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連載エッセイ [0]
異常気象を追う
吉野正敏

 
異常気象とは何か
 

 世界気象機関(WMO)の定義では、30年に1回起きるような極値、つまり気温ならば30年に1回起きるような高温や低温を異常気象という。雨ならば30年に1回起きるような大雨や強い雨を異常気象という。逆に、連続した無降水日数が30年に1回起きたらば異常気象である。風速でも、積雪でも同じである。われわれが暮らすこの世の中では何か基準が必要だから、この定義は世界各国で受け入れられている。もちろん日本の気象庁もこの定義に従っている。
 しかし、ひるがえって“異常気象とは何か”をよく考えてみると、わからないことが多い。まず、異常と言うからには、正常がわかっていなければならない。そもそも、上記の定義で、どうして30年なのか。一説では、一人の人間が最もよく活動する期間、いわゆる現役時代はほぼ30年だからだと言う。確かに人間30歳から60歳くらいまでの30年間が一代だから、30年と言う値になっとくはゆく。高齢化の時代だから40年にしたらと言う意見もあろうが、世界全体を考えれば、日本だけの意見は通用しないであろう。
 それならば、30年の“平均値”が、どうして“正常”なのであろうか。上記の世界気象機関(WMO)は30年の平均値を平年値(ノーマル、normal)と定義している。おもしろいことに英和辞典をひくと、英語のノーマル(normal)は日本語の正常、平常のほかに標準、基準と訳されている。気候には変動があり、暑い年、寒い年、多雨の年、少雨の年など、年による変動が大きい。しかし30年くらい平均値をとれば、ある地点の標準・基準となる値となるから、例えば、札幌と東京の年平均気温の差、ニューヨークと東京の4月の月平均気温の差などをより明確に、定量的に捉えられるだろう。しかし、これは年平均気温や月平均気温などのように平均値の上下に値が集中している場合である。日降水量のように小さい値の頻度が多く、大きい値の頻度は少ないという偏った頻度分布をしている場合、単なる算術平均値はあまり意味がない。
 統計学的に、30年平均値の標準偏差からとびだした値を“異常”とわれわれはするのだが、30年に1回起こる現象を異常としない生物がいる。例えば、沙漠のある種の植物である。沙漠はそもそも雨が少ない。一滴も何年間も降らないこともまれでない。しかし、何十年に一回、例えば、20〜30年に一回は日降水量20〜30mmの大雨が降る。数mmの雨なら数年に一回は期待できる。オアシスの人びとにとっては数mmの雨でもまさに異常気象で、住家や交通・通信施設・耕地などが大きな被害を受ける。一方ではこの時、砂中の植物の種は急いで芽をだし、葉をつけ、花を咲かせ、実を結ぶ。こぼれた種子は砂の中に埋もれ、何年間も過ごす。「その期間が数年であろうと、20年であろうと、40年であろうと大した問題ではなく、沙漠の砂の乾燥状態(保存状態)は問題だが、その期間は問題ではない。」というある種の植物にとっては、30年に1度の雨はけっして“異常”ではない。 
 このようなことを考えると、30年の平均値を平年状態、正常な状態とし、その値からはずれた大きな偏差値、平均値の標準偏差からはずれた値を“異常”とするのは、主として中緯度の温帯の比較的湿潤な地域に住む人間の約束ごとであって、例えば沙漠の植物のあるものには、あてはまらない場合もあるのである。
 そこで、このエッセイ「異常気象を追う」では、厳密に定義しないで、経験からみて、あるいは感覚的に“異常”と思われる現象をとりあげてゆきたい。気象・気候現象や人間の生活、生産活動ばかりでなく、動植物の生態、山地斜面の崩壊や平野の洪水などに影響をおよぼしている異常気象もとりあげてゆきたい。(吉野 正敏)
         


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