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連載エッセイ [11]
異常気象を追う
吉野正敏

 
異常高温
 
世界の記録的最高気温

 これまでの記録的高温は何度か? もちろん、地点によっても時代によっても異なるが、地域性が大きい。オリンピックの記録のように、話の種としても興味ある問題である。たとえば50.1℃か50.2℃かなど、わずか0.1℃の違いと第三者には思えても、現地にとっては大きな問題なのである。その値は正式の気象台・観測所で正式の観測法によってえられた値か。。。。など、厳しい検討の後、世界が認めることになる。気象学の立場よりも、ギネスブックにのるかどうかの関心事といった特色が強い。世界中で最も早い列車の速度は毎時何kmか。。。。といった話と同様である。
 異常気象値だけを集めた本すらある。そのような興味や関心は悪いことではないが、いま、ここでは気象学・気候学の立場から記録的な最高気温の出現の問題を考えてみたい。
 その理由は、まず、世界の記録的な最高気温の出現は年々更新されてはゆくが、地域性・季節性があり、これは学問的に興味があるからである。すなわち、(1)夏または暖候季に出現することは世界中で共通している。だから、四季の変化がない熱帯よりも温帯でより高い温度がでる。(2)最暖月と最寒月の月平均気温の差、いわゆる気温年較差は大陸内部ほど大きい。言い換えれば、記録的な高温は海岸地方や島では比較的低く、大陸内部ほど高い。(3)乾燥地域、例えば、沙漠では日中の気温は非常に高くなる。
 このようなことは従来の教科書にも書いてあるが、最近はこれに加えて、(4)地球温暖化によって近年ほど高温が観測されやすくなっている。地球温暖化の傾向は高緯度地方ほど強いから極地方はともかく、亜寒帯でもかなりの高温が観測されるようになってきている。さらに、世界的に記録更新の間隔(年数)が短くなってきている。

アジアの記録的高温

 (表1)はアジア諸国、特に中東から南アジア、東南アジア、東アジア、太平洋の諸島などの地域別にみた過去の記録的な最高気温の観測値をまとめたものである。最初に書いたように、第1位の記録的な値は小数点以下の値が問題になるが、ここでは地域性を概観するために7地域について、小数点以下を省いてまとめた。なお、この(表1)の基礎とした値は、出典が異なり、統計年次、年数が異なる。十ないし数年以前までの、言い換えれば最近の急激な地球温暖化の影響が始まる前までの状態と理解していただきたい。ごく近年はこの値はもっと高くなっている。

(表1)アジアの地域別に見た記録的な最高気温の観測値

地方名 国名・地域名・都市名 高温観測値(℃)

1)中東・西アジア・南アジアの乾燥地域 アフガニスタン・イラン・イラク・サウジアラビア・パキスタン 51-54
2)東南アジア(1)
:インドシナ半島主部

カンボジャ・ヴェトナム・ラオス・タイ・フィリッピン・インドネシア

41-45
3)東南アジア(2)
:南部、東アジア(1):1部

マレーシア・シンガポール・日本・韓国・北朝鮮

40
4)北東アジアの乾燥地域 蒙古 44
5)東アジア(2)
:中国

北京・ウルムチ・重慶

42-44
6)東アジア(3)
:内陸の乾燥地域

トルファン

50
7)太平洋・インド洋の島 マーシャル・ミクロネシア・モルディブ・パプアニューギニア・パラオ・ブルネイ 37-39

注:種々の資料から吉野作成

 (表1)からわかることはつぎのとうりである。アジア乾燥地域の沙漠では最も高温が観測されており51-54℃、東南アジア・北東アジアの大陸部で41-45℃、中国北西部(沙漠を除く)で42-44℃、沙漠の盆地で50℃である。東南アジアの半島部・海岸部や東アジアの海岸部では40℃、周りを海に囲まれた島々では37-39℃である。
 くり返すが、これらは、数年ないし十数年まえまでの状況だから、最近はさらにこの値に2-3℃はプラスしなければならないであろう。しかし、地方・地域・都市間の相対的な高低の差はほとんど変わらないであろう。

