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連載エッセイ [34]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
東日本大震災(3)
 
インフラへの影響

 地震発生後の死者数や行方不明者数の変化については、この連続エッセイの[32][33]でのべた。今回は地震とその直後の津波による被害について、インフラを中心に、人びとの生活への影響を捉え、今後の対策立案に役立てるようにしたい。なお、今回の地震・津波による被害のうち、非常に大きなテーマは福島原子力発電所事故による放射能関連の被害・避難・対応などの問題である。これらについては別の機会に扱うことにして、今回は触れない。

地震直後の被害の状況

 まず地震直後、3月12日における被害の状況(どれだけの被害情報を捉えていたか)について述べる。ここで重要なことは、実際におきていたであろう被害全体の状況と、12日の時点で捉えられていた被害情報による状況との違いである。例えば、最も深刻な場合、被害の状況を発信すべき機関・場所・責任者・担当者などが全滅して、報告が到着していない場合がある。後日になって、報告の数字は増加することになる。これは死者・行方不明者の数値の日日変化で、すでに連続エッセイ[32][33]において述べたことだが、インフラの被害についても同じことが言われる。この点をまず、注意しておきたい。
 3月12日の状況は(表1)のとおりであった。

(表1)東日本大震災による3月12日現在のインフラ被害の状況

項目 事態 被害内容

電力 22時 東北電力440万戸、東京電力344万戸が停電。
ガス 11日21時 42万戸、12日5時に44万戸に供給停止。
水道 10時 100万戸断水。
航空 全日 国際線・国内線で、日本航空131便、全日空70便が欠航。
通信 9時 基地局3,680ヶ所で電波が停止。固定電話339,200回線、光通信電話162,100回線が不通。
ATM 11日20時 セブン銀行の ATM 2,100台が停止。
宅配便 全日 受付中止(北海道・東北6県・千葉県と茨城県)

(注:数値は新聞その他による速報値。正確な統計値は後日による)

 上記のインフラの内容それぞれについて、詳しく、日を追った解析が必要である。ここでは、地震・津波の影響がいかに大きかったかを示すにとどめる。

食料品・日用品の販売・購入

 地震直後、日本のメディアではあまり報道されなかったことがある。海外のメディアが3月12日に真っ先に報道したのは、マグニチュード9.0の地震・それによる津波・福島原発事故はもちろんだが、それに加えて、日本人がとった行動である。このような大災害・大事故にもかかわらず、日本人がとった冷静な生活姿勢を観察し、報道したのである。日本人の私が読んで、ほめられ過ぎで、いささか恥ずかしくなるほどの論調でアメリカやヨーロッパの大新聞は書いた。
“スーパーやコンビニの棚はいつもと同じように品物があふれ、カップラーメン・ペットボトルの水などの棚には「完売」の札がでているだけであった。レジには、いつもと同じように、2〜3日分の食料品を買い物かごにいれた主婦が、ニコニコしながら並んでいた。(例えば、Die Welt、ドイツの代表的な新聞の一つ、 3月14日のページ4)
というようなルポルタージュである。そして、食料品・日用品の買いだめ、便乗値上げは起きず、商店破壊・略奪行為など一切なかったことを付け加えた。アメリカ南部のハリケーン“カトリーナ”の時を思い出しても、確かに、外国のメディアの特派員がこのような記事を書くことはうなずける。しかし、 。。。。日本人の礼節あるそのような行動は日本の文化にもとずく。。。。とまで言われると、いささか恥ずかしくなってくるのである。以下、実態を(表2)に少しまとめておきたい。

(表2)地震後の人びとの食料品・日用品の購買・販売行動

日付、時刻 内容

3月12〜13日 スーパーでインスタントラーメンやペットボトル入り水などがすぐに売り切れ、棚から消える。東北・関東の広い地域のガソリンスタンドで給油待ちの自動車の長い列。1台につき1,000円分、2,000円分の給油。
3月14日6時半 仙台市の中心にあるダイエー前で食料品・日用品を求める買い物客の列が500m以上になる。
3月15日9時 上記ダイエーの買い物客の列は約1,500人。
3月15日10時半 蓮舫消費者相は都内のコンビ二エンスストアを視察し,「物資の供給量は震災前より増えているのに商品がない。不要不急の買い物は控えてもらいたい」と呼びかけた。
3月16日 スーパー・コンビニやガソリンスタンドで長い行列ができた。枝野官房長官は「買占めを控えるよう」呼びかけた。
3月19日8時 塩釜港に支援物資を積んだ海自輸送艦が入港、灯油・食料など荷上げ。
3月19日11時 東京ガス復旧作業完了。
3月21日10時 仙台市のマクドナルド仙台代野田店が営業開始。
3月21日11時 出光興産の塩釜油槽所が復旧し、タンカーが着岸、ガソリン2,000キロリットルを荷上げし、被災地に送った。
3月21日12時 ヤマト運輸・佐川急便が岩手・宮城・福島・の約8割の営業所で荷扱いを開始。
3月23日11時 仙台市中心部の仙台三越が食料品や一部の生活用品に限り、営業開始。


