、鉄道不通
凍傷 ブルガリア,ルセ 2月16日−19.8℃、患者増加
低体温 ウクライナ 1月下旬、患者600人
住家火災 ラトビア,ストレンチ(Strenci) 2月5日−34.2℃、電力不足、住家火災
  ベラルース 2月11日−34.3℃住家火災で死者180人


 この(表3)に上げたのはほんの少しの例示であって、広範囲に極めて深刻な被害があっ たことは確実である。

日本を考える

 この表を参考に日本の場合を考えてみると、一酸化炭素中毒は起りそうにないが、もし、 停電が長期間に及んだ場合、どうなるかは予断を許さない。また、無暖房の部屋での凍死・凍傷も、日本では過疎化が進み、高齢者が一人で住み、多積雪で集落内でも孤立し、さらにまた道路の通行が不可能となり山村では集落全体が孤立する場合も出よう。その場合の救出作戦における低温・豪雪対策を具体的に立てておく必要があろう。
 上記のように、ウクライナ政府は2月4−5日、体を暖めるためのアルコールの乱用の悪影響を国民に注意した。こうしなければならなかったほど事態は深刻であったのであろう。日本国内では予想できない状態のようだが、東欧圏ではありうるように思う。国際的な観点からは無視できない。もし、われわれが国際的ボランティア活動をするならどうするか。対岸の火事ではない。


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