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連載エッセイ [3]
温暖化と生きる
吉野正敏

 
温暖化と大雪(2) ― ヨーロッパの例から ―
 
2009年〜2010年冬の大雪

 前回の連続エッセイ[]には中国の例を紹介した。2月12日から始まる冬季オリンピックの開催地バンクーバーでは雪が異常に少なくて、主催者側は大あわてだと報道されている。“日本はもちろん、ヨーロッパや、アメリカ東部のニューヨークなどは寒くて大雪だというのに、どうして?”という質問をよく受ける。
 そして、“だいたい、地球は温暖化しているというのに、どうして?”という疑問がでるのも当然である。そこで、連続エッセイ[3]では、ヨーロッパを例にとって、再度、温暖化時代の寒さと大雪の実態をとらえておきたい。

2009年12月のヨーロッパ

 この冬はまず低温で始った。北半球のあちらこちらの地域で、1981〜1982年の冬以来、最も低温で、ヨーロッパの北半分は特に寒かった。12月16日、活発なアイスランド低気圧が北大西洋を東進してヨーロッパに低温と雪をもたらした。イギリスでは凍死者をだし、交通に障害をもたらし、電力不足・エネルギー不足を起こした。スポーツ大会を延期させたりもした。スイスのグリソンズ州では気温が17日に−32℃にまで下がった。 被害地域はヨーロッパを次第に南下し、19日にはスペインにまで及んだ。
 18日〜19日の夜にはイギリスでますますひどくなり、停電のため2,000人の乗客が列車の中に最長16時間も閉じ込められ、寒さに凍えた。一部では、蒸気機関車が雪に埋もれた列車をひっぱりだし、救出した。また、パリとロンドンを結ぶ鉄道のトンネル内は約25℃もあり、トンネルの内外の気温差が列車の高速エンジンの回転に影響を及ぼすというトラブルが発生した。12月下旬、イギリス各地で交通への障害が大きくなった。クロアチアのザグレブでは列車のブレーキが正常に働かず、50人の乗客が重軽傷を負った。
 22日、北ハンプシャーとイングランドのテームズの谷で自動車が積雪で動けなくなり、約3,000人(約2,000台)が自動車を道路に放棄して逃げた。フランスではホームレス12人が12月中に死んだ。23日、スコットランドの高地では−16℃を記録した。空港は凍った滑走路で使用不可能になり午前中閉鎖となった。クリスマスで帰省する人でますます混雑した。
 西部セルビアでは下旬、一時暖かくなり、ロズ二ツァでは19℃になり、都市型洪水に見舞われた。 25日イギリスのリーズでは24時間、自動車の中に運転していた人が閉じ込められ、1人凍死した。26日ロシアのサンクトぺテルブルクでは積雪35cm、12月としては1881年以来の豪雪となった。オランダでも1981年以来のホワイトクリスマスを迎えた。
 12月26日、イギリスのイーストアングリアの一部では雪のため36時間停電した。被害は広範囲に及んだ。28〜29日、一部の高地では−19〜−18℃を観測した。30日にかけて、積雪は30cmに達した。
 結局、地域的に差があるものの、北西ヨーロッパ全体をまとめると12月は1996年以来の低温であった。

2010年1月のヨーロッパ

 1月2日の高層天気図によると、ブロッキング高気圧が大西洋東部にあって、温暖な西の気流は地中海地域を覆い、西ヨーロッパは寒冷な北よりの気流の支配下にあった。このため、イギリス北東部は異常低温で豪雪に見舞われ、カスピ海地方は温暖であった。
 イギリスばかりでなく、1月初めにはエストニアの首都タリンでは62cmの積雪を記録した。ポーランドでは5日凍死者12人が報告され、この冬の合計で122人となった。6日イギリス気象局は1981年以来の継続する寒波期間であると発表した。スコットランドでも雪による道路の閉鎖、交通渋滞は各地で発生し、学校閉鎖8,000校に及んだ。1963年以来の低温といわれた。8日、スウェーデンのヘマーバンでは−40.8℃、フィンランドのクウサモでは−37.1℃、ノールウェイのティンセットでは−42.2℃を記録した。
 8日、ドイツでも豪雪に見舞われ、北部の島リューゲンでは積雪30cmを記録した。全国で、地吹雪と強風のため道路の閉鎖や交通渋滞が起り、道路にまく砂が不足した。ドイツにつながるフランスの高速道路35号線は雪のため閉鎖され、400台の長距離トラックが路上で夜を過ごした。フランクフルトの国際空港では160便が欠航した。
 スペインにも異常積雪が現れ、南カタロニアのプラーデスでは30時間に120cmの積雪をみた。上記のブロッキング高気圧の東側を南下した寒冷な北〜北東の気流がイベリア半島付近まで達したためである。南ヨーロッパ、地中海地方でもその東部からの記録的寒さや積雪の報告がなかったのは、1月上旬このような大気の流れが持続したためである。
 10日大西洋上の大きな発達したアイスランド低気圧がヨーロッパに侵入し始めた。これが低温と湿った空気をもたらし、雪に加えて氷による道路交通・鉄道への障害が起った。特に北海・バルト海沿岸地方でひどかった。
 中旬〜下旬になって、東ヨーロッパで低温による被害が報告され、ルーマニアでは5日間に少なくも22人の凍死者がでたと言う。

雪害・凍害の特徴、温暖化との関係

 項目別に2009年〜2010年の冬のヨーロッパにおける雪と低温による被害とその特徴を(表1)にまとめた。日本における低温と雪害の対策にも参考になると思う。

(表1)降雪・積雪による被害の特徴

凍死者数 低温の極値のほか、持続する低温期間が重要。先進国の都市におけるホームレスの増加。

空港(欠航便数) 滑走路・機体の除雪作業計画・態勢のほか、地ふぶき・ふぶきの予測・対策。国内便・国際便への影響分析・対応。

鉄道 遅延(延発・延着)のほか、豪雪に埋まった列車の救出計画・対策。列車内に閉じ込められた乗客の救出・対応計画。

道路交通 除雪作業計画・対応。道路に散布する砂などの資材確保。路上に放置された車両の移動対策。路上の積雪に埋まった自動車内の運転者・乗客などの救出。

路線バス(遠距離バス) 航空路が不可能になり、自家用車交通が不便になるので、遠距離バスの運行確保が期待される。

路線バス(地域内バス) 都市内、農村・山間部を問わず高齢者が多くなり、一人暮らしが多くなっているため、これらの人の生活を確保する地域内バスの運行確保が重要。このために、市町村道のほか、狭い道の除雪計画が必要。

経済・日常生活への影響 野菜などの不足。電力エネルギー不足。学校閉鎖。観光業停滞。スポーツイベントの延期。健康への障害など。


 最後に、“どうして温暖化の傾向にも関わらずこのような大雪と低温に見舞われ、大きな被害を受けたか”の答えを書かねばならない。残念ながら、ズバリの答えはできない。しかし、事実として明らかなことは、(1)上記のように、大西洋上の上空の大気循環型にブロッキング高気圧が現れ、その東側の北〜北東の寒冷な気流が北ヨーロッパから西ヨーロッパを経て南ヨーロッパの西部に侵入したことである。(2)このような現象が起きるのは、めずらしいことではなく、すでに経験している状態である。各地で、積雪や低温は1981年以来とか、1963年以来と言われた。私の推定では、温暖化してくるとこの間隔が長くなるのだろうと思う。(3)したがって、暖かい冬になれた社会が、このような積雪・低温に見舞われると、そのインパクトは非常に大きくなる。2009年12月〜2010年1月はそのよい例であった。


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