 以上から、震災後、時間を追って現象をまとめると以下のとおりになろう。ただし、地震発生の3月11日を第1日とする。
第2〜3日食料品・日用品の購入意欲は強くなり始めた。
第5〜6日政府による買占め抑制の呼びかけ。
第9〜10日地震後、初めての長距離物資の海上移送・ライフラインなどの復旧。
第11〜13日宅配便のネットワーク・大型店売り場の復旧。
 政府の呼びかけは必要だったのか、不必要だったのか。効果があったと見るのか、なかったとみるのか。外国メディアの特派員に聞いてみたい気がする。あるいは、恥の上塗りをするから、やめたほうがよいのかとも思う。それはともかく、これからの日本人は胸をはって、上を向いて、世界を歩かねばならないのだから、“日本人の美徳”を大なる遺産として活用し、成長させていかねばならない。
 今回の地震・津波による災害は、3月11日という初春に発生した。東北地方はまだ西南日本の冬の気候で、被災地では雪が降る寒さであった。もし、これが厳冬に発生していたら、どうであったか。停電、暖房対策なしの避難所の生活は想像を絶する。一方、もし真夏だったらば、暑さ対策のない生活、食料品・飲料水対策はどうなるだろうか。熱中症一つを考えただけでも、大変である。地震・津波発生から1ヶ月たった4月11日現在、まだ145,565人の避難者がおられる。この方々の今日・明日のことを考えるのが第一であるが、地球温暖化した盛夏の猛暑・酷署の条件を考慮した対策をいま立てておく必要があろう。また将来発生するであろう大地震の場合に対処するためにも、このような対策の立案が大切であろう。

首都圏の交通・帰宅困難者

 東京・横浜では地震そのものによる被害より交通機関への影響が大きかった。これまで、大地震のとき、橋が落ちたり、交通機関が機能しなくなり、勤め先からどのような道を歩いて帰宅するかなどの訓練があった。しかし、あまり実感をともなう訓練ではなかったという印象であった。
 ところが、3月11日に“突如”首都圏で震度6弱、5強の地震が起った。大都会における“帰宅難民”発生を初体験した。11日の20時ころ枝野官房長官は「帰宅困難者の対策に、駅周辺の公共施設を最大限活用するよう全省庁は全力をそそぐように」と指示した。 その2時間後の22時、警察庁は「首都圏の主要な駅に足止めさせられた人は約27,500人」と把握した。
 翌朝、東京都は12日の4時には、帰宅難民者のために都内の自治体は計1,030ヶ所の施設を提供し、約94,000人が利用したと発表した。この他、新宿・池袋などのターミナル駅や、羽田空港で足止めさせられた人は上記の27,500人より増え、正確ではないが、最終的には約12万人という推定である。さらに、ターミナル駅周辺や都心のデパートなどが1階を帰宅困難者に開放したというし、全体の数字はわかっていない。しかし、これまでの予想をはるかに下廻ったのは、たくさんの人が携帯電話その他で交通機関の利用不可能を知り、職場などで1夜を明かす方法をとったことである。
 もう一つ明らかになったことは、地震の直接の影響で首都圏のJR,・私鉄の電車、地下鉄などがすべて止まった。夕方になって、地下鉄銀座線や丸の内線が運転をいち早く再開した。それは交通機関の1部を担う職責からみて非常に結構なことであった。私は大きな称賛を送りたい。しかし、郊外に向かう乗客は終点の渋谷駅や荻窪駅で乗り継ぐ電車がなく、駅にあふれ、大混雑・大混乱になった。首都圏全体で交通機関全体が一つの系をなして機能しているのだから、当然のことではあるが、1部分だけ動いても混乱するばかりである。これを実験で、(大混乱に巻き込まれた方々には申しわけないが、その方々の貴重な体験の代償として)、知りえたことは大きな収穫であった。今後の対策・計画の立案に役立てねばならない。
 計画停電を東京電力がJR・私鉄各社に唐突に申し入れたのも、余りにも非常識であった。“スイッチをきれば電車は止まる。電気は流れなくなる。電力不足を乗り切れる。”というのは、小学生的な発想である。交通機関は系をなしているのだから、それ自体が非常に入り組んでいるし、また、社会を動かし、首都圏ならば国全体を動かしているといっても過言ではあるまい。電力は電車を動かしているのではない。交通機関を動かしているのである。
 ところで、このような幼稚な発想をした東京電力の人達に聞いても無理かもしれないが、『今年の夏の電力不足予測に、地球温暖化の影響による高温はどのように取り入れられているのですか』


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