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連載エッセイ [5]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
春の霧
 
2010年2月末の霧

 これまでは、春の霧と言えば春霞み。。。。桃の花や桜の花を浮き上がらせるバックの存在だが、ポカポカ陽気を誘う立役者でもある。日本の好天の代表でもある。もちろん秋の霧も、秋の風物詩の最たるものだが、成因が異なる。
 ところで、2010年の2月末、東アジアの広い地域で濃い霧に見舞われた。中国では華北から東北部(旧満州)、東シナ海、日本の一部で、2月25日の朝、特にひどかった。例えば、東京の首都圏でも濃い霧に包まれた。新聞によると、羽田空港では110便以上が濃霧のため欠航したという。東京湾でも視程は2km以下であった。視界不良が原因で、小型タンカーが止まっていた石材運搬船に衝突する事故があった。
 2月25日の午前、私はちょうど成田空港から北京に飛ぶところであった。10時35分、機内に全乗客がおさまり、これから駐機場を離れる。。。。という直前になってアナウンスがあり、「北京空港は濃霧で発着が遅れており、1時間遅れて到着するように要請があったので、当機は1時間遅れて離陸します」とのこと、ヤレヤレという感じであった。
 この連続エッセイで書いてきたように、この冬は低温と大雪に世界各地は見舞われた。中国、日本ばかりでなく、ヨーロッパやアメリカ北東部でひどかった。“寒い冬”の印象を私はもっていた。2月末の東アジアの霧が何を意味するか、正直にいって、あまり考えもせずに機内に1時間おさまっていた。
 北京に5日ほど滞在し、帰国してよく考えてみると、これはかなり興味ある現象で、今後さらによく調べてみる必要があることに気がついた。少し、詳しくその理由を述べたい。

天気図からみて

 (図1)に2010年2月23日から26日までの地上天気図をしめす。一見すると、かなり複雑のようでもあるが、少し詳しくみると、以下のようなことがわかる。
 2月23日18時には本州は小さい高気圧に覆われており、北海道の北東には二つの中心を持つ中心示度1008 hPaの 低気圧があるが、日本には影響をもたらしていない。24日18時になると、中国北東部からロシアにかけて1010 hPaの低圧部が入り込み、中国北東部には1008 hPa の低気圧が生まれ、その中心から南西方向(北緯42度くらいまで)と、東方向(北緯約45度に沿い)とに停滞前線が延びてある。この前線の南側では南ないし南東の強風が低気圧の中心に向かって吹き込んでいる。例えば、ウラジオストックは霧で南東の強風、上海は南南東の風である。
陸域生態系における温暖化影響のメカニズム(環境省、2008による)
(図1)2010年2月23日から26日までの東アジアの地上天気図 (図は気象庁提供)
 25日18時には中国北東部からロシア極東部を覆う中心示度1004 hPa の低気圧が深まり、日本海に寒冷前線が南下しつつある。ソウルは霧である。一方、東シナ海には1006 hPa の低気圧が発生した。この25日18時の天気図には低気圧がいくつもあって複雑のように見えるが低圧部として大きく捉えると、シベリアから太平洋の北東部を覆う大きな高圧部に、東シナ海から日本海を経てロシア極東部に深く強く入りこんだ状態と見ることも可能である。あるいは、中国北東部・ロシア極東部で強いサイクロジェネシス(低気圧発生・強化)があって、ハテナ印(?マーク)の形に低圧部が日本海から東シナ海に達していたとも見られよう。26日18時になると、この低圧部は北緯60度以南で見る限り、大きな、深い、見事な気圧の谷となった。
 以上が天気図でみた推移である。この冬は上空の西風の蛇行が激しく、寒暖の空気の交代が大きかった。上述のヨーロッパ・アメリカ北東部海岸なども同じ理由である。低温・大雪に見舞われるかと思うと、冬なのに夏日の気温さえ観測した。
 上空の西風が蛇行することは、別に異常ではないが、激しい急激な蛇行はやはり地上付近、対流圏下層に異常な天気変化をもたらす。実は、“今回のような強いサイクロジェネシスは温暖化の影響の一つの現れ”ではなかろうかと、私は考えている。2月は本来なら、まだ冬である。中国北東部・ロシア極東部付近のサイクロジェネシスは春に顕著になるのがこれまでの状態であったが、地球温暖化で2月に発生したのではなかろうか。そのため、低気圧の中心に向かう南寄りの強風が吹き、湿った温暖な空気は北上して比較的低温な海面で霧を発生した。つまり、典型的な移流霧をもたらしたのではなかろうか。

飛行機の窓から

 25日1時間遅れで離陸した飛行機の窓から見た霧の状態はすごかった。離陸後、1時間くらいまでは地上が薄く見えていたが、東シナ海にでたら、窓の外は白一色、翼の先も見えず、ホワイト・アウトの状態であった。普通、雲の中ならば機体がゆれる。しかし、機体はゆれず穏やかで、かえって不気味であった。
 このような状況は、赤道近くにある熱帯内収束帯(北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易とが収束するところにできる東西に延びる収束帯)の中を飛んだときと同じ感じであった。今回飛行した霧の層の特徴と熱帯内収束帯の中の霧の層と何か似ていたのは、感じだけではなく、物理気候的にも似ているところがあるのではないかと想像した。地上では、夏日を観測しているような2月の状況なのだから。
 離陸して約2時間、大陸に近くなり地上2,000−3,000mにある層雲が下に見え、飛行高度より上空には青空が見えてきた。着陸直前になって、高度400−500mでやっと茶色の地上が見えた。現地時間で15時ころ、北京空港の周辺では水平視程500m以下であった。


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