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連載エッセイ [12]
風を歩く
吉野正敏

 
風と紅葉・黄葉
 
 秋は山からやってくる。やがて初冠雪の便りとともに冬がやってくる。毎年くり返す紅葉・黄葉の便り、雪の便りは、日本人の季節感覚をより一層するどくしてきた。
 「今年の紅葉はきれいですね。。。。」とか、
 「今年は黄色と茶色しかありませんね。。。。」など、細かい色彩の差を観察し、秋の訪れが順調か、冬への移り変わりが例年と変わりないかを感じ取る。
 春の桜の開花日や満開日への関心も強いが、桜の花季はアッという間に過ぎてしまう。いや、だからこそ、春の季節推移の指標としてよいのかも知れない。しかし、風景を楽しむ立場から言うと長持ちするほうがよい。紅葉・黄葉は毎年少しずつ色彩に差があるとは言え、春の“植物季節現象”より長い。また、秋そのものが、北海道・北日本では短いが関東・中央日本・近畿では長く、四国・九州など西南日本ではさらに長いので、紅葉・黄葉は詩歌に歌われ、絵画・衣類の模様など、われわれの生活文化に深く入りこんでいる。
 山や谷間、里山、公園などで紅葉の王者はカエデ類だ。黄色・褐色の中に真紅のカエデが入った落葉広葉樹林、雑木林は日本特有のように思う。ヤマウルシ、ハゼ、ニシキギなどの紅はまた一段と強いが、枝を張って背が高いカエデが重要である。サクラの紅葉も一役かう。庭では、ハナミズキ、カキ、ドウダンツツジなども美しい。
 紅葉・黄葉は、山の高い所から、秋から冬に向かって麓の暖かい所に降りてくるし、北の国から南へ移動して来る現象だ。だから、気温が次第に低くなることが、主要な原因の一つである。日平均気温ではなく、明け方の日最低気温が6-7度Cのような低温にあい、数日後に紅変・黄変を始め、20-25日後に最盛期になると言う。原因のその二は、そもそも葉の緑色は葉緑素によるが、秋から冬にかけて低温になってくると根の吸水力が衰える。水不足と低温が原因となり葉緑素が破壊され、緑はなくなるが黄色の色素は残るので、葉は黄色になる。葉で作られたブドウ糖が、夜間の低温で流れにくくなるとアントシアン色素ができ、細胞液が酸化することにより赤く染まると考えられている。
 以上の過程には、風との関係がないようにみえるが、けっしてそうではない。まず、秋の低温の出現だが、これは、シベリアからの寒気の吹き出し、いわゆる冬の季節風の吹き出しがいつ起こるかにかかわる。統計によると、20世紀後半は、冬の第1回の季節風の吹き出しは平均10月17日であった。最近、地球温暖化の影響化で、この日付けは遅れ気味である。江戸時代の歳時記にはモミジの見頃は立冬(現行暦で11月8日)の後7日頃からと書いてある。この日付けはどこのことかわからないが、上記の過程の日数と大まかには一致する。
 2番目の風との関係をつぎに述べよう。上に述べた西高東低の気圧配置はすぐに移動性高気圧に覆われる気圧配置に変わる。そうなると、風はおだやかで強い放射冷却が起こり、翌朝の最低気温はグンと下がる。この無風状態をもたらす移動性高気圧が重要である。たとえば、西ヨーロッパでは、カエデをまじえる落葉広葉樹林が少ないこともあるが、偏西風が強く、湿っているので、上記の過程の出現にはほど遠い。風が強いと夜間の逆転層(地面に近いほど低温な大気層)が壊れてしまい、低温になりにくい。ヨーロッパでも大西洋を離れて内陸にはいると、風は比較的弱い。落葉広葉樹林があるところ、例えば、南ドイツや、オーストリアの秋には、樹々の黄葉が褐色の葉とともに林を彩る。しかし、日本のように見事な紅葉はない。
 3番目の風との関係は、山の高いところや尾根などの風が特に強いことである。この条件は、成長期間ばかりでなく、秋から冬にかけても、樹幹や葉面から水分をより多くうばう結果となる。このため、低温でしかも風が強いことが上記の過程をより早くスタートさせ、進めることになる。


(写真1)冬は山からやってくる。尾根近くの樹々の葉は枯れ、風で落とされ、冬景色。山麓は紅葉が残る。

(写真2)逆光に映える薄黄色のイロハカエデ。バックの緑は牧草の畑。秋の深まりを待つ。

(写真3)黄葉の段階のハウチワカエデ。

(写真4)紅葉の段階のハウチワカエデ。すぐ横でも、個体差、微地形による風・気温の差などにより、(写真3)との違いを見る。
いずれも、吉野撮影

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