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連載エッセイ [3]
風を歩く
吉野正敏

 
谷風(こくふう)
 
 夏になると、夜は山風(やまかぜ)、日中は谷風(たにかぜ)が発達する。1日を周期として、日本各地でよく吹く。山谷風(やまたにかぜ)の現象については、教科書にもでてくるので、よく知られている。それにまつわる話は次回にし、今回は谷風(こくふう)の話を書きたい。
 中国最古の詩集である「詩経」は儒教の経典で、書経・易経・春秋・禮記とともに、いわゆる五経のひとつということはよく知られている。西周初期(紀元前11世紀)から東周中期(きげんぜん6世紀)までの約500年間につくられた。それまで口頭で伝承されてきたものが、いつ、文学言語になったかは、はっきりしない。漢の毛公(もうこう)が伝えたとされる「毛詩」の注釈を「毛伝」というが、その中に、風(ふう)・雅(が)・頌(しょう)の3部から構成されて、“こくふう”がでてくる。
 当然のことながら、“風”に関心のある現代日本人だって、2千数百年から3千年も前の中国人が抱いた風のイメージを想像し、理解していなければならない。
  ところで、この3部作の一つである風(ふう)は305篇あり、十五国の国風(こくふう)の160首はほとんどが黄河流域の諸侯国の民間歌謡で、失われた愛の悲しみ、葛藤を歌った「谷風(こくふう)」、その他で、当時の女性の熱烈ないき吹を伝える。305篇の中の40篇が大気現象としての風(かぜ)を歌っていて、その中味を分類すると次の3点となる。 (1)1年間の系統的な季節暦、(2)天文・気象の知識、(3)観天望気の経験である。当時の農民が気象に大きな関心を持っており、ことわざで天気推移の法則について深い知識を持っていたことがわかる。例えば、
「習習谷風、以陰以雨」。。。。

揚子江下流域(画面の矢印)の雲を 衛星画像からみる。(1986年11月11日14時)
この雲帯の中に低気圧が発生する。
と言うような四文字で構成する詩が続く。この意味は、「そよそよと東風が吹いて、曇りから雨となる」で、揚子江下流の初夏から夏へ移る頃の天気変化を歌っている。今日の言葉で解説すれば、「揚子江下流域では低気圧が発生し、東よりの風が吹き始める。低気圧は次第に発達し、雲は厚くなり、天気は曇りから雨となる」と言うことになる。温帯低気圧の発生・発達にともなう局地的な天気変化を正しく捉えている。
 これは天気推移の法則で、3,000年を経た今日でもあてはまる。そして、たいせつなことは、恋の芽生えから、展開、結果への過程を、一見、うつろいの、ままならない、そして一方では、かなりはっきりした、万人が認める自然現象で歌っているとみてもよいのではなかろうか。
 「風の名前」と題するよい本は最近何冊か出版されている。しかし、とりあげている主な風は季節ごとの風、四季の風で、その名前が詳しい。あるいは、季節とあまり関係がない“つむじ風”とか、“風の神”などである。谷風(こくふう)というような、3-4日から一週間くらいの時間スケールの風の例は、紹介されてないので、今回ふれた次第である。

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