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連載エッセイ [42]
異常気象を追う
吉野正敏

 
風の局地性
 
風の地域性と局地性の観測・研究

 関東地方・中部地方などについて取り扱う場合、すなわち約200km〜数百kmくらいの地域の風の状態を考えてみよう。
 日本の気象観測網は地方気象台(主として県庁所在地に1ヵ所)の下に、県内に約30か所の区内観測所と呼ばれる観測所があった。時代によって観測項目、観測時刻、回数などが異なるが、何何観測所、何何区内観測所、などの名で呼ばれてきた。これはその後、ロボット観測となり、アメダス観測網として日本全体では千数百ヵ所で観測が行われ今日に至っている。
 古い時代ほど、地点密度は粗く、風についての観測は昔は1日1回、風向・風速の観測が行なわれたが、アメダス観測網が展開されてからは1日24回の風向・風速の観測値が利用可能である。日本全国では、前記のように千数百ヵ所の地点密度でこのようなデータが利用できるが、これは世界の中でも日本は屈指の国である。これをベースにしてメッシュデータが最近は利用可能である。
 区内観測所の観測値を整理して、畠山久尚は風向別頻度を関東地方についてまとめた。中央気象台研究時報の1巻の特別号(1949)に刊行されている。1950年代はこれらの資料を統計的に解析し、地形との関係を分析した時代である。
 次いで、1960年代−1990年代は、区内観測所の観測値を地図上にプロットし、流線図を引き、風の流れが、気圧配置型、あるいは上空の風が西よりか東よりかなどによって地上の風の状態がどうなっているのかを分析した。すなわち、広い気圧場(気圧傾度)別、あるいは地衡風の風向別に、地上の流線がどのようになっているのかを解析した。その代表的な例は、冬の季節風の時の中部地方・関東地方についての河村武の研究である。
中央日本の傾度風向別の地上の局地気流
(図1)中央日本の傾度風向別の地上の局地気流(河村,1966)
儀拭Х硬拮向が250〜330°
況拭330〜20°
祁拭Ч盖ぐ祇の等圧線
厳拭30〜60°
ただし風向は北0°で時計回りに計る。傾度風速は 型, 型, 型でいずれも10m/sec以上,ドットの地域は風系が漸移する地域
 (図1)はその代表的な解析例で、傾度風向別の地上の局地気流を示した。I型は傾度風の風向が西南西から西北西の場合で、II型は北西から北の場合である。すなわち冬型気圧配置のときである。晩秋のこれから冬の間によくでる気流分布を示している。谷に沿って気流が発達し、関東では平野部で空っ風が吹く。愛知県から東海道沖を吹く西風も強い。長野県の伊那谷では南風が発達する。また、重要な点は気流がぶつかるところでは、遷移帯があり、そこは風が弱い。その後、同じ手法によって、日本全国について風の局地的な流線を上空の卓越風の状態に対応させて、河村は解析した。

アメダスデータによる気流図

 最近はさらに、上空の卓越風・傾度風などの状態を総観規模の気圧場を分類して、それぞれの場合について鈴木力英らによって明らかにされている。その1例を(図2)に示す。
各気流型の合成図と,それぞれに対応する総観規模の気圧傾度
(図2)各気流型の合成図と、それぞれに対応する総観規模の気圧傾度
各矢印の始点がアメダスの観測地点に対応する.標高400m以上の地域にはハッチを施した.各々の合成図の左肩の図には各気流型に属する日時の中部日本における総観規模の気圧傾度をプロットした。その下の数字はプロットした点の数。(鈴木・河村,1989)
 地上風(地表面付近の風)が総観規模の気圧傾度に対する反応は、総観規模の気圧傾度が約1.2mb/100kmを境にして、その状態が変化する。それ以下では加熱・冷却によって反応が大きく変化し、それ以上では熱的変化の影響は比較的小さい。また接地層が加熱されている場合(日中、不安定気層の場合)の方が、冷却されている場合(夜間、安定気層の場合)より反応が大きい。これを翻訳すれば、例えば中部地方の谷間では、気圧傾度が緩い北太平洋高気圧に掩われる夏、日中に、谷風が強く発達しやすい。また盛夏には、気圧傾度が南東に向かって高い場合(北太平洋高気圧が南東方で発達しているような場合)の日中、12時・15時、中部地方の山岳地域の中心に向かって収束する大規模な気流が出現する(図2のEの状態)。中部地方の太平洋側では海から陸地に向かう気流が発達する。

局地天気図

 次に局地天気図による解析の例を紹介したい。
1992年7月25日21時〜27日3時(ケース1)における中部日本の局地天気図
(図3)1992年7月25日21時〜27日3時(ケース1)における中部日本の局地天気図(仁科,2000)
1,000m以上には陰影をつけた。07JST(日本標準時7時)の図における黒丸は観測点の位置。1:輪島,2:高山,3:三宅島,4:諏訪,5:飯田,6:伊吹山(地上気圧のみで、海面更生気圧は計算されていない),H:高気圧,L:低気圧,気圧の単位:hPa。
 (図3)は中部日本の局地天気図を画いて、局地気圧系の日変化を研究した結果(仁科,2000)である。1992年7月25日22時から(ここでは紙面の都合で3〜4時ごとに示す)、27日2時までの変化を示す。日中に、局地低気圧が発生し、発達し、夜間に消失した。この日は850hPa面付近の風は西よりで、夜間に局地高気圧が発生した。このような局地気圧系の変化に対応して局地気流系が発達する。

局地気流系と異常気象

 以上に述べた気流系は、それぞれの傾度風の風向や局地天気図に対応して出現する言わば平均的な状況である。異常な強風や突風が吹く場合は別にデータを整理し、明らかにしなければならない。異常な強風や突風は狭い空間(地域)で起きるので、微気象学的な解析が、より重要である。しかし、手順としては同じで、上空の傾度風向、局地天気図の型別に現象を分類して、解明する必要がある。


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