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連載エッセイ [38]
異常気象を追う
吉野正敏

 
台湾の台風
 
台風の季節

 台湾には毎年7月・8月・9月には台風がよく上陸する。北太平洋高気圧の東西に延びる尾根の位置が北に偏るか、南に偏るか、また、その西端がどのあたりにあるか、などによって、台湾に上陸するかどうかがきまる。
 北太平洋高気圧の尾根線は気候学的には8月に最も北偏するから、台湾に上陸する台風の数は8月に最多となりそうだが、実際はそうでない。毎年、多少なりとも大気の流れの状態は異なるし、ひと夏の間にも東西に延びる尾根線の位置は南北に多少振れ動き、位置を変える。7月下旬にはいったん北偏することが多いので、台湾に上陸する台風の数も7月下旬に一つの極大がでる。
 少し詳しくみると、台湾の北部・中部・南部で、上陸する個数も少し違うし、その時期も異なる。(表1)をみると、北部は8月に極大で6・7・8月に集中している。

(表1)台湾に上陸する台風の北部・中部・南部の月別個数 *

地域 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 合計

北部(24°N 以北) 0 0 8 10 6 0 0 24
中部(23-24°N) 2 3 1 3 3 0 2 14
南部(23°N 以南) 0 1 7 4 8 0 1 21

*)1949−1978年の30年間の合計。
[福建省気候資料室“台湾気候”編集組(1987):台湾気候。海洋出版社のデータによる]

 特に北部における8月の極大は10個で、これは30年間の合計だから、平均すると3年に1個の台風に見舞われることになる。これに対し、中部は全体として個数が少ないが5月から11月までという特徴がある。どの月といったはっきりした極大がない。一方、南部は7月と9月に極大があり、北部ほどではないが約4年に1個の台風に見舞われる。以上が台風に見舞われる季節の特徴である。
 (表1)でわかったように、北部と南部が台風に見舞われる回数が多い。台風は海上を進む傾向が強いから、台湾を横断するより、北方か南方かの海上を進むことが多い。それが反映している。
 実際にどのような経路をとるか、代表的な幾つかの例を3形態に分類して、(図1)にまとめた。経路の場所(位置)と進行方向によって分類したものである。
(図1)台湾に上陸する台風の主な経路。
(左)北部を東から西へ、または南部を西南西から東北東へ。(中)南部を東から西へ。(右)南から北へ縦断。
((表1)と同じ資料により、編集した)

 台湾はさつまいものような形(あるいは長円の形)をしているが、その長軸にそって背骨となる3,000m級の山脈がある。(図1)(中)にみられるように普通はこの山脈の中央部を横切らずに避ける経路をとる。もし北太平洋高気圧の西端部の形によって、台湾を南から北に向かわねばならない場合は(図1)(右)のような経路をとる。

2009年8月8−9日の異常台風

 今年の8月8−9日、台風モラコット(Morakot)が台湾南部を襲い、1時間に100mm以上の雨を降らせた。この台風は移動速度が遅く、毎時10kmくらいで、時にはさらに遅く、停滞することさえあったので、雨量が多くなった。最もひどかったところでは約3,500mmの降雨量があったという。中でも台湾最南部の県の屏東県がひどかった。被害額を(表2)にまとめた。

(表2)2009年8月8−9日の台風モラコットによる経済損失 *

県名 County(ローマ字表記) 被害額x1,000NT$ **

最多被害県
屏東県 Pintung 1,941,991
高雄県 Kaohsiung 528,285
台南県 Tainan 249,005

最少被害県
台北県 Taipei 717
桃園県 Taoyuan 313

*)2009年8月10日の非公式統計。 **)1 NT$ = 約2.8 円

 次いで、その北に接する南部西側(台湾海峡側)の高雄県、さらにその北の台湾海峡側の台南県であった。
 台湾全体の総被害額は約1,900億円、死者は8月15日の統計で121人、8月16日の報道によると内務大臣は37,000人以上の台風犠牲者を救援したと発表したという。7,000以上の家が半壊または全壊した。山崩れ・地滑りなどで土砂が流出し、道路・鉄道・送電線・電信施設などが寸断された。
 台湾政府の対策の遅れが大きな政治問題に発展し、総統が窮地に陥ったたことは新聞・テレビなどで報道されたとうりである。この問題は、異常気象による緊急災害対策・救援対策の新しい課題のように思われる。インターネット・携帯電話の普及により、住民間の通信・住民と地方政府や中央政府間の通信が円滑になったのはよいが、緊急時の人間(救助隊・援援隊・被害者)、物(救援物資)の動きの体制・形態・対応などはまだ旧態のままの状態という場合が多いという結果が反映しているように思われる。被害地の住民のいら立ち が増幅し、それが異常に早く広く、全国規模に伝播する結果を招くからである。


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