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連載エッセイ [14]
風を歩く
吉野正敏

 
風とすすき
 
 すすきは、尾花とも、露見草とも言う。月見草は夏の感じ、“富士がよく似合う”と太宰治が言ったが雪のない、夏の富士山をバックにした広大な空間の前景の主人公である。一方、すすきは空間が狭く、すすきの穂に露がつく風情をきめ細かく観察するほど、すすきにまつわる想いや、秋のひんやりとした空気を味わうことができる。
    露は尾花と寝たという
    尾花は露と寝ぬという
    あれ寝たという 寝ぬという
    尾花が穂に出てあらわれた

風になびく尾花。
茎も葉も枯れて、冬を待つばかり。
吉野撮影
 晴れて風がおだやかな夜を過ごした明け方、放射冷却現象で冷えた地面近くの空気に含まれていた水蒸気が凝結して露を結ぶ。すすきの穂に着く一つ一つの花の針状の尖端部分とか、葉の周辺の鋭い部分などには特に露が結びやすい。その量が多くなると穂・茎・葉の一面に付着して濡らす。若いすすきの穂は露にぬれて重くなり、ひれ伏すような姿になる。
 季節が進んで中秋の名月のころ、すすきは花盛りで、一番形がよい。花札ばかりでなく、絵に描かれるすすきはこのころの姿である。さらに気温の低い日が続き秋風が冷たくなると、次第に茎がこわばってきて、風になびく姿が冬の訪れを知らせる。写真はこのころのすすきで、筆者はこの姿を好む。
 すすきは秋の七草の一つで、かや(茅)とも言う。 昔からそのわらで屋根を葺き、かやぶき屋根、わらぶき屋根とよんだ。 その家々は日本の原風景の大切な要素であった。ところで、すすきの学名はMiscanthus sinensis Anders(中国のミスカントゥス)である。すすきの仲間は中国では7-8種あるとされているが、そのうち、中国から日本に広く分布するのがこれである。
 似ているもので、おぎ(荻)がある。この学名は Miscanthus sacchariflorus (Maxim.) Benth. et Hook(花がサトウキビ属 Saccharum に似ている)で、日本から、朝鮮や中国の東北・華北・西北・華東に分布すると中国の植物図鑑に書いてある。植物分類学の本には、すすきとおぎの違いや、見分け方など詳しく書いてあるが、素人には区別がつかないこともある。草丈はすすきが1-1.5m、おぎは2mにもなるが、草丈で区別するわけには行かない。東京に住んでいる人は、地名の“荻窪”のおぎを間違えることはないが、人名では“荻原(おぎわら)”さんと、“萩原(はぎわら)”さんを間違えることが、ままある。つまり、“おぎ”の認識があいまいなのではあるまいか。
 おぎは古来和歌に詠まれてきた。寝覚め草、目覚まし草、風きき草、とも呼ばれてきた。これも、一夜を過ごした粋な明け方の風情を思わせる名前である。“風きき草”の名に惹かれる。

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