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連載エッセイ [35]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
東日本大震災(4)
 
津波災害

 最近、東日本大震災の記録写真集が何冊か出版された。どのページも息をのむような生々しい災害現場を捉えている。テレビやPCの動画でみるのとは別の強烈なインパクトが写真集にはある。津波の恐ろしさをあらためて教えてくれた。この津波の流れの中にたくさんの亡くなられた方があり、住む場所を一瞬のうちに失い、あるいは、さまざまな被害にあわれた方々がおられるのだという思いが、私の心を襲った。
 自然災害について論文や報告書をいくつか私はこれまで書いてきた。しかし、私の主たる研究分野は気象・気候、あるいは環境で、自然災害を気象・気候災害の面から、あるいは環境問題として捉え、地震は専門外という気持ちで触れたことがなかった。地震によって起こる津波は研究分野の範囲外という考えであった。今回の東日本大震災を私なりに体験し、これは間違いであったことに気付いた。津波のもたらす災害は自然災害であり、人間社会に及ぼすそのインパクトは環境問題の最たるものであることを思い知った。
 駐車場の自動車が流され、大きな漁船が津波に押されて街の中に入ってゆく画像を、今回の津波の報道で何度も見て、津波の力の凄さがよくわかった。しかし、記録写真集のあるページに私は目を奪われた。それは、仙台空港周辺の写真で、小型の軽飛行機が何機もガレキの山にのり、あるいは半分埋まっている光景の写真であった。
 自動車社会だから、流された自動車がガレキとともに山をなすことは理解できるが、これほどの数の小型機が仙台空港に駐機していたのであろうか。空を飛ぶ機械は、地上の水でこれほど簡単にやられるのであろうか。以下に、仙台空港と津波被害の実態をまとめてみた。

仙台空港と津波

 地震発生の直後は通信も電気も途絶え、実態が把握されなかった。約1日たって、名取市の空港ターミナルビルに約1,200人が孤立しているという情報がはいった。ターミナルビルの1階は津波で完全に水没し、取り残された乗客や職員は2階と3階で救助を待った。
 このころ、ターミナルビルの周辺は浸水し湖のようで、約1.5km離れたところでも泥水が30cm以上たまっており、一般の自動車は近付く事ができなかった。13日の午後になって、やっと自衛隊が全員を救出した。空港の滑走路の汚泥を取り除くのも大変な作業であった。
 3月16日、沖縄の嘉手納基地から航空自衛隊の松島基地へ到着した米軍特殊部隊は、松島基地から仙台空港へ復旧調査のため到着した。
 4月13日午前8時1分臨時便が到着した。しかし、停電と断水が続きで空港機能は復旧しておらず、空港利用は日の出から日没までに限られた。とにかく、1カ月で最初の旅客輸送にこぎつけた。

航空自衛隊松島基地と津波

 松島基地は海岸から約1.5kmにあり約2m(4mだったとも言われる)の高さの津波に襲われた。3月11日地震発生の直後、(2〜5分後)、津波による被害が発生した。以下、(表1)にまとめた。

(表1)松島基地の被災と復旧の状況

日付 内容

3月11日 隊員約900名は全員避難
建物の2階まで津波
飛行機の冠水による被害
  F2 戦闘機は18機
  T4 練習機4機(うちブルー・インパルス用1機)
  U125A 救難捜索機2機
  UH60J 救難ヘリ4機
ライフライン途絶し、外部との連絡不能
隊員が基地を中心に200人と連絡取れず
20時ころ百里救援隊のUH60Jが基地上空に飛来し無線で交信
人力で駐機地区・滑走路の泥土を排除取り除いた
3月12日 パイロット訓練の新人約40名は三沢基地に移動
3月15日 2,700mと1,500mの2本の滑走路整備が完了
3月16日 朝5時30分、地震後初めて米軍輸送機C130が雪の中を着陸し大量の水を運んだ。別記のとおり、1部の部隊は仙台空港へ
3月17日 小牧空港から救援物資をC130輸送機3機
3月18日以降 入間基地、美保基地から救援物資を毎日空輸
3月20日頃 基地外へ流出したドラム缶からガソリンが抜き取られる事態が発生したのでその資材を回収
3月23日頃 支援部隊を含め約1,500人が停電、暖房なく、床や椅子で仮眠
4月17日 水没した教育用F2戦闘機18機の修理を開始
4月27日 天皇皇后両陛下は南三陸町の被災現場・仙台市内の避難所慰問のため、松島基地に到着、知事から被災状況の説明を受け、基地からヘリコプターで被災地を訪問された


 このような約50日の激動の期間に起きた事柄は、今後よく検討しなければならないが、例えば、日本が現在保有している戦闘機はF15J/DJは約200機、F2A/Bは約95機である。この95機の中の複座B型は32機で、その中の18機が今回の津波で損耗したのだから、問題は小さくない。パイロットの訓練の遅れは国防計画にも関係すること必至であろう。そして次に述べるように、津波がくるような海岸近くに滑走路や建屋をもたねばならない我が国の地形を考えて、基地の位置をえらばねばならない。これは、たやすいことではない。

空港の津波対策

 仙台空港や小松基地の水没被災の教訓から、関西国際空港・中部国際空港・神戸空港などは防災業務計画の再検討を始めたという。しかし、広い平野に乏しい日本の地形のため、海のすぐ横にある飛行場は多い。離島はもちろん、沖縄の那覇空港そのほか、本州・四国・九州にもたくさんの空港が海岸にある。
 新潟空港は高さ9.5mのコンクリートの壁があるが、東日本大震災の津波の高さを考えれば、十分でないこと明らかである。国土交通省は海抜10m以下にある全国12の空港を重点的に非常用の電源設備を安全な場所に配置することや、津波による漂流物が入りこまないようにする柵を設置するなど具体的な対策を検討することになった。
 柵を造ると言っても、今回の津波の力を考えると、尋常なものでは対応できないであろう。しかし、われわれはやらねばならない。

津波とバイオクリマ

 漂流物・ガレキの処理は環境問題である。感染症を始め、冬ならば低体温の問題、夏ならば熱中症の問題はバイオクリマ、生気象の課題である。5月半ばにすでに夏日になっている今年、この夏に被災地を熱波が見舞わないことを祈るばかりである。地球温暖化が拍車をかけることがないように、地球にお願いしたい。いささか科学的ではないが、いまの私にできるのは、それだけである。


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