異常高温の統計的な特徴

 数年前のことだが、東ヨーロッパと中央ヨーロッパの国ぐにの5人の研究者が異常高温の発生頻度に関する共同研究の結果を発表した(P. Domonkos et al., Intern. Jour. Climatology, 2003)。その結論によると、異常な高温については、その平均値からの偏差値を考慮するだけではだめで、出現頻度の地域差を明らかにしておく必要があるという。例えば、かれらの研究結果によると、夏の記録的高温の極値(約40℃)の地域差は冬の記録的低温の極値の地域差より小さい。しかし、夏の出現頻度が少ない最高気温の変動幅は、冬の低温のそれより大きい。また、頻度分布型の地域差は夏の最高気温のほうが大きい。これらは、大気の循環系の諸特性、卓越する気圧配置型の出現頻度や持続性、局地的な熱収支や循環などが季節によって異なるからであろう。
 したがって、かれらの結論がそのまま他の地域にあてはまらないであろう。では、東アジアではどうなっているのだろうか。われわれも調べる必要があろう。(表1)は出現頻度をまったく考慮していない、いわば、予察的なまとめ(記録魔のノート!)であることを、強調しておきたい。

中国の異常高温の局地性

 日本では、関東地方中央部の熊谷付近や、岐阜県南部の局地的高温が問題となっている。折しも北京ではオリンピック、中国内の局地的高温はどうなっているのか、(表1)にも北京の状況をふれたが、もう少し詳しく中国内の状態を紹介したい。
 (図1)は中国の中央気象台が2008年7月15日6時に発表した『7月15日8時から16日20時までの日最高気温の予報図である。揚子江の南と新疆などに35℃以上の高温な地域があり、その中でも江西省の中部、浙江省の中西部、福建省の中部、それから中国の北西部の新疆のトルファン盆地などでは最高気温は37-39℃に達すると予報した。
 そして、『高温対策として、(1)午後の気温の高い時には屋外の活動を控えること。老人・病人・幼児は暑さを防ぐ対策を充分にすること。(2)電力消費量が上がるので電線・変圧器などの負荷が大となり、発火のおそれがあるので、注意すること。(3)野外の高温条件下で労働する場合は必要な対策を事前に充分に行うこと。(4)休息・睡眠の時間を充分にとり、暑さ対策の薬を忘れぬこと。(5)省庁・その他の行政単位・会社・事業所などは、種々のメディアや方法で、熱中症対策を周知させること。』を呼びかけた。
アメリカ合衆国における2008年6月の洪水
(図1)中国の中央気象台による日最高気温予報図の例。
2008年7月15日8時−16日20時の場合。

 最近の4年における中国内の局地的な異常高温をまとめると(表2)のとうりである。37-39℃は恒常的に発生し、新疆のハミ・トルファン盆地では40-42℃が出ることはまれでないことがわかる。

(表2)中国における局地的な異常高温の実態

年月日 異常高温地域 高温(℃) 局地的
高温(℃)
備考(新聞写真など)

2005.6.17-21 新疆、華北東部、江南 35-36 37 砂浜で娘さん日光浴、開放大胆になる。広州飛行場で旅客機車輪パンク。広州で河原が黒豚とさつ場になる。
2006.8.1 新疆(天山以南)、甘粛西部、内蒙古西部
トルファン、ハミ
四川盆地、重慶
35-39

35-37

40-42
38


2007.6.15-20(26) 吉林省、内蒙古東部 気温偏差
+2-4℃
連続無降水日数15-20。吉林、遼寧2省で被災者503.2万人、飲料水不足236万人、農作物干害525万ha、農業直接経済損失15.4億元。
2008.7.2-3 福建省等 37-38
2008.7.4 全省 38
2008.7.15 江南、新疆 35以上 37-39
2008.7.22 全省 36-37
2008.7.23 全省 36-37
2008.7.24 全省 37-39
2008.7.25 浙江省、福建省、江西省、安微省
トルファン
37-39

40-41


注:資料は速報値によるので、省の名および気温はやや不正確である。

 (表2)からわかるように、2008年7月下旬には異常高温がでた。そして揚子江の南の地方では37-39℃の出現がまれでなく、華北でも36-37℃が出現した。ただし、この4年間だけでいうと6月が2回、7月が1回、8月(これも8月1日)1回だから、オリンピックの期間は異常高温出現の可能性は多少低い。しかし、35-36℃は日本と同じくいまや日常的だし、スタジアムの中は建物の影響や人の熱気が加わるので、狭い空間では何度まで上昇するか予断を許さない。


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