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連載エッセイ [46]
風を歩く
吉野正敏

 
早春の世界の風
 
 この冬は暖冬だった。日本各地は2月にはすでに早春の気配となった。1ヶ月か、1ヶ月半も季節が早く進んだ。例年ならば、南西諸島を除いて、日本のほとんどは2月はまだ冬なのに、異常な暖かさであった。
 ウメの花は早々と終わり、サクラの満開も幾日くらい早くなるのか、話題になっている。“お花見の幹事さん”は日をいつに設定すべきか、悩んでいる。2月下旬に発表された予想では東京その他、例年より8日から10日早いそうだ。
 ところで、世界中の人は毎年、春がくるのをまちわびている。ひっそりと家の中で過ごしてきて、一日一日と昼間の時間が長くなり、木の芽が春めいてくる。まだ花や新緑にはほど遠くても、風が運んでくる早春の気配をいち早く察し、成長の季節を待っている。

(写真1)ウィーン南東部の耕地防風林。春の気配がぼんやりとした空気で感じとれる。カシワなどの落葉広葉樹の芽立ちはまだ。ムギが、うすみどりにやっとなった。
1990年3月 吉野撮影
 (写真1)はウィーンの南東郊外の耕地防風林である。飛行機がウィーン空港に着陸する直前にも窓から、みごとな防風林の列を見ることができる。この付近は真冬を除いて南、南東、または東からの風が強い。ムギやトウモロコシに乾いた高温な風が被害をもたらすことも多く、畑の乾いた土か風で吹き飛ばされ、土壌浸食を起こすこともまれでない。この風を利用して、この付近は最近、風力発電の基地となり、風車が林立する。
 日本では北海道の十勝平野では、畑の雪が消え、春、農作の準備に昔は馬を使って畑を耕した。十勝の春の強風は土と馬糞を舞い上げたので、かつては、“ばふんかぜ”とも呼んだ。春の畑からの土ぼこりの舞い上がりは、世界共通である。

(写真2)岩手県盛岡市の南にある矢巾町の宅地防風林と防風垣に囲まれた家。
2007年1月6日 吉野撮影
 (写真2)は日本の東北地方、盛岡市の南の矢巾町のある農家をとりまく宅地防風林と防風垣である。冬は日本海を渡ってきた西の季節風が奥羽山脈を越してくるが、春になると、北上川を下流から上流に向かう南よりの風が吹く。この南風を北上川に沿う谷風だという人もいるが、いずれにせよ、南風が吹くので孤立した家ではその方向も防がねばならない。 

(写真3)スリランカの中央山地の強風地域にある小学校。ワイヤーで屋根を地面と固定している。ミピリマナ(Mipilimana)にて。
1981年2月17日 吉野撮影
 (写真3)はスリランカの中央山地の例である。南アジアでは5月ころから南西の季節風が吹き始めるが、この風は中央山地の風上側では雨を降らせ、風下側ではフェーン現象で乾いた高温の風となる。これをカッチャンと呼ぶことは「風を歩く 41」で紹介した。中央山地の鞍部を吹き越すとき、風速は大きい。風が屋根を飛ばすこともまれでない。(写真3)はワイヤーで屋根を地上の金具と結びつけた小学校の建物である。最近では少なくなったが、農家でもワイヤーで屋根を留めた。

(写真4)台湾南部の台南市のアーケード(停仔脚)。
1989年3月28日 吉野撮影
 (写真4)は台湾の南部、台南市のアーケードである。日本の積雪地帯の都市では“がんぎ(雁木)”という類似のアーケードが昔からあった。モンスーンアジアの都市では、風のほかに4、5月になって強くなる日ざし、春から夏になって強くなる雨から歩行者を守るため、このようなアーケードがよくみかけられる。中国語では、“停仔脚”と言う。
 早春から春の風は、世界各地でいろいろ異なるものを道連れにしてやってくる。中・高緯度では乾燥と高温を、低・中緯度では強い日差しと雨をともなうことが多い。これらが人びとの生活にかかわってくる。